DESTINY
140字もどき
高校3年生になりたての春。
卒業間もないひとつ上の先輩から告白された。
学校というところは、一部の目立つ人たちと一部目立たないことが存在感になっているような人(この言葉適切じゃないよね、ごめん)と、その他大多数の普通の人たちで成り立っている。
きっと普通の中でも、さらにちゅうくらいの位置に属していたであろうわたしが、その学校でバスケ部の○先輩といえば知らない人はいないというような人気者の先輩に告白されたのだ。
その先輩とはたまたま学校行事で同席したことがあって、それから不思議とウマがあって廊下ですれ違うときだけちょっと立ち話する程度の仲ではあったけど、それだけだった。
だから友達はもちろん、知らない生徒たちさえ『なにそれ!!』だったはず。
その他大勢のひつじの群れの中のひとりだったわたしに年上のかっこいい先輩が、手紙をくれる何通も、好きな曲をテープに集めてプレゼントしてくれる、お休みの日にはドライブに連れて行ってくれた。
さえない群れのひとりだったわたしが夢のような展開に有頂天になってしまうのはあっという間だった。
もともと恋愛にのめり込みやすい体質だったせいもあって、どんどんその先輩に夢中になっていた。
(いま思えば、、まさしく『恋に恋する』状態だったのだけどね^^;)
夏休みには旅行に行こうと誘われた。
はじめての旅行に戸惑いながらも、期待と不安に胸を膨らませていた梅雨明けのあたり。
先輩の態度がちょっとそれまでと違うように感じられてきた。
おかしいな?と思って数回、別れ際にお手紙をもらった。
ひさしぶりのお手紙にうれしい気持ちで家に帰って封を開けると、そこには『別れてほしい』ということが書かれていた。
だから、このところ態度が変だったんだ。
わたしったら、とっても好きになっちゃって、困った。
涙がたくさんたくさん流れた。
『りん子が俺を好きというたび、俺の心は重くなってた』
見慣れたクセのある字でそう書かれていた。
そうか、人を好きになったら、その好きを調整しないといけないんだ。
わたしは溢れんばかりの『好き』を持っていることと、でも、それは全部溢れさせてはいけないものなんだということを、このとき同時に知った。
高校生の交際の終わり方なんてあっけないというかなんというか、最後まで『お前はお前でがんばれよ』みたいないい人のままでいようとする先輩に対して、ただ受け入れるしかできず数週間。
学校帰りのバス、一番後ろに座っていた。
何気なく振り返るとわたしを海に連れて行ってくれた見慣れた白のラングレー。
偶然にも先輩の車が後ろを走っているではないか。
わたしは失恋の悲しさを一瞬忘れ、懐かしい車と恋をした男の姿に思わずうれしくなって身を乗り出していた。
先輩も気づいて手を振ってくれたけど、ふと我に返り、すぐ正面を向いて自分の姿を消した。
メガネだった。
いつもはコンタクトなのに、その日に限って調子が悪くてメガネだったのだ。
昔の高校生のメガネなんていまみたいにオシャレじゃない。
ましてひつじの群れの中のひとりの女子のメガネ姿なんて、たださえないだけだ。
もしかしたら、もう先輩と会うことはないかもしれないのに、どうして今日に限ってメガネだったんだろう。
うまくいかないものはどこまで行ってもうまくいかないのかなと、幼い恋の結末をはじめて見たような気がした。
では、ここで一曲。
松任谷由実『DESTINY』。
どうぞ〜。
と幼い恋の思い出をラジオ風にしてお届けしました(笑)
『ねえ、ユーミン、わたしの日記帳読んだ!?』というようなことがユーミンの歌詞にはよくあるのだ。
きっと、他にも『読まれた!?』経験のある方、いるよね^^
高校3年生になりたての春。
卒業間もないひとつ上の先輩から告白された。
学校というところは、一部の目立つ人たちと一部目立たないことが存在感になっているような人(この言葉適切じゃないよね、ごめん)と、その他大多数の普通の人たちで成り立っている。
きっと普通の中でも、さらにちゅうくらいの位置に属していたであろうわたしが、その学校でバスケ部の○先輩といえば知らない人はいないというような人気者の先輩に告白されたのだ。
その先輩とはたまたま学校行事で同席したことがあって、それから不思議とウマがあって廊下ですれ違うときだけちょっと立ち話する程度の仲ではあったけど、それだけだった。
だから友達はもちろん、知らない生徒たちさえ『なにそれ!!』だったはず。
その他大勢のひつじの群れの中のひとりだったわたしに年上のかっこいい先輩が、手紙をくれる何通も、好きな曲をテープに集めてプレゼントしてくれる、お休みの日にはドライブに連れて行ってくれた。
さえない群れのひとりだったわたしが夢のような展開に有頂天になってしまうのはあっという間だった。
もともと恋愛にのめり込みやすい体質だったせいもあって、どんどんその先輩に夢中になっていた。
(いま思えば、、まさしく『恋に恋する』状態だったのだけどね^^;)
夏休みには旅行に行こうと誘われた。
はじめての旅行に戸惑いながらも、期待と不安に胸を膨らませていた梅雨明けのあたり。
先輩の態度がちょっとそれまでと違うように感じられてきた。
おかしいな?と思って数回、別れ際にお手紙をもらった。
ひさしぶりのお手紙にうれしい気持ちで家に帰って封を開けると、そこには『別れてほしい』ということが書かれていた。
だから、このところ態度が変だったんだ。
わたしったら、とっても好きになっちゃって、困った。
涙がたくさんたくさん流れた。
『りん子が俺を好きというたび、俺の心は重くなってた』
見慣れたクセのある字でそう書かれていた。
そうか、人を好きになったら、その好きを調整しないといけないんだ。
わたしは溢れんばかりの『好き』を持っていることと、でも、それは全部溢れさせてはいけないものなんだということを、このとき同時に知った。
高校生の交際の終わり方なんてあっけないというかなんというか、最後まで『お前はお前でがんばれよ』みたいないい人のままでいようとする先輩に対して、ただ受け入れるしかできず数週間。
学校帰りのバス、一番後ろに座っていた。
何気なく振り返るとわたしを海に連れて行ってくれた見慣れた白のラングレー。
偶然にも先輩の車が後ろを走っているではないか。
わたしは失恋の悲しさを一瞬忘れ、懐かしい車と恋をした男の姿に思わずうれしくなって身を乗り出していた。
先輩も気づいて手を振ってくれたけど、ふと我に返り、すぐ正面を向いて自分の姿を消した。
メガネだった。
いつもはコンタクトなのに、その日に限って調子が悪くてメガネだったのだ。
昔の高校生のメガネなんていまみたいにオシャレじゃない。
ましてひつじの群れの中のひとりの女子のメガネ姿なんて、たださえないだけだ。
もしかしたら、もう先輩と会うことはないかもしれないのに、どうして今日に限ってメガネだったんだろう。
うまくいかないものはどこまで行ってもうまくいかないのかなと、幼い恋の結末をはじめて見たような気がした。
では、ここで一曲。
松任谷由実『DESTINY』。
どうぞ〜。
と幼い恋の思い出をラジオ風にしてお届けしました(笑)
『ねえ、ユーミン、わたしの日記帳読んだ!?』というようなことがユーミンの歌詞にはよくあるのだ。
きっと、他にも『読まれた!?』経験のある方、いるよね^^
COMMENT
今の時代だったなら、メガネっこモテアイテムですもんねぇ・・・
私は湿度をもって中島みゆき派でした(笑)
私は湿度をもって中島みゆき派でした(笑)
薫さん
そうなの;;
しかも、スーパー近視なので、とほほでした。
じゃあ、薫さんは中島みゆきに日記見られていた派ね^^
そうなの;;
しかも、スーパー近視なので、とほほでした。
じゃあ、薫さんは中島みゆきに日記見られていた派ね^^
惹かれ合う理由」の中に「好きになるのをセーブ
するのをやめよう」みたいな私の言葉がありますが
りん子はこの一件がトラウマみたいになっていた
のかもしれませんね。
好きを溢れさせることはしてはいけないこと。
つきあい始めの頃よく、「重くないですか」「うっとお
しくないですか」と私によく聞いていました。
お互いが、お互いに全開フルスロットルで
コミュニケーションをとって、7~8年もするのに
飽きないことに呆れます。
するのをやめよう」みたいな私の言葉がありますが
りん子はこの一件がトラウマみたいになっていた
のかもしれませんね。
好きを溢れさせることはしてはいけないこと。
つきあい始めの頃よく、「重くないですか」「うっとお
しくないですか」と私によく聞いていました。
お互いが、お互いに全開フルスロットルで
コミュニケーションをとって、7~8年もするのに
飽きないことに呆れます。