絶叫 その2
非日常的な日常(ある意味^^)
わたしはとても恐がりだと思う。
一口に『恐い』と言ってもいろいろな種類のものがあるけれど、たぶんかなり多くの種類の『恐い』に対して該当していると思う。
耳のピアスも開けるの恐いし。
夜道にすれ違う人にも、どきどき。
那智さんに後ろから驚かされるだけでも飛び上がるほどの恐がりよう。
痛さを連想させるものやオバケ?のような恐さ、オバケ以上に人も恐いとも思っているし、単純にどきっ!!とさせられることさえも恐い種類に入ってしまっているのだ。
こんなわたしには暗い廊下は心霊スポットになりすれ違う人は殺人鬼になる。
歯医者の椅子なんか処刑台だ(笑)
そして一度『恐い』と思ったらなかなかそこから抜け出せないという厄介な迷路にはまることもある。
まだお付き合いが始まってそれほど経たないころだったと思うけど、夜お電話をしていて恐い話になった。
どんな話か忘れちゃったけど、とにかく恐い迷路にはまってしまった。
那智さんは面白がって『りん子後ろ!!』なんていうのだけど、本気でうわうわ恐がって、廊下に人影があるんじゃなかとかカーテンの隙間から誰か覗いているんじゃないかとか、どんどん自分で恐さを割増ししてしまっていた。
(いや、冷静に考えれば、電話の向こうの那智さんに『後ろ』と言われても、見えてるわけじゃないのにね^^;)
そんなわたしを面白がり、那智さんは遊園地のお化け屋敷に連れいてく計画をもう何年も前から練っている。
富士山の見えるあの遊園地にどうやらとてもとても恐いお化け屋敷があるらしいのだ。
全行程30分もあるお化け屋敷だそうで、その話題が出る度に、絶対無理です!!と拒否していた。
遊園地のお化け屋敷はいつから行っていないだろう。
お化け屋敷にはいい思い出はひとつもない。
高校の文化祭のお化け屋敷でさえも恐くてほとんど前に進めず入り口から出してもらった。
中学生の頃には5人という奇数で遊園地に行き、ジャンケンで負けてミステリーカートなる車のお化け屋敷にひとりで乗るという惨劇にも見舞われている。
このときは片思いの◯君と乗って「きゃー、◯君こわーい」と可愛さアピールする目論見だったが、見事に打ち砕かれた。
「きゃー、こわーい」はおろか、力一杯目を瞑り耳を塞ぎただひたすら座席にうずくまるという最悪の出来事だった。
ネズミさんの国は別物としてもう20年以上行っていないのではないかな。
怖がりだしいい思い出もない、お化け屋敷はわたしの人生から排除されるべきものなのだ。
そんなお化け屋敷、那智さんの目論見を聞かされながらも、なかなか機会に恵まれずまだ行かずに済んでいた。
絶叫のホテルを後にして、中華と紹興酒でお腹いっぱいになり、腹ごなしに夜景を見ながら駅3つ分くらいお散歩した。
もうすぐ目的の駅に着くのだけど、まだすこし時間がある。
名残惜しい気持ちが通り道にある小規模の遊園地へ、わたしたちを誘う。
なんか乗ろうか^^
大中小の3種類くらいのジェットコースターを指して提案してくれた。
いいですよ、いいですよ、ここのジェットコースターは乗ったことないけれど、デートの〆にちょっとスリルを味わうにはちょうど良い規模だと思う。
チケットを買いに受付に行くと、それ以外のアトラクションも一覧になって表示されていた。
ジェットコースター、水の上を走るジェットコースター、子供の乗るゴーカート、いろいろある。
あ、…お化け屋敷…。
ほぼ同時に気づいた。
これにしよう!!
あ〜、やっぱりそう来ますか!?
那智さん、わたし、恐いの苦手ですよ〜?
うん、知ってる^^
うわ、やだな〜、お化け屋敷。
すっごく久しぶりだし、きっと恐がっちゃうな〜。
このとき、那智さんはもちろん、わたし自身でさえ、わたしの『恐がり』を甘く見ていた。
イヤだなとか恐がっちゃうな〜と思いながらも、あの中学生のときに果たせなかった『○くん、こわーい』を叶えることができるかもしれない。
那智さん、こわーい
大丈夫だよ
…わ!!
きゃあ、もう、那智さんったら〜♪
まったくりん子は恐がりだな〜
でも、そこが可愛いんだけどな〜
えへへ♪
恐いながらも、それをダシにいちゃいちゃするわたしたち…。
こんな図を思い描いて、那智さんとなら恐いことも楽しめるかもしれないと、ちょっと甘酸っぱい気持ちが盛り上がり、さほど抵抗せずチケットを購入する那智さんの後についていた。
チケット売り場の後方にある大きな建物の一回にお化け屋敷はあるようだ。
ちょっぴり恐い、でも甘酸っぱい気持ちでそちらに歩きながら、はたと気づく…那智さん『わ!!』って脅かす、それくらい想像はしていたけど、いや、『わ!!』なんて可愛らしいものじゃない、那智さんのことだ、わたしが泣くくらいまで脅かすに決まってる、しかも何度も…。
中学時代に果たせなかった思いが強すぎたのか、いま現在わたしの隣りにいて手を引いてくれるリアルな人物のキャラクターに思いを巡らせることを怠ってしまっていた。
うう、恐怖レベルの針がプンッと一目盛り分跳ねた。
しかし、ここで『脅かさないでくださいね』なんて言おうものなら、5倍になって帰って来る。
とりあえず跳ねた針を見ないフリをして建物に近づいていく。
近づくに連れて、あのお化け屋敷の入り口特有のいやーーーな空気になってきた。
黒字に赤の文字。
中世の鎧兜。
おどろおどろしいBGMと叫び声。
あ…、わたし、ダメかもしれない…、ううん、ダメだって昔から決まっていたことじゃん。
なんでいままで忘れてた!?
恐怖レベルの針がさらに5つくらい一気に上がる。
わたしったら、一瞬甘美な想像が那智さんのキャラクターも、自分の『恐がり』度合いも見て見ぬフリしてたよね!!
どうしよう、やっぱり無理かも…。
入り口に到着した頃には、すでに後悔していた。
それと同時進行で、那智さんはサクサクと係の人とやり取りをしている。
お道具鞄のコロコロバッグは持って入らないのいけなのかという話のようだ。
こちらではお預かりできませんので、お持ちいただくか、コインロッカーに預けていただくしかありません
そうかぁ、出て来るまで何分くらいかかりますか?
5、6分ですね
じゃあ、持っていきます
ご、ろっぷん〜〜〜!!!
あああああ、そうだ、お化け屋敷というのは『ご、ろっぷん』かかるんだ。
なんで、わたしったら、その辺をリアルに想像しないでいちゃいちゃの想像ばかりしてたんだ!!
『ご、ろっぷん』も恐怖の中にいるなんてあってはならない事態だ。
那智さんのキャラクターと恐怖の滞在時間に打ちのめされそうになっているわたしにトドメの一撃。
『人による脅かし』があるコースとないコースがありますが、どちらにしますか?
ひ、ひ、ひとによる、脅かし?!
じゃあ、あるほうで
無理です、無理です、信じられない!!
人が脅かして来る。
人っていうのは、人形とは違うから意思で動くんですよ。
人形なら20㎝しか前に出ないところが、人なら気分で30㎝も40㎝もこちらに近づけるし、追いかけようと思えば追いかけることもできる生き物なんですよ!!
お化け屋敷で人力を使ってはいけません!!
頭の中で拒否、否定、抵抗するけど、人ってあまりにショックだとそれを表現することができなくなるのかもしれない、あわあわしながらもなんだか大人しく従っていった。
なにやらチェックポイントがあるそうで、渡されたライトをかざすと次のエリアに行かれるそうだ。
全部クリアしたら出口だけど、そのチェックポイントにはギブアップ用のルートもあるらしい。
係の女の子がそんな説明を聞いて、いざスタート。
那智さん左手にライト、右手にコロコロ。
スタスタと進んでいく。
ゲートみたいなのをくぐった。
ここからお化け屋敷だ!!
お化け屋敷に入ったという認識だけで、恐怖レベルMAX!!!
一瞬にして針が振り切れた。
うわぁぁぁ!!!!
やっぱりダメ〜〜!!
何かあるかとか、何かないかとか、関係ない。
お化け屋敷に入ったということだけで、もう絶叫しないではいられない。
那智さん、やっぱり恐いです!!!
恐すぎる。
恐くて目を開けられない。
それに絶対目を開けちゃいけない。
開けたらもっと恐くなる。
恐すぎる。
恐くて叫ばずにはいれらない。
叫んでいないと正気を失いそうだし、別の恐い声が耳に入ってくる。
もう、外界からの刺激を遮断していないと耐えられない。
那智さんの左肩後方に顔を押し付け『無理無理!!』とか『もう、やだ〜』とか声を上げながら、目を堅く瞑ってヨチヨチついて行くことが精一杯。
時折、足元から『プシューー』とガスが吹き出たり、何やら『あうあう』呻き声が聞こえてきたり。
その度に
ああああ、なんか足〜〜〜〜!!!
那智さん、誰かあうあう言ってます〜〜〜〜〜!!!!
絶叫のさらに上を行く絶叫。
ずっと那智さんにしがみついて下を向いて歩く。
全身から汗は吹き出るし、喉もだんだん枯れていく。
右手にコロコロ、左手にライト、右肩にわたしの那智さん。
いつまで経っても終わりの気配がしない。
時々那智さんがライトをかざしているのかチェックポイントクリアの音声が聞こえるけど、もういくつクリアしてるかもわからない。
那智さん、もうおしまいにしてくださいー!!
もちろん、聞き入れてくれない。
ああ、もう、自分で自分がコントロールできていない。
恐怖レベルの針はずーーっとMAX、振り切ったまま。
恐い迷路に迷い込んでしまって、もう何をどうしても恐い。
ごめんなさい!!
とうとう、誰かに対して謝り出した。
ごめんなさい!!
わたし、恐がりなんです!!
今度は自己紹介しはじめてるよ、わたし!!
恐いのダメなんです!!
お願いします、あんまり脅かさないでください!!!!
ついにはお化け屋敷で『脅かさないで』とお願いまでし出す始末。
だって『人の脅かし』がある方なんだもん。
その人にこの気持ちが届くようにもう必死に訴えていた。
ほんと、恐がりなんです。
恐いのダメなんです。
お願い脅かさないで!!
大声で自己アピールと懇願。
ずっと絶叫しながら自己紹介する女を連れ、5、6分間、ひたすらチェックポイントをクリアしていく那智さんの情けなさは如何ばかりか。
結局、二度ほど薄目を開けて暗い床を見ただけで、それ以外は那智さんの肩に顔をうずめて目を瞑ってヨチヨチ歩いていた。
あまりの豹変ぶりと異常な恐がりように那智さんはわたしのことを『恐い』と思ってしまったそうだ!!
たとえば悪魔に取り憑かれた人間に遭遇したような恐さだろうか。
さすがに絶叫しながら自己紹介する女を『可愛いヤツ』とは思ってくれず、可愛いどころか、恐がられるわたし…。
おそらく、那智さんもお化け屋敷に入ろうと提案したときに想像してた『まったくりん子は恐がりだな〜♪』なんて状況とは大きくかけ離れていると感じていただろう。
恐いし、恥ずかしいし、反面『守らなきゃ』という保護者の気持ちも湧き、とても複雑でけっこう大変だったようだ。
『わ!!』って脅かすことなんて頭から飛んでしまっていたみたい。
那智さんの専売特許の『いじめっこ』は、このときばかりは影を潜めて、ただ単に黙々とクリアする人になっていた^^;
わたしも絶叫したけど、那智さんも心の中で違う意味で絶叫していたかもしれない^^
かくして絶叫のデートはふたりともヘトヘトで幕を閉じたのでした。
わたしはとても恐がり。
今回、わたし自身もわたしの『恐がり』を侮っていた。
お化け屋敷で自己紹介するような恐がりは『那智さん、こわーい♪』なんて妄想しちゃいけないんだ。
だから中学生のときに果たせなかった『○くん、こわーい♪』はおそらく一生叶わないだろう。
って、今回は骨身にしみたから、叶わなくてもいいの!!
『那智さんに恐がられるわたし』なんて、ぜんぜん好みの立ち位置じゃないもん。
今朝の「等式」感想です。
りん子の事が怖いと思ったのは初めてです、あの絶叫の連続は並みではない。そして、りん子の「羞恥心」VS「恐怖心」はかる~く恐怖心が勝つと言うことを思い知らされました。私も「びっくり(驚き)」はします、恐がりではないと思いますが。
だから、感想として恐がりと驚きニュアンスの違いを楽しもうと提案しても無駄でした。(笑)今なら、まあ、可愛いと言えるけれど、その時のりん子の絶叫はお化けよりも怖い。そして、今思いましたが、怒りや笑いが自分の声で増幅するように恐怖も同じような効果があるのではないかと思った次第です。
わたしはとても恐がりだと思う。
一口に『恐い』と言ってもいろいろな種類のものがあるけれど、たぶんかなり多くの種類の『恐い』に対して該当していると思う。
耳のピアスも開けるの恐いし。
夜道にすれ違う人にも、どきどき。
那智さんに後ろから驚かされるだけでも飛び上がるほどの恐がりよう。
痛さを連想させるものやオバケ?のような恐さ、オバケ以上に人も恐いとも思っているし、単純にどきっ!!とさせられることさえも恐い種類に入ってしまっているのだ。
こんなわたしには暗い廊下は心霊スポットになりすれ違う人は殺人鬼になる。
歯医者の椅子なんか処刑台だ(笑)
そして一度『恐い』と思ったらなかなかそこから抜け出せないという厄介な迷路にはまることもある。
まだお付き合いが始まってそれほど経たないころだったと思うけど、夜お電話をしていて恐い話になった。
どんな話か忘れちゃったけど、とにかく恐い迷路にはまってしまった。
那智さんは面白がって『りん子後ろ!!』なんていうのだけど、本気でうわうわ恐がって、廊下に人影があるんじゃなかとかカーテンの隙間から誰か覗いているんじゃないかとか、どんどん自分で恐さを割増ししてしまっていた。
(いや、冷静に考えれば、電話の向こうの那智さんに『後ろ』と言われても、見えてるわけじゃないのにね^^;)
そんなわたしを面白がり、那智さんは遊園地のお化け屋敷に連れいてく計画をもう何年も前から練っている。
富士山の見えるあの遊園地にどうやらとてもとても恐いお化け屋敷があるらしいのだ。
全行程30分もあるお化け屋敷だそうで、その話題が出る度に、絶対無理です!!と拒否していた。
遊園地のお化け屋敷はいつから行っていないだろう。
お化け屋敷にはいい思い出はひとつもない。
高校の文化祭のお化け屋敷でさえも恐くてほとんど前に進めず入り口から出してもらった。
中学生の頃には5人という奇数で遊園地に行き、ジャンケンで負けてミステリーカートなる車のお化け屋敷にひとりで乗るという惨劇にも見舞われている。
このときは片思いの◯君と乗って「きゃー、◯君こわーい」と可愛さアピールする目論見だったが、見事に打ち砕かれた。
「きゃー、こわーい」はおろか、力一杯目を瞑り耳を塞ぎただひたすら座席にうずくまるという最悪の出来事だった。
ネズミさんの国は別物としてもう20年以上行っていないのではないかな。
怖がりだしいい思い出もない、お化け屋敷はわたしの人生から排除されるべきものなのだ。
そんなお化け屋敷、那智さんの目論見を聞かされながらも、なかなか機会に恵まれずまだ行かずに済んでいた。
絶叫のホテルを後にして、中華と紹興酒でお腹いっぱいになり、腹ごなしに夜景を見ながら駅3つ分くらいお散歩した。
もうすぐ目的の駅に着くのだけど、まだすこし時間がある。
名残惜しい気持ちが通り道にある小規模の遊園地へ、わたしたちを誘う。
なんか乗ろうか^^
大中小の3種類くらいのジェットコースターを指して提案してくれた。
いいですよ、いいですよ、ここのジェットコースターは乗ったことないけれど、デートの〆にちょっとスリルを味わうにはちょうど良い規模だと思う。
チケットを買いに受付に行くと、それ以外のアトラクションも一覧になって表示されていた。
ジェットコースター、水の上を走るジェットコースター、子供の乗るゴーカート、いろいろある。
あ、…お化け屋敷…。
ほぼ同時に気づいた。
これにしよう!!
あ〜、やっぱりそう来ますか!?
那智さん、わたし、恐いの苦手ですよ〜?
うん、知ってる^^
うわ、やだな〜、お化け屋敷。
すっごく久しぶりだし、きっと恐がっちゃうな〜。
このとき、那智さんはもちろん、わたし自身でさえ、わたしの『恐がり』を甘く見ていた。
イヤだなとか恐がっちゃうな〜と思いながらも、あの中学生のときに果たせなかった『○くん、こわーい』を叶えることができるかもしれない。
那智さん、こわーい
大丈夫だよ
…わ!!
きゃあ、もう、那智さんったら〜♪
まったくりん子は恐がりだな〜
でも、そこが可愛いんだけどな〜
えへへ♪
恐いながらも、それをダシにいちゃいちゃするわたしたち…。
こんな図を思い描いて、那智さんとなら恐いことも楽しめるかもしれないと、ちょっと甘酸っぱい気持ちが盛り上がり、さほど抵抗せずチケットを購入する那智さんの後についていた。
チケット売り場の後方にある大きな建物の一回にお化け屋敷はあるようだ。
ちょっぴり恐い、でも甘酸っぱい気持ちでそちらに歩きながら、はたと気づく…那智さん『わ!!』って脅かす、それくらい想像はしていたけど、いや、『わ!!』なんて可愛らしいものじゃない、那智さんのことだ、わたしが泣くくらいまで脅かすに決まってる、しかも何度も…。
中学時代に果たせなかった思いが強すぎたのか、いま現在わたしの隣りにいて手を引いてくれるリアルな人物のキャラクターに思いを巡らせることを怠ってしまっていた。
うう、恐怖レベルの針がプンッと一目盛り分跳ねた。
しかし、ここで『脅かさないでくださいね』なんて言おうものなら、5倍になって帰って来る。
とりあえず跳ねた針を見ないフリをして建物に近づいていく。
近づくに連れて、あのお化け屋敷の入り口特有のいやーーーな空気になってきた。
黒字に赤の文字。
中世の鎧兜。
おどろおどろしいBGMと叫び声。
あ…、わたし、ダメかもしれない…、ううん、ダメだって昔から決まっていたことじゃん。
なんでいままで忘れてた!?
恐怖レベルの針がさらに5つくらい一気に上がる。
わたしったら、一瞬甘美な想像が那智さんのキャラクターも、自分の『恐がり』度合いも見て見ぬフリしてたよね!!
どうしよう、やっぱり無理かも…。
入り口に到着した頃には、すでに後悔していた。
それと同時進行で、那智さんはサクサクと係の人とやり取りをしている。
お道具鞄のコロコロバッグは持って入らないのいけなのかという話のようだ。
こちらではお預かりできませんので、お持ちいただくか、コインロッカーに預けていただくしかありません
そうかぁ、出て来るまで何分くらいかかりますか?
5、6分ですね
じゃあ、持っていきます
ご、ろっぷん〜〜〜!!!
あああああ、そうだ、お化け屋敷というのは『ご、ろっぷん』かかるんだ。
なんで、わたしったら、その辺をリアルに想像しないでいちゃいちゃの想像ばかりしてたんだ!!
『ご、ろっぷん』も恐怖の中にいるなんてあってはならない事態だ。
那智さんのキャラクターと恐怖の滞在時間に打ちのめされそうになっているわたしにトドメの一撃。
『人による脅かし』があるコースとないコースがありますが、どちらにしますか?
ひ、ひ、ひとによる、脅かし?!
じゃあ、あるほうで
無理です、無理です、信じられない!!
人が脅かして来る。
人っていうのは、人形とは違うから意思で動くんですよ。
人形なら20㎝しか前に出ないところが、人なら気分で30㎝も40㎝もこちらに近づけるし、追いかけようと思えば追いかけることもできる生き物なんですよ!!
お化け屋敷で人力を使ってはいけません!!
頭の中で拒否、否定、抵抗するけど、人ってあまりにショックだとそれを表現することができなくなるのかもしれない、あわあわしながらもなんだか大人しく従っていった。
なにやらチェックポイントがあるそうで、渡されたライトをかざすと次のエリアに行かれるそうだ。
全部クリアしたら出口だけど、そのチェックポイントにはギブアップ用のルートもあるらしい。
係の女の子がそんな説明を聞いて、いざスタート。
那智さん左手にライト、右手にコロコロ。
スタスタと進んでいく。
ゲートみたいなのをくぐった。
ここからお化け屋敷だ!!
お化け屋敷に入ったという認識だけで、恐怖レベルMAX!!!
一瞬にして針が振り切れた。
うわぁぁぁ!!!!
やっぱりダメ〜〜!!
何かあるかとか、何かないかとか、関係ない。
お化け屋敷に入ったということだけで、もう絶叫しないではいられない。
那智さん、やっぱり恐いです!!!
恐すぎる。
恐くて目を開けられない。
それに絶対目を開けちゃいけない。
開けたらもっと恐くなる。
恐すぎる。
恐くて叫ばずにはいれらない。
叫んでいないと正気を失いそうだし、別の恐い声が耳に入ってくる。
もう、外界からの刺激を遮断していないと耐えられない。
那智さんの左肩後方に顔を押し付け『無理無理!!』とか『もう、やだ〜』とか声を上げながら、目を堅く瞑ってヨチヨチついて行くことが精一杯。
時折、足元から『プシューー』とガスが吹き出たり、何やら『あうあう』呻き声が聞こえてきたり。
その度に
ああああ、なんか足〜〜〜〜!!!
那智さん、誰かあうあう言ってます〜〜〜〜〜!!!!
絶叫のさらに上を行く絶叫。
ずっと那智さんにしがみついて下を向いて歩く。
全身から汗は吹き出るし、喉もだんだん枯れていく。
右手にコロコロ、左手にライト、右肩にわたしの那智さん。
いつまで経っても終わりの気配がしない。
時々那智さんがライトをかざしているのかチェックポイントクリアの音声が聞こえるけど、もういくつクリアしてるかもわからない。
那智さん、もうおしまいにしてくださいー!!
もちろん、聞き入れてくれない。
ああ、もう、自分で自分がコントロールできていない。
恐怖レベルの針はずーーっとMAX、振り切ったまま。
恐い迷路に迷い込んでしまって、もう何をどうしても恐い。
ごめんなさい!!
とうとう、誰かに対して謝り出した。
ごめんなさい!!
わたし、恐がりなんです!!
今度は自己紹介しはじめてるよ、わたし!!
恐いのダメなんです!!
お願いします、あんまり脅かさないでください!!!!
ついにはお化け屋敷で『脅かさないで』とお願いまでし出す始末。
だって『人の脅かし』がある方なんだもん。
その人にこの気持ちが届くようにもう必死に訴えていた。
ほんと、恐がりなんです。
恐いのダメなんです。
お願い脅かさないで!!
大声で自己アピールと懇願。
ずっと絶叫しながら自己紹介する女を連れ、5、6分間、ひたすらチェックポイントをクリアしていく那智さんの情けなさは如何ばかりか。
結局、二度ほど薄目を開けて暗い床を見ただけで、それ以外は那智さんの肩に顔をうずめて目を瞑ってヨチヨチ歩いていた。
あまりの豹変ぶりと異常な恐がりように那智さんはわたしのことを『恐い』と思ってしまったそうだ!!
たとえば悪魔に取り憑かれた人間に遭遇したような恐さだろうか。
さすがに絶叫しながら自己紹介する女を『可愛いヤツ』とは思ってくれず、可愛いどころか、恐がられるわたし…。
おそらく、那智さんもお化け屋敷に入ろうと提案したときに想像してた『まったくりん子は恐がりだな〜♪』なんて状況とは大きくかけ離れていると感じていただろう。
恐いし、恥ずかしいし、反面『守らなきゃ』という保護者の気持ちも湧き、とても複雑でけっこう大変だったようだ。
『わ!!』って脅かすことなんて頭から飛んでしまっていたみたい。
那智さんの専売特許の『いじめっこ』は、このときばかりは影を潜めて、ただ単に黙々とクリアする人になっていた^^;
わたしも絶叫したけど、那智さんも心の中で違う意味で絶叫していたかもしれない^^
かくして絶叫のデートはふたりともヘトヘトで幕を閉じたのでした。
わたしはとても恐がり。
今回、わたし自身もわたしの『恐がり』を侮っていた。
お化け屋敷で自己紹介するような恐がりは『那智さん、こわーい♪』なんて妄想しちゃいけないんだ。
だから中学生のときに果たせなかった『○くん、こわーい♪』はおそらく一生叶わないだろう。
って、今回は骨身にしみたから、叶わなくてもいいの!!
『那智さんに恐がられるわたし』なんて、ぜんぜん好みの立ち位置じゃないもん。
今朝の「等式」感想です。
りん子の事が怖いと思ったのは初めてです、あの絶叫の連続は並みではない。そして、りん子の「羞恥心」VS「恐怖心」はかる~く恐怖心が勝つと言うことを思い知らされました。私も「びっくり(驚き)」はします、恐がりではないと思いますが。
だから、感想として恐がりと驚きニュアンスの違いを楽しもうと提案しても無駄でした。(笑)今なら、まあ、可愛いと言えるけれど、その時のりん子の絶叫はお化けよりも怖い。そして、今思いましたが、怒りや笑いが自分の声で増幅するように恐怖も同じような効果があるのではないかと思った次第です。
COMMENT
りん子さんの“怖がり方”那智さんのTwitterを拝見してその凄さ、那智さんが恐怖を感じるほどなのですね(^_^;)
私も好きな人に態と嫌がることをするいじめっ子の資質があるのですが、
りん子さんほど真剣に怖がられると「怖がって抱きついてくる」とかを期待する気持ちは失せて、、もう二度とやろうとは思わないですね、
りん子さんこれからも、後ろから脅かされた時には毎回“初めてのように”飛び上がるように驚いてくださいね(^_^)v
私も好きな人に態と嫌がることをするいじめっ子の資質があるのですが、
りん子さんほど真剣に怖がられると「怖がって抱きついてくる」とかを期待する気持ちは失せて、、もう二度とやろうとは思わないですね、
りん子さんこれからも、後ろから脅かされた時には毎回“初めてのように”飛び上がるように驚いてくださいね(^_^)v
パイパン大好きさん
ごめんなさい!!レス飛ばしてしまってました!!
言いたいこと用意していたのに;;
そうなのです。
那智さんを恐がらせてしまった^^;
『抱きつく』程度の恐がりは、さじ加減が難しいみたいです(笑)
そうそう、好きな人を『恐がるとこをしたい』『恥ずかしがることをしたい』という気持ちと『嫌がることをしたい』というのはニュアンスがすこし違う感じがします。
言葉遊びみたいになってしまうかもしれないですけど、『恐がらせたい』『恥ずかしがらせたい』という気持ちのほうが歓迎されるかも?って思いましたよ^^
ごめんなさい!!レス飛ばしてしまってました!!
言いたいこと用意していたのに;;
そうなのです。
那智さんを恐がらせてしまった^^;
『抱きつく』程度の恐がりは、さじ加減が難しいみたいです(笑)
そうそう、好きな人を『恐がるとこをしたい』『恥ずかしがることをしたい』という気持ちと『嫌がることをしたい』というのはニュアンスがすこし違う感じがします。
言葉遊びみたいになってしまうかもしれないですけど、『恐がらせたい』『恥ずかしがらせたい』という気持ちのほうが歓迎されるかも?って思いましたよ^^