男たちの手2
独特な幸福感
『男たちの手1』の続きです。
実はかなり記憶が曖昧なので、那智さんからの情報と合わせています。
それと那智さんの気持ちも情報と推測を交えています。
前回来たときは不思議な盛り上がりだった。
乳首を捻り気持ち良くさせられている私に許可を得たM女性が絡んできた。
服の上からお尻を触ったり、髪を束ねぎゅーっと捻り上げたり(これすごーく気持ちよかった*^^*これだけでいちエントリーになるな)
周りの男性は見学していた。
ハプバーを出た後で『もうちょっと楽しい雰囲気になっていたらな〜』と惜しい感じのことを言っていた。
多分、もう少しコミュニケーションを取ってきていたら『たくさんの手』を実行する気になったのだろう。
見学だけしている男性陣に対して、残念だったな〜という感じだった。
恐らく、那智さんの中でだいぶ熟成されているのだと思う。
りん子の願望と自分の楽しみが一致していることは確認できているし、りん子の性的な成熟度も自分への依存度も増しているから、いま『たくさんの手』を実行に移してもりん子は喜べる。
最後に大事なことは、その場を楽しませてくれるスパイス役の男性だ。
これはとても重要なこと。
那智さんが望んでいることは、りん子を晒すとか誇示するとか性処理道具にするとかではない。(いつかそういうテンションになるときがくるかもしれないけどね)
りん子が自分の手の中で幸福に浸ることだ。
それには、男性の欲望は必要ではあるけれど、それが主体になってはいけないのだ。
あくまでも『スパイス』。
もちろん男性側にもメリットが存在するとは思うけど、メインは自分たち。
それをわきまえている男性たちが必要なのだ。
そのスパイス役が1人できれば数人揃う機会を待っていたのだと思う。
あのね、そういう違いってわかるんだよね。
その場(特にカップルや女性)を楽しませようと思っている男性と、あわよくば『ラッキー』を待っている自分が主体の男性。
それが良い悪いじゃないのだけど、私たちの求めている人は前者だということ。
それは会話の上手い下手じゃないのだよね。
空気でわかる。
で、多分、その感じ取る基準みたいなのが那智さんと私はほぼ一致しているんだな。
昼間に一日外でデートして、大好きな台湾料理を食べて(何とかのひとつ覚え〜)いつものハプバーへ向かった。
歩き疲れてお腹もいっぱいで、今夜はどちらかというと寛ぎに行くみたいな雰囲気だった。
早めの夜。
まだ人は少ない。
ゲイのバーテンさんと女性スタッフ。
あと男女2、3ずつくらいだった。
ただ、この2、3人がすでに全裸とか半裸状態で、人は少ないけど密かに盛り上がっているみたいだった。
私たちが座っているソファの背後のソファで、何やら女性の喘ぎ声が聞こえてくる。
いつまで経ってもそういうことに慣れない私、でも、すごーーーく興味はあるので、チラチラッと様子を伺う。
女性の股の間に男性が収まっているみたいだから、多分舐めてるんだ〜!!
見ちゃいけないものを見てしまったみたいに、目を伏せる。
小さく『いく』と聞こえてきた。
ああ、いったんだ、可愛い声だったな〜。
(私はなかなかクンニでいけないから、ちょっとすごいな〜と思った)
こちらが照れ臭くなってしまって、意味なく那智さんのほうをじっと見てしまう。
側に来た男性と雑談。
『どれくらい来てます?』とか『○曜日はこんなもんですか?』とか。
ポツポツと男性客も増え出した。
那智さん珍しくシャワーを浴びに行った。
その間もお酒を飲んだり、男性とお話ししたり、ついでにお気替えコスプレを物色したり。
候補は真っ赤なロングドレスに決定〜^^
那智さんが戻ってきて、お気替えを決めてもらって続いて私もシャワー*^^*
普段、シャワーなんて浴びないのだけど、この日は2人ともさっぱりしたかったのね。(こういう時、ハプバーは別な用途に使える^^)
さっぱりさせて赤いドレスに着替えて戻ってきたら、那智さんとあと3人の男性がおしゃべりしていた。
比較的和やか。
さっき隣のソファで絡んでいた男女は、またそこで何かはじめていた。
こちらは特に何か起こる感じもなく。
でも他愛もない話でそれなりに盛り上がっている。
うん、多分、今日は何もないだろうな。
それはそれでかまわない。
私がここでどうなるかは那智さんに任せているのだものね。
お話ししている男性のうちの1人。
あ、見覚えのある人だ。
店内は物凄く照明を落としているし、私がソファで男性が床にいて見下げる体勢だたから余計に顔が影になってわからなかったけど、以前に会ったことがある人だ。
そんなに頻繁に行っているわけじゃないから、知っている人に会うのは、ちょっと心が弾む。
しかも、その男性は、以前那智さんが疲れ過ぎてここで熟睡してしまった時に、退屈する私にずいぶん付き合ってくれた人だったから、余計に嬉しくなってしまった。
(『ハプバーの正しい使い方1』)
「以前、お会いしたことありますよね?」
顔を覗き込む。
「んん、暗くてわからないですよ」
男性もこちらを覗く。
「ほら、おもちゃを見せてくれましたよね」
「ああ、りん子さんだ^^」
覚えてくれていた。
「那智さん、那智さんが寝ちゃったときに遊んでくれていた人ですよ」
那智さんにも紹介する。
このとき、ちょこちょこっとエッチなこともあったのだけど、どちらかというと私はそのおしゃべりの時間が気に入っていて、それが嬉しさに繋がっていたみたい。
バイブをたくさん持ってて新作とか試したがってた人、バイブマニアさんだった。
全然女性がいなくてね。
でも、すごいおもちゃ持っていたから、それを使いたいね〜って話してたんです。
私はダメだから、じゃあ、次女性が来たら私も『すごいらしいですよ〜』ってススメてみましょうか、なんて話してたんです。
他の男性たちにも、そのときに話をする。
場がより和やかに^^
「今日も持ってきてますよ!!見ます?」
そう言ってバイブマニアさん、あのときの『すごいの』を持ってきた。
イボイボというかトゲトゲというかがびっしり付いてて、スイッチオンするとカラフルな光を放ちながらぐりぐり動く、それ。
「そうそう、これこれ〜。なんだか恐ろしいものですよね〜」
那智さんも手にして面白がってる。
「使ってみる?」
ああああああ、やっぱりそう来ましたか!?
今日はエッチな空気にならないと、どこかでタカを括っていました。
確かにね、バイブの話題で実物が登場したら、使う流れになりますよね…。
ここの場所で人の目の前で恥ずかしい姿を晒すことは時々ある。
少しずつ慣れているとはいえ、やっぱりすごーくためらう。
まして、穏やかにお話ししていたところだ。
恥ずかしい気持ちと、ちょっと興奮する気持ち。
それとは別に。
イボイボは怖いけど、ちょっと興味もある。
でも、私、おまんこの中の振動系ってあまり感じないのだよね、だから、反応が良くないかもしれないな〜なんてちょっと他人事に思っていた。
長いソファに横になるように、肘掛けに首を預けて体を傾ける。
那智さんがロングドレスをめくりバイブを入れる。
私の足元那智さんの両脇に男性2人、私の左に1人。
人前だということはそれだけで快感を呼んでしまって、思わず呻く。
でも、案の定バイブの振動は、それほど私を追いつめない。
それがわかっている那智さんはすぐにバイブで強く突く。
あああ、それはダメ、那智さん
気持ちよくなってしまう。
なんのためらいもなく、私だって自分にそんなにしないよってほど。
深く強くバイブを突き立てる。
腰ががくがくしている。
人の気配を感じながら、いく。
何度かそれを繰り返しただろうか。
「触っていいですよ」だか「触ってください」だか「どうぞ」だか、覚えてないけど、那智さんのGOサインが出た。
「いいんですか?」「じゃあ」なんて返事があったかもしれなけど、わからない。
那智さんじゃない手がドレスの胸元から入ってきた、少し遠慮気味に。
右も左も。
バイブは相変わらず強く突く。
太もも辺りにも手の感触がある気がする。
もしかしたらクリトリスを触られているかもしれない。
あああああああ、ダメ、こんなこと、こんなことを、ずっと待っていた、喜んじゃう、わたし。
誰が、どれで。
どんな体勢で、何をされているのか。
わからない。
ううん、わからないというか、理解できない。
脳が情報処理作業を放棄したみたいだ。
たくさんの手。
せわしなく、私を触る。
気持ちいい。
どこで感じているのか、それとも脳が感じているのか。
ああ、もっと、ねえ、もっと強くして。
少し遠慮している手がもどかしい。
「やめる?」
多分那智さんの声。
首を振る。
「聞こえないよ、やめていい?」
「やめない…で、ください…」
呻き声がどんどん大きくなっているように思う。
最初に聞いた女性の喘ぎ声をふと思い出し、ああいまの私の声全然かわいくないと、ほんの少し恥ずかしく思う。
「○×&$$」
知らない声!!
遠い意識の中また少し覚醒して、知らない声を感知した。
焦点の合わない目を無理矢理使ってぼんやりするシルエットを見る。
いままでいなかった人だ。
多分、女性を舐めていた男性だ。
心がチクッとする。
この人いやだ。
コミュニケーションも取らずに、私に触るな。
那智さんは許したの?
いいの?那智さん。
この男の欲望を主体にしても。
あの『消耗するセックス』で感じる黒い気持ちが、ふっと湧きそうになった。
それでも、たくさんの手がそれを上回る快感にして、私をまた情報処理放棄状態にさせる。
右からも左からも、たくさんの手が私を触る。
多分、ドレスがまくり上がるほど足を大きく開き。
腰を揺らし、突き出し。
「やめないで」を繰り返していたと思う。
ずぶずぶと温かい泥沼にはまっていくみたいだった。
どれくらいの時間でどんなタイミングで終わったのかわからないけど、那智さんがバイブを洗って戻ってきていた頃脳が情報処理が再開したみたいだった。
ドレスは直され、私はソファに横になっていた(あれ?床だったかな?)
おしぼりで丁寧に汗を拭いてもらって、少しずつ正気を取り戻していった。
こうして『たくさんの手』は終わった。
ハプバーを出てから、そして後日話して、コミュニケーションを取らなかった人が参加したときのいやな気持ちは、那智さんも同じだったことが確認できた。
ただ、そこでお断りすることも大人げないのでそのままにさせていたらしい。
男性の欲望主体じゃなく『スパイス』でいてくれる人じゃないと、2人ともいやな気持ちになる。
やっぱり那智さんと私の基準は同じようで、ホッとした。
次、たくさんの手があるかどうか、それはいつか、相変わらず私はわからない(わからないでいい)。
そのときに『スパイス』になってくれない人もいて、またあのチクッとしたいやな気持ちになるかもしれない。
それでも、それを那智さんと共有できているということは、私を安心させてくれる。
その安心はとても強力なバリアだ。
たくさんの手は想像以上の快感だった。
那智さん以外の人に触られたくもないと思う私は、いまでも本当なんだけど、あの時は『もっともっと』と思っていたことも本当。
触られることの嫌悪感もなく、周りを変に気遣い快感に集中できず醒めてしまうこともなく、あんなふうになれたことが不思議。
妄想が叶った喜びと。
あんなになっちゃう自分に困惑してしまう。
とても複雑な幸福感だ。
喜びと困惑。
新しいシーソーはまた私を揺らしている。
ああ、もう大変!!
シーソーがガンガンお尻に当たって大変な感じです。
でも、これって嬉しい悲鳴っていうのでしょうか^^;
『男たちの手1』の続きです。
実はかなり記憶が曖昧なので、那智さんからの情報と合わせています。
それと那智さんの気持ちも情報と推測を交えています。
前回来たときは不思議な盛り上がりだった。
乳首を捻り気持ち良くさせられている私に許可を得たM女性が絡んできた。
服の上からお尻を触ったり、髪を束ねぎゅーっと捻り上げたり(これすごーく気持ちよかった*^^*これだけでいちエントリーになるな)
周りの男性は見学していた。
ハプバーを出た後で『もうちょっと楽しい雰囲気になっていたらな〜』と惜しい感じのことを言っていた。
多分、もう少しコミュニケーションを取ってきていたら『たくさんの手』を実行する気になったのだろう。
見学だけしている男性陣に対して、残念だったな〜という感じだった。
恐らく、那智さんの中でだいぶ熟成されているのだと思う。
りん子の願望と自分の楽しみが一致していることは確認できているし、りん子の性的な成熟度も自分への依存度も増しているから、いま『たくさんの手』を実行に移してもりん子は喜べる。
最後に大事なことは、その場を楽しませてくれるスパイス役の男性だ。
これはとても重要なこと。
那智さんが望んでいることは、りん子を晒すとか誇示するとか性処理道具にするとかではない。(いつかそういうテンションになるときがくるかもしれないけどね)
りん子が自分の手の中で幸福に浸ることだ。
それには、男性の欲望は必要ではあるけれど、それが主体になってはいけないのだ。
あくまでも『スパイス』。
もちろん男性側にもメリットが存在するとは思うけど、メインは自分たち。
それをわきまえている男性たちが必要なのだ。
そのスパイス役が1人できれば数人揃う機会を待っていたのだと思う。
あのね、そういう違いってわかるんだよね。
その場(特にカップルや女性)を楽しませようと思っている男性と、あわよくば『ラッキー』を待っている自分が主体の男性。
それが良い悪いじゃないのだけど、私たちの求めている人は前者だということ。
それは会話の上手い下手じゃないのだよね。
空気でわかる。
で、多分、その感じ取る基準みたいなのが那智さんと私はほぼ一致しているんだな。
昼間に一日外でデートして、大好きな台湾料理を食べて(何とかのひとつ覚え〜)いつものハプバーへ向かった。
歩き疲れてお腹もいっぱいで、今夜はどちらかというと寛ぎに行くみたいな雰囲気だった。
早めの夜。
まだ人は少ない。
ゲイのバーテンさんと女性スタッフ。
あと男女2、3ずつくらいだった。
ただ、この2、3人がすでに全裸とか半裸状態で、人は少ないけど密かに盛り上がっているみたいだった。
私たちが座っているソファの背後のソファで、何やら女性の喘ぎ声が聞こえてくる。
いつまで経ってもそういうことに慣れない私、でも、すごーーーく興味はあるので、チラチラッと様子を伺う。
女性の股の間に男性が収まっているみたいだから、多分舐めてるんだ〜!!
見ちゃいけないものを見てしまったみたいに、目を伏せる。
小さく『いく』と聞こえてきた。
ああ、いったんだ、可愛い声だったな〜。
(私はなかなかクンニでいけないから、ちょっとすごいな〜と思った)
こちらが照れ臭くなってしまって、意味なく那智さんのほうをじっと見てしまう。
側に来た男性と雑談。
『どれくらい来てます?』とか『○曜日はこんなもんですか?』とか。
ポツポツと男性客も増え出した。
那智さん珍しくシャワーを浴びに行った。
その間もお酒を飲んだり、男性とお話ししたり、ついでにお気替えコスプレを物色したり。
候補は真っ赤なロングドレスに決定〜^^
那智さんが戻ってきて、お気替えを決めてもらって続いて私もシャワー*^^*
普段、シャワーなんて浴びないのだけど、この日は2人ともさっぱりしたかったのね。(こういう時、ハプバーは別な用途に使える^^)
さっぱりさせて赤いドレスに着替えて戻ってきたら、那智さんとあと3人の男性がおしゃべりしていた。
比較的和やか。
さっき隣のソファで絡んでいた男女は、またそこで何かはじめていた。
こちらは特に何か起こる感じもなく。
でも他愛もない話でそれなりに盛り上がっている。
うん、多分、今日は何もないだろうな。
それはそれでかまわない。
私がここでどうなるかは那智さんに任せているのだものね。
お話ししている男性のうちの1人。
あ、見覚えのある人だ。
店内は物凄く照明を落としているし、私がソファで男性が床にいて見下げる体勢だたから余計に顔が影になってわからなかったけど、以前に会ったことがある人だ。
そんなに頻繁に行っているわけじゃないから、知っている人に会うのは、ちょっと心が弾む。
しかも、その男性は、以前那智さんが疲れ過ぎてここで熟睡してしまった時に、退屈する私にずいぶん付き合ってくれた人だったから、余計に嬉しくなってしまった。
(『ハプバーの正しい使い方1』)
「以前、お会いしたことありますよね?」
顔を覗き込む。
「んん、暗くてわからないですよ」
男性もこちらを覗く。
「ほら、おもちゃを見せてくれましたよね」
「ああ、りん子さんだ^^」
覚えてくれていた。
「那智さん、那智さんが寝ちゃったときに遊んでくれていた人ですよ」
那智さんにも紹介する。
このとき、ちょこちょこっとエッチなこともあったのだけど、どちらかというと私はそのおしゃべりの時間が気に入っていて、それが嬉しさに繋がっていたみたい。
バイブをたくさん持ってて新作とか試したがってた人、バイブマニアさんだった。
全然女性がいなくてね。
でも、すごいおもちゃ持っていたから、それを使いたいね〜って話してたんです。
私はダメだから、じゃあ、次女性が来たら私も『すごいらしいですよ〜』ってススメてみましょうか、なんて話してたんです。
他の男性たちにも、そのときに話をする。
場がより和やかに^^
「今日も持ってきてますよ!!見ます?」
そう言ってバイブマニアさん、あのときの『すごいの』を持ってきた。
イボイボというかトゲトゲというかがびっしり付いてて、スイッチオンするとカラフルな光を放ちながらぐりぐり動く、それ。
「そうそう、これこれ〜。なんだか恐ろしいものですよね〜」
那智さんも手にして面白がってる。
「使ってみる?」
ああああああ、やっぱりそう来ましたか!?
今日はエッチな空気にならないと、どこかでタカを括っていました。
確かにね、バイブの話題で実物が登場したら、使う流れになりますよね…。
ここの場所で人の目の前で恥ずかしい姿を晒すことは時々ある。
少しずつ慣れているとはいえ、やっぱりすごーくためらう。
まして、穏やかにお話ししていたところだ。
恥ずかしい気持ちと、ちょっと興奮する気持ち。
それとは別に。
イボイボは怖いけど、ちょっと興味もある。
でも、私、おまんこの中の振動系ってあまり感じないのだよね、だから、反応が良くないかもしれないな〜なんてちょっと他人事に思っていた。
長いソファに横になるように、肘掛けに首を預けて体を傾ける。
那智さんがロングドレスをめくりバイブを入れる。
私の足元那智さんの両脇に男性2人、私の左に1人。
人前だということはそれだけで快感を呼んでしまって、思わず呻く。
でも、案の定バイブの振動は、それほど私を追いつめない。
それがわかっている那智さんはすぐにバイブで強く突く。
あああ、それはダメ、那智さん
気持ちよくなってしまう。
なんのためらいもなく、私だって自分にそんなにしないよってほど。
深く強くバイブを突き立てる。
腰ががくがくしている。
人の気配を感じながら、いく。
何度かそれを繰り返しただろうか。
「触っていいですよ」だか「触ってください」だか「どうぞ」だか、覚えてないけど、那智さんのGOサインが出た。
「いいんですか?」「じゃあ」なんて返事があったかもしれなけど、わからない。
那智さんじゃない手がドレスの胸元から入ってきた、少し遠慮気味に。
右も左も。
バイブは相変わらず強く突く。
太もも辺りにも手の感触がある気がする。
もしかしたらクリトリスを触られているかもしれない。
あああああああ、ダメ、こんなこと、こんなことを、ずっと待っていた、喜んじゃう、わたし。
誰が、どれで。
どんな体勢で、何をされているのか。
わからない。
ううん、わからないというか、理解できない。
脳が情報処理作業を放棄したみたいだ。
たくさんの手。
せわしなく、私を触る。
気持ちいい。
どこで感じているのか、それとも脳が感じているのか。
ああ、もっと、ねえ、もっと強くして。
少し遠慮している手がもどかしい。
「やめる?」
多分那智さんの声。
首を振る。
「聞こえないよ、やめていい?」
「やめない…で、ください…」
呻き声がどんどん大きくなっているように思う。
最初に聞いた女性の喘ぎ声をふと思い出し、ああいまの私の声全然かわいくないと、ほんの少し恥ずかしく思う。
「○×&$$」
知らない声!!
遠い意識の中また少し覚醒して、知らない声を感知した。
焦点の合わない目を無理矢理使ってぼんやりするシルエットを見る。
いままでいなかった人だ。
多分、女性を舐めていた男性だ。
心がチクッとする。
この人いやだ。
コミュニケーションも取らずに、私に触るな。
那智さんは許したの?
いいの?那智さん。
この男の欲望を主体にしても。
あの『消耗するセックス』で感じる黒い気持ちが、ふっと湧きそうになった。
それでも、たくさんの手がそれを上回る快感にして、私をまた情報処理放棄状態にさせる。
右からも左からも、たくさんの手が私を触る。
多分、ドレスがまくり上がるほど足を大きく開き。
腰を揺らし、突き出し。
「やめないで」を繰り返していたと思う。
ずぶずぶと温かい泥沼にはまっていくみたいだった。
どれくらいの時間でどんなタイミングで終わったのかわからないけど、那智さんがバイブを洗って戻ってきていた頃脳が情報処理が再開したみたいだった。
ドレスは直され、私はソファに横になっていた(あれ?床だったかな?)
おしぼりで丁寧に汗を拭いてもらって、少しずつ正気を取り戻していった。
こうして『たくさんの手』は終わった。
ハプバーを出てから、そして後日話して、コミュニケーションを取らなかった人が参加したときのいやな気持ちは、那智さんも同じだったことが確認できた。
ただ、そこでお断りすることも大人げないのでそのままにさせていたらしい。
男性の欲望主体じゃなく『スパイス』でいてくれる人じゃないと、2人ともいやな気持ちになる。
やっぱり那智さんと私の基準は同じようで、ホッとした。
次、たくさんの手があるかどうか、それはいつか、相変わらず私はわからない(わからないでいい)。
そのときに『スパイス』になってくれない人もいて、またあのチクッとしたいやな気持ちになるかもしれない。
それでも、それを那智さんと共有できているということは、私を安心させてくれる。
その安心はとても強力なバリアだ。
たくさんの手は想像以上の快感だった。
那智さん以外の人に触られたくもないと思う私は、いまでも本当なんだけど、あの時は『もっともっと』と思っていたことも本当。
触られることの嫌悪感もなく、周りを変に気遣い快感に集中できず醒めてしまうこともなく、あんなふうになれたことが不思議。
妄想が叶った喜びと。
あんなになっちゃう自分に困惑してしまう。
とても複雑な幸福感だ。
喜びと困惑。
新しいシーソーはまた私を揺らしている。
ああ、もう大変!!
シーソーがガンガンお尻に当たって大変な感じです。
でも、これって嬉しい悲鳴っていうのでしょうか^^;