キーパーソンは清掃員5
非日常的な日常
「10、9、8、」
カウントダウンがはじまった。
ショウウィンドウの凹んだところで『どこでもわんこ』、信号が青に変わって人の流れがこちらに来たためにためらいなかなか四つん這いになれないわたしにカウントダウン。
那智さんは、時々これをする。
「7、6、」
どうしよう。
まだ、通行人の一団は信号を渡りきっていない、いりん子こで四つん這いになればきっと目立つ。
「5、4。」
「やりますから、那智さん。」
「3、2。」
早く、通り過ぎて!!!
「1、0。」
一団の動きがスローモーションに感じる。
「やりますから、待ってください、人が通りすぎたら。」
「1m、2m、3m」
あああ、早く、今度は距離のカウントが始まってしまった。
お散歩になってしまったということだ。
もう、まわりが見えなくなってる。
「4m、5m」
「はい、やりますから!!」
「6m」
人が通り過ぎたか、わからない、でも、これ以上距離を伸ばすのは恐ろしい。
咄嗟に道路に背を向け、さっとしゃがんで手をつく、膝をつき、お尻を上げる。
やるって言ってるのに!!
なんでわかってくれないの!?
いつも、こういうときは、わたしのタイミングを待ってくれることが多いのに!!
半ばヤケッパチな気持ちだ。
「那智さん、やりましたから、やりましたから。」
下を向いたまま訴える。
6mのカウントが恐ろしくて、四つん這いのままじっとしていられない。
6mのカウントがお散歩を意味しているのか、万が一違うかもしれない、確かめずにはいられない。
合図がないのに立ち上がってしまう。
「6m散歩ね。」
あああああ、やっぱり。
「違うの、那智さん、やりたくなかったんじゃなくて、信号が変わって。」
「ばかだね〜、最初にやっていれば、それでおしまいにしてあげるつもりだったのに(笑)」
「ごめんなさい、でも、人、いっぱいこっちに向かってて。」
「はい、四つん這い。」
ためらっていると。
「6m」
またカウントしはじめた!!
「はい!はい!!」
即座に四つん這い(笑)
「うん、じゃあ、行くよ。」
バンジーだか清水だか、とにかく断崖絶壁を見下ろし、背中を押されたり命綱を渡されたり。
最後、もう大丈夫だろうと安堵したら、また思い切り背中を押されたのだ。
一度安堵してしまうと怖さが倍増する。
「無理です、那智さん!!」
タイルから手を離し普通にしゃがむ。
「リードがなきゃ、いや!!」
咄嗟に出たこじつけの理由。
それなら『じゃあ、リードがあればするね』とリードをつけて確定になっちゃう。
だから、慌てて否定。
「うそです、リード関係なく、無理!!!」
もう、支離滅裂。
でも、リードなしでお散歩の不安は、あながちテキトーな理由でもなかった。
『どこでもわんこ』ではリードなしもあるけど、いままで『お散歩』のときはリードをしていた。
那智さんとの繋がりに感じていたリード。
エロじゃない不思議な露出を楽しむ那智さん。
洋服を着た女性が四つん這いで歩いていたら『?』と思われるだろう。
気づく人がいるかどうかわからないけど、その『?』の答えのリード。
リードはわたしの大義名分。
怖さや恥ずかしさや申し訳なさからわたしを守ってくれる那智さんのバリア。
そのときは、そこまで深く考えていなかったけど。
やはり、リードのない不安を無意識には感じていたはずだ。
だから、咄嗟に出た言い訳だけど、テキトーでもないと思う。
「距離伸ばす?(笑)」(こういうとき、ほんとに笑ってるんだよね^^;)
「いいえ!!」
とにかく四つん這いに戻る。
「行くよ。」
動けない。
「ほら。」
そう言って、わたしの髪を一瞬掴んでくっと引いた。
それを合図に一歩踏み出す。
心は恐ろしくてためらいまくってる。
なのに、なぜだろう、髪を引かれたら『動く』のだ、体が勝手に。
磁石に引き寄せられるゼムクロップみたいに、あっけなく。
手は離れた。
歩き出し、すぐ思った。
リードがないと、不安だ。
だって、那智さんとわたしの歩く早さが違うから。
最初に踏み出す一歩だけで、ぐんっと距離が開くのがわかった。
那智さんの足が離れるのが視界に入る。
待って!!
必死にもう一歩出しながら心の中で叫ぶ。
そのとき、わたしが待ってと思うのとほぼ同時に、那智さんがわたしに寄り添うように速度を緩めてくれたのが見えた。
わたしの歩調に合わせてくれたのだ。
ああ、嬉しい。
わかってくれた。
はっきり確認することはできなけど、いま那智さんはわたしのすぐ横にいてくれているはずだ。
いつものリードでお散歩で見える革靴の踵じゃない部分がわたしの横で動いているのがわかる。
那智さんが寄り添ってくれている。
わたしを壁側にして那智さんが通路の真ん中を歩き、道路から守ってくれているみたいだ。
リードを引いてぐいぐいと進んでいたお散歩とは違って、ゆっくりとしか進めない。
信じられない状況だ、相変わらずいっぱいいっぱいで必死、だけど、なんて幸福を感じるのだろう。
「&$●×◎」
「はい、大丈夫ですよ〜^^」
小さく女性の声がした。
それと被せるように、那智さんの声。
なに、なに!?
もしかして声をかけられたの!?
声かけられた!!声かけられた〜〜〜!!
(コンビニのときといい、○○の人親切です;;;)
一瞬の幸福感が吹き飛ぶ。
恐ろしいくらい人の目を意識させられる。
どれくらいの人が後ろから見ていて、どれくらいの人に追い越されているのか。
想像できないくらい怖くて恥ずかしくて、しょうがない。
視界にはタイルの茶色と覆いかぶさるわたしの黒髪、隅のほうには那智さんの足の黒い気配。
お守りの指輪を意識する余裕なんてなかった。
声をかけられてわたしの動揺は跳ね上がった。
頭の中はパニックだった。
だけど、不思議と雑踏の記憶がないんだ。
なんて説明しよう…。
ガラス瓶に入り込んだ蠅というのを想像する。
小さな瓶の中で落ち着きなく飛び回り、パニックを起こしたようにガラスに当たりまくる。
ガラスを通して『外』があるのはわかるけど、歪んで見えるし音は聞こえてこないし、逆に蠅のパニックも『外』には響かない。
ジージーとこうるさい羽の音と出口を求めてガラスに追突する音。
自分は蠅そのものなのか、耳を塞いで瓶の中でうずくまる小さなわたしなのか、どちらともいえないのだけど、内側の焦燥感が暴れているような感じ。
外と内、互いにその存在を意識しながらも、でも、まったく遮断された世界にいるようだった。
ただただ、必死に6m。
固いタイルにペタペタとした感触は覚えてる。
なんとなく、ザラッとしていて『汚れる』と思った記憶がある。
膝が痛いと思ったゴツゴツとタイルが当たっていた。
このまま距離が長くなれば確実に痛くなると感じはじめた頃、那智さんの歩みが止まったように感じられた。
一緒に止まる。
そのまま四つん這いでいる。
首筋を撫でられた。(これ、わたしぼんやりしか覚えていなかったのです)
膝が痛くなるかもと想像はできたけど。
距離と時間に対する意識が全然かなった。
立ち止まったここが、6mなのか、中間なのか、わからなかったし、わかろうともしていなかったという感じ。
那智さんの足の気配がわたしの意志のようだった。
「はい、もういいよ。」
撫でていた手でポンッと叩かれた。
6m終わったんだ。
そーっと立ち上がる。
恥ずかしくて、恥ずかしくて顔を上げられない。
高揚する気持ちを那智さんのスーツを握るということでなんとか抑える。
わたしを落ち着かせるためか、しばらくその場に留まる那智さん。
6m。
これが、あっという間のことだったのか、それとも長い時間人目に晒されていたのか、判断できない。
ただ、ショウウィンドウ数十mの散歩はこれの数倍だと、漠然と思う。
6m、四つん這いだった。
ショウウィンドウの真ん中あたりだろう。
うつむいたまま那智さんの腕にしがみつき、残りのタイルの通路を二足で歩く。
ホテルまでの道のり、チェックインしてから、ずっとボーッとしていた。
お湯を沸かしたりコートを掛けたりしている那智さんの横で、ただただ惚けていた。
チェックされたけど、案の定物凄く濡れていた。
いつものことながら、自分の性癖に呆れる。
6mでしたが『ショウウィンドウで四つん這い』いかがでしたか?
昼間の百貨店のショウウィンドウを四つん這いで歩く人が、ここにいるってことが、なんだか自分でも不思議です。
声をかけてきた女性は『大丈夫ですか?』と聞いてきたそうです。
親切な方だったのかなと思い、その方の心を波立たせてしまったことをとても申し訳なく感じますが。
それほど、性的な露出から遠い位置にある行為だということなのかなとも思います。
リードがない分、より一層性的な匂いが排除されたようにも思う。
ふと、読んでくださる人は、性的ではない露出に何を感じるのだろうと思いました。
興奮?怖いもの見たさ?もしかしてフィクション?
どうやらわたしはこれで興奮し幸福を感じるようです。
でも、この日一番印象に残っていることは、羞恥心でも声をかけられた驚きでもなくて。
那智さんの足、なんだ。
いまでもはっきりと思い出せる。
ストップモーションのように心に刻まれている。
それは。
那智さんの、最初の一歩と、一瞬振り返るように足の角度が変わり、すっとこちらに寄り添いながらの次の歩幅を狭めた一歩。
その足の動き。
庇うように速度を緩めて寄り添ってくれる、一瞬もわたしをひとりにしないと那智さんの覚悟を感じさせてくれた、あの足の動きがわたしを幸福にさせるのだ。
怖いものは怖い。
恥ずかしいことは恥ずかしい。
でも、恥ずかしいことはわたしをとても興奮させる。
だけど、それは、すべてにおいてこの『覚悟』の上に成り立っていると思うのだ。
だから、その『覚悟』を持ってわたしを翻弄させる那智さんに、とてもとても興奮して、幸福になる。
やっぱり、翻弄されるのは、清掃員さんじゃなくて那智さんがいい^^
「10、9、8、」
カウントダウンがはじまった。
ショウウィンドウの凹んだところで『どこでもわんこ』、信号が青に変わって人の流れがこちらに来たためにためらいなかなか四つん這いになれないわたしにカウントダウン。
那智さんは、時々これをする。
「7、6、」
どうしよう。
まだ、通行人の一団は信号を渡りきっていない、いりん子こで四つん這いになればきっと目立つ。
「5、4。」
「やりますから、那智さん。」
「3、2。」
早く、通り過ぎて!!!
「1、0。」
一団の動きがスローモーションに感じる。
「やりますから、待ってください、人が通りすぎたら。」
「1m、2m、3m」
あああ、早く、今度は距離のカウントが始まってしまった。
お散歩になってしまったということだ。
もう、まわりが見えなくなってる。
「4m、5m」
「はい、やりますから!!」
「6m」
人が通り過ぎたか、わからない、でも、これ以上距離を伸ばすのは恐ろしい。
咄嗟に道路に背を向け、さっとしゃがんで手をつく、膝をつき、お尻を上げる。
やるって言ってるのに!!
なんでわかってくれないの!?
いつも、こういうときは、わたしのタイミングを待ってくれることが多いのに!!
半ばヤケッパチな気持ちだ。
「那智さん、やりましたから、やりましたから。」
下を向いたまま訴える。
6mのカウントが恐ろしくて、四つん這いのままじっとしていられない。
6mのカウントがお散歩を意味しているのか、万が一違うかもしれない、確かめずにはいられない。
合図がないのに立ち上がってしまう。
「6m散歩ね。」
あああああ、やっぱり。
「違うの、那智さん、やりたくなかったんじゃなくて、信号が変わって。」
「ばかだね〜、最初にやっていれば、それでおしまいにしてあげるつもりだったのに(笑)」
「ごめんなさい、でも、人、いっぱいこっちに向かってて。」
「はい、四つん這い。」
ためらっていると。
「6m」
またカウントしはじめた!!
「はい!はい!!」
即座に四つん這い(笑)
「うん、じゃあ、行くよ。」
バンジーだか清水だか、とにかく断崖絶壁を見下ろし、背中を押されたり命綱を渡されたり。
最後、もう大丈夫だろうと安堵したら、また思い切り背中を押されたのだ。
一度安堵してしまうと怖さが倍増する。
「無理です、那智さん!!」
タイルから手を離し普通にしゃがむ。
「リードがなきゃ、いや!!」
咄嗟に出たこじつけの理由。
それなら『じゃあ、リードがあればするね』とリードをつけて確定になっちゃう。
だから、慌てて否定。
「うそです、リード関係なく、無理!!!」
もう、支離滅裂。
でも、リードなしでお散歩の不安は、あながちテキトーな理由でもなかった。
『どこでもわんこ』ではリードなしもあるけど、いままで『お散歩』のときはリードをしていた。
那智さんとの繋がりに感じていたリード。
エロじゃない不思議な露出を楽しむ那智さん。
洋服を着た女性が四つん這いで歩いていたら『?』と思われるだろう。
気づく人がいるかどうかわからないけど、その『?』の答えのリード。
リードはわたしの大義名分。
怖さや恥ずかしさや申し訳なさからわたしを守ってくれる那智さんのバリア。
そのときは、そこまで深く考えていなかったけど。
やはり、リードのない不安を無意識には感じていたはずだ。
だから、咄嗟に出た言い訳だけど、テキトーでもないと思う。
「距離伸ばす?(笑)」(こういうとき、ほんとに笑ってるんだよね^^;)
「いいえ!!」
とにかく四つん這いに戻る。
「行くよ。」
動けない。
「ほら。」
そう言って、わたしの髪を一瞬掴んでくっと引いた。
それを合図に一歩踏み出す。
心は恐ろしくてためらいまくってる。
なのに、なぜだろう、髪を引かれたら『動く』のだ、体が勝手に。
磁石に引き寄せられるゼムクロップみたいに、あっけなく。
手は離れた。
歩き出し、すぐ思った。
リードがないと、不安だ。
だって、那智さんとわたしの歩く早さが違うから。
最初に踏み出す一歩だけで、ぐんっと距離が開くのがわかった。
那智さんの足が離れるのが視界に入る。
待って!!
必死にもう一歩出しながら心の中で叫ぶ。
そのとき、わたしが待ってと思うのとほぼ同時に、那智さんがわたしに寄り添うように速度を緩めてくれたのが見えた。
わたしの歩調に合わせてくれたのだ。
ああ、嬉しい。
わかってくれた。
はっきり確認することはできなけど、いま那智さんはわたしのすぐ横にいてくれているはずだ。
いつものリードでお散歩で見える革靴の踵じゃない部分がわたしの横で動いているのがわかる。
那智さんが寄り添ってくれている。
わたしを壁側にして那智さんが通路の真ん中を歩き、道路から守ってくれているみたいだ。
リードを引いてぐいぐいと進んでいたお散歩とは違って、ゆっくりとしか進めない。
信じられない状況だ、相変わらずいっぱいいっぱいで必死、だけど、なんて幸福を感じるのだろう。
「&$●×◎」
「はい、大丈夫ですよ〜^^」
小さく女性の声がした。
それと被せるように、那智さんの声。
なに、なに!?
もしかして声をかけられたの!?
声かけられた!!声かけられた〜〜〜!!
(コンビニのときといい、○○の人親切です;;;)
一瞬の幸福感が吹き飛ぶ。
恐ろしいくらい人の目を意識させられる。
どれくらいの人が後ろから見ていて、どれくらいの人に追い越されているのか。
想像できないくらい怖くて恥ずかしくて、しょうがない。
視界にはタイルの茶色と覆いかぶさるわたしの黒髪、隅のほうには那智さんの足の黒い気配。
お守りの指輪を意識する余裕なんてなかった。
声をかけられてわたしの動揺は跳ね上がった。
頭の中はパニックだった。
だけど、不思議と雑踏の記憶がないんだ。
なんて説明しよう…。
ガラス瓶に入り込んだ蠅というのを想像する。
小さな瓶の中で落ち着きなく飛び回り、パニックを起こしたようにガラスに当たりまくる。
ガラスを通して『外』があるのはわかるけど、歪んで見えるし音は聞こえてこないし、逆に蠅のパニックも『外』には響かない。
ジージーとこうるさい羽の音と出口を求めてガラスに追突する音。
自分は蠅そのものなのか、耳を塞いで瓶の中でうずくまる小さなわたしなのか、どちらともいえないのだけど、内側の焦燥感が暴れているような感じ。
外と内、互いにその存在を意識しながらも、でも、まったく遮断された世界にいるようだった。
ただただ、必死に6m。
固いタイルにペタペタとした感触は覚えてる。
なんとなく、ザラッとしていて『汚れる』と思った記憶がある。
膝が痛いと思ったゴツゴツとタイルが当たっていた。
このまま距離が長くなれば確実に痛くなると感じはじめた頃、那智さんの歩みが止まったように感じられた。
一緒に止まる。
そのまま四つん這いでいる。
首筋を撫でられた。(これ、わたしぼんやりしか覚えていなかったのです)
膝が痛くなるかもと想像はできたけど。
距離と時間に対する意識が全然かなった。
立ち止まったここが、6mなのか、中間なのか、わからなかったし、わかろうともしていなかったという感じ。
那智さんの足の気配がわたしの意志のようだった。
「はい、もういいよ。」
撫でていた手でポンッと叩かれた。
6m終わったんだ。
そーっと立ち上がる。
恥ずかしくて、恥ずかしくて顔を上げられない。
高揚する気持ちを那智さんのスーツを握るということでなんとか抑える。
わたしを落ち着かせるためか、しばらくその場に留まる那智さん。
6m。
これが、あっという間のことだったのか、それとも長い時間人目に晒されていたのか、判断できない。
ただ、ショウウィンドウ数十mの散歩はこれの数倍だと、漠然と思う。
6m、四つん這いだった。
ショウウィンドウの真ん中あたりだろう。
うつむいたまま那智さんの腕にしがみつき、残りのタイルの通路を二足で歩く。
ホテルまでの道のり、チェックインしてから、ずっとボーッとしていた。
お湯を沸かしたりコートを掛けたりしている那智さんの横で、ただただ惚けていた。
チェックされたけど、案の定物凄く濡れていた。
いつものことながら、自分の性癖に呆れる。
6mでしたが『ショウウィンドウで四つん這い』いかがでしたか?
昼間の百貨店のショウウィンドウを四つん這いで歩く人が、ここにいるってことが、なんだか自分でも不思議です。
声をかけてきた女性は『大丈夫ですか?』と聞いてきたそうです。
親切な方だったのかなと思い、その方の心を波立たせてしまったことをとても申し訳なく感じますが。
それほど、性的な露出から遠い位置にある行為だということなのかなとも思います。
リードがない分、より一層性的な匂いが排除されたようにも思う。
ふと、読んでくださる人は、性的ではない露出に何を感じるのだろうと思いました。
興奮?怖いもの見たさ?もしかしてフィクション?
どうやらわたしはこれで興奮し幸福を感じるようです。
でも、この日一番印象に残っていることは、羞恥心でも声をかけられた驚きでもなくて。
那智さんの足、なんだ。
いまでもはっきりと思い出せる。
ストップモーションのように心に刻まれている。
それは。
那智さんの、最初の一歩と、一瞬振り返るように足の角度が変わり、すっとこちらに寄り添いながらの次の歩幅を狭めた一歩。
その足の動き。
庇うように速度を緩めて寄り添ってくれる、一瞬もわたしをひとりにしないと那智さんの覚悟を感じさせてくれた、あの足の動きがわたしを幸福にさせるのだ。
怖いものは怖い。
恥ずかしいことは恥ずかしい。
でも、恥ずかしいことはわたしをとても興奮させる。
だけど、それは、すべてにおいてこの『覚悟』の上に成り立っていると思うのだ。
だから、その『覚悟』を持ってわたしを翻弄させる那智さんに、とてもとても興奮して、幸福になる。
やっぱり、翻弄されるのは、清掃員さんじゃなくて那智さんがいい^^
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