制服は戦闘服
独り言
よく痴漢に遭った。
通勤で電車を利用していた頃などは特に。
怖いので、普段はすっとよける程度の抵抗しかできないけれど、い ままでで一番ひどい被害に遭ったとき、わたし史上最高の抵抗をした。
それができたのは、戦闘服を着ていたから。
笹の葉さんのエントリーにコメントを書きながら、制服が戦闘服 だった頃を思い出して、今日はそんな思い出話を書こうって思いま した。(笹の葉さん、ヒントをありがとうございました^^)
かつてコンパニオンの仕事をしていた頃、もう20年も前の話。
お客様の誘導でエレベーターを使う仕事があった。
休日などは殺人的に混雑して、それはそれで重労働。
制服を着てニコニコしている小娘には何を言っても許されると思っ ている大人げない大人もたくさんいて、精神的にも楽じゃない。
紺のワンピースに赤いジャケット、同じ赤の帽子に白い手袋、見た目の華やかさからは想像しにくい大変さもけっこうあった。
でも、まあ、仕事なんて大変なことは付き物で、責任の伴う仕事に比べたら楽しいことのほうが多かったかもしれない。
特に平日の日中などは暇な時間もあって、のんびりした空気で仕事をしたいたと思う。
その平日のある日。
一人のお客を誘導することになった。
大学生くらいのおとなしそうな青年、わたしと同じ年くらいのはずだ。
一人で入場する人もいるし学校が近くにある環境だったので、それほど気にはならなかった。
他に来客の様子もなかったので、そのお客だけを乗せてドアを閉める。
手元の操作板のクローズレバーを右手で押し、左手は閉まるドアに添える。
ドアを閉め切るとき、両手を広げる形で体を横にスライドした瞬間。
いきなり気配がして、背後から胸を『ぎゅーーーーっ』と鷲掴みされた。
ボタンと閉まるドア、両方に手を置くので脇が開いた状態になるのだけど、その開いた両脇に後ろから手を入れ、物凄い力で、胸をむぎゅっと鷲掴みされたの。
「ぎゃーーーーーーーーー!!!!!!!」
突然の出来事に驚いて、咄嗟に悲鳴を上げた。
それと同時にがっとしゃがみ込んだ。
これ以上出ないってくらいの大声を出していた。
飛び上がるほど驚いたのだもの。
ここまでは、無意識の行動。
その行動に驚いたのか、青年がさっと身を引いたのだ。
それを見て、これはいけると、思った。
そろそろ案内階に到着する、そうすれば自動的にドアは開いてしまう。
逃がすもんか。
自動でドアが開かないようにする。
しゃがんだ体勢のまま操作板に手を伸ばし、手動ボタンを瞬時に入れた。
これでドアは開かない。
「なぁにするんですかぁっ!!!!!」
精一杯の強気な声で叫びながら。
ぬわぁぁぁっと立ち上がってにらみつける。
絶対、許さない。
「す、すみません…。」
ひるんでる、これは勝てる。
「すみませんじゃ、ありません!!いま警備を呼びますから!!!」
強気に言い放って、目の前の警備室に繋がるボタンを押す。
その押す指が、ぐわんぐわん震えていた。
それを見て、強気な態度の自分が実は相当怖がっていることも自覚した。
でも、目の前の青年はひるんだままだ。
大丈夫。
そう感じたとき、その青年が口を開いた。
「ああ、ごめんなさい、はじめてなんです…。」
言い逃れしようとしている。
「はじめてだからって…、はい、○号機です。痴漢を確保したので
来てください。」
わたしの声も少し震えているけれど、落ち着いて警備に連絡をする。
通報を終えると、また青年がおどおどしながら懇願してくる。
「はじめてなんです、許してください。」
相手が弱気だとこちらは強気に出られるようで、さらに戦闘モード。
「はじめてだからって言って、こんなことやっていいわけないでしょう!!!」
「はい…。」
「やられたほうの気持ちを考えてみたことあります!?」
警備を呼んでちょっとほっとしたのか、ここまで来ると戦闘モードというより、説教モード。
「すみません、もうしませんから、許してください…。」
警備が来るまでに、なんとか許してもらおうとする青年。
許すつもりはない、説教モードはさらに続き、次の質問。
「もうしませんって、じゃあ、なぜいましたんですか!?」
「きれいだから、つい…。」
きれいだから、つい…?
きれいだから、つい?
きれいだから、つい〜〜〜〜〜〜♪
そうかぁ、きれいだからついねぇ、まあ、それなら致し方ないか、しょうがない逃がしてやろうか…。
待て、りん子!!いかんいかん、そんな口車に乗っちゃいけない。
ひとりボケツッコミ状態。
手動スイッチ解除しようかと反応する右手を、制止。
許すもんか、二度とこんなことしないように、説教モードオン。
「あなたねっ、きれいだからっていって、そんなことしていいと思ってるんですか!!!!」
おーい、りん子ー、そこ否定なしかーー!?
「ご、ごめんなさい…。」
わかってる、制服が引き立ててくれていることも、青年が逃がしてもらいたいから言っていることも。
でも、怖い思いしたんだもんね^^
ここは、ちゃっかり『きれいだから』は受け入れ、しっかり謝罪はさせる、わたし。
この説教が、彼の心に響くかどうかは、疑問ではありますが。
ほどなく警備の人が来て、一人になった途端に膝がガクガク震えだし、その場に立っていられなくなってしまった。
やっぱり、とっても怖かったのだよね。
普段、とても恐がりのわたしがあんなふうにできたのは、青年が弱気っだったのと、仕事場で制服を着ていたからだと思うのだ。
ひとりの小娘がたくさんの人の視線を跳ね返し笑顔で接するための戦闘服。
そして、密室の仕事場がわたしのテリトリー。
自分の身は自分で守るしかないと思っていたんだね。
だから、制服は戦闘服だった。
ただその戦闘服は、一部のマニアからは魅惑のコスチュームになってしまうらしい^^;
いま思えば、強気に出るのも危険だったよね、青年がナイフでも持っていたらと思うと、ちょっと恐ろしい。
なんでもなかったから、こうやって話せるけど。
でも、泣き寝入りは、悔しいものね。(強気といえば『別なりん子』のときも強気でした^^;)
それにしても、相手が下手に出るとこちらはどんどん強気に出られるものですね。
だから、M女さん、強気でいこう^^
そうじゃなくても『M』ってだけで、下手に出るのが当然とタカをくくられているからね。
強気に出ても、平常心で対応してくれる人に従いたいものですね♪
今日はクリスマス。
小心者のわたしが強気になっためずらしい思い出話のプレゼントでしたぁ^^
皆さま、すてきなクリスマスになりますように^^
よく痴漢に遭った。
通勤で電車を利用していた頃などは特に。
怖いので、普段はすっとよける程度の抵抗しかできないけれど、い ままでで一番ひどい被害に遭ったとき、わたし史上最高の抵抗をした。
それができたのは、戦闘服を着ていたから。
笹の葉さんのエントリーにコメントを書きながら、制服が戦闘服 だった頃を思い出して、今日はそんな思い出話を書こうって思いま した。(笹の葉さん、ヒントをありがとうございました^^)
かつてコンパニオンの仕事をしていた頃、もう20年も前の話。
お客様の誘導でエレベーターを使う仕事があった。
休日などは殺人的に混雑して、それはそれで重労働。
制服を着てニコニコしている小娘には何を言っても許されると思っ ている大人げない大人もたくさんいて、精神的にも楽じゃない。
紺のワンピースに赤いジャケット、同じ赤の帽子に白い手袋、見た目の華やかさからは想像しにくい大変さもけっこうあった。
でも、まあ、仕事なんて大変なことは付き物で、責任の伴う仕事に比べたら楽しいことのほうが多かったかもしれない。
特に平日の日中などは暇な時間もあって、のんびりした空気で仕事をしたいたと思う。
その平日のある日。
一人のお客を誘導することになった。
大学生くらいのおとなしそうな青年、わたしと同じ年くらいのはずだ。
一人で入場する人もいるし学校が近くにある環境だったので、それほど気にはならなかった。
他に来客の様子もなかったので、そのお客だけを乗せてドアを閉める。
手元の操作板のクローズレバーを右手で押し、左手は閉まるドアに添える。
ドアを閉め切るとき、両手を広げる形で体を横にスライドした瞬間。
いきなり気配がして、背後から胸を『ぎゅーーーーっ』と鷲掴みされた。
ボタンと閉まるドア、両方に手を置くので脇が開いた状態になるのだけど、その開いた両脇に後ろから手を入れ、物凄い力で、胸をむぎゅっと鷲掴みされたの。
「ぎゃーーーーーーーーー!!!!!!!」
突然の出来事に驚いて、咄嗟に悲鳴を上げた。
それと同時にがっとしゃがみ込んだ。
これ以上出ないってくらいの大声を出していた。
飛び上がるほど驚いたのだもの。
ここまでは、無意識の行動。
その行動に驚いたのか、青年がさっと身を引いたのだ。
それを見て、これはいけると、思った。
そろそろ案内階に到着する、そうすれば自動的にドアは開いてしまう。
逃がすもんか。
自動でドアが開かないようにする。
しゃがんだ体勢のまま操作板に手を伸ばし、手動ボタンを瞬時に入れた。
これでドアは開かない。
「なぁにするんですかぁっ!!!!!」
精一杯の強気な声で叫びながら。
ぬわぁぁぁっと立ち上がってにらみつける。
絶対、許さない。
「す、すみません…。」
ひるんでる、これは勝てる。
「すみませんじゃ、ありません!!いま警備を呼びますから!!!」
強気に言い放って、目の前の警備室に繋がるボタンを押す。
その押す指が、ぐわんぐわん震えていた。
それを見て、強気な態度の自分が実は相当怖がっていることも自覚した。
でも、目の前の青年はひるんだままだ。
大丈夫。
そう感じたとき、その青年が口を開いた。
「ああ、ごめんなさい、はじめてなんです…。」
言い逃れしようとしている。
「はじめてだからって…、はい、○号機です。痴漢を確保したので
来てください。」
わたしの声も少し震えているけれど、落ち着いて警備に連絡をする。
通報を終えると、また青年がおどおどしながら懇願してくる。
「はじめてなんです、許してください。」
相手が弱気だとこちらは強気に出られるようで、さらに戦闘モード。
「はじめてだからって言って、こんなことやっていいわけないでしょう!!!」
「はい…。」
「やられたほうの気持ちを考えてみたことあります!?」
警備を呼んでちょっとほっとしたのか、ここまで来ると戦闘モードというより、説教モード。
「すみません、もうしませんから、許してください…。」
警備が来るまでに、なんとか許してもらおうとする青年。
許すつもりはない、説教モードはさらに続き、次の質問。
「もうしませんって、じゃあ、なぜいましたんですか!?」
「きれいだから、つい…。」
きれいだから、つい…?
きれいだから、つい?
きれいだから、つい〜〜〜〜〜〜♪
そうかぁ、きれいだからついねぇ、まあ、それなら致し方ないか、しょうがない逃がしてやろうか…。
待て、りん子!!いかんいかん、そんな口車に乗っちゃいけない。
ひとりボケツッコミ状態。
手動スイッチ解除しようかと反応する右手を、制止。
許すもんか、二度とこんなことしないように、説教モードオン。
「あなたねっ、きれいだからっていって、そんなことしていいと思ってるんですか!!!!」
おーい、りん子ー、そこ否定なしかーー!?
「ご、ごめんなさい…。」
わかってる、制服が引き立ててくれていることも、青年が逃がしてもらいたいから言っていることも。
でも、怖い思いしたんだもんね^^
ここは、ちゃっかり『きれいだから』は受け入れ、しっかり謝罪はさせる、わたし。
この説教が、彼の心に響くかどうかは、疑問ではありますが。
ほどなく警備の人が来て、一人になった途端に膝がガクガク震えだし、その場に立っていられなくなってしまった。
やっぱり、とっても怖かったのだよね。
普段、とても恐がりのわたしがあんなふうにできたのは、青年が弱気っだったのと、仕事場で制服を着ていたからだと思うのだ。
ひとりの小娘がたくさんの人の視線を跳ね返し笑顔で接するための戦闘服。
そして、密室の仕事場がわたしのテリトリー。
自分の身は自分で守るしかないと思っていたんだね。
だから、制服は戦闘服だった。
ただその戦闘服は、一部のマニアからは魅惑のコスチュームになってしまうらしい^^;
いま思えば、強気に出るのも危険だったよね、青年がナイフでも持っていたらと思うと、ちょっと恐ろしい。
なんでもなかったから、こうやって話せるけど。
でも、泣き寝入りは、悔しいものね。(強気といえば『別なりん子』のときも強気でした^^;)
それにしても、相手が下手に出るとこちらはどんどん強気に出られるものですね。
だから、M女さん、強気でいこう^^
そうじゃなくても『M』ってだけで、下手に出るのが当然とタカをくくられているからね。
強気に出ても、平常心で対応してくれる人に従いたいものですね♪
今日はクリスマス。
小心者のわたしが強気になっためずらしい思い出話のプレゼントでしたぁ^^
皆さま、すてきなクリスマスになりますように^^
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