小さな復讐
りん子的独り言(生意気)
『復讐』と言っても、丑三つ時に藁人形とかカミソリの刃を入れた手紙とかそういうものじゃありません。
そんな風に自覚して怒りを表せるほうがある意味健全かもしれないけど。
その時思い込んでいたことを後になって見つめ直すと本質が見えてくるもので、それを前エントリーから書いてきました。
だから、この復讐も『いま思えば』ということです。
あの時の、必死な一途な思いは、ただのもらえないものに対する『執着』だった。
そして、その『執着』は、小さな『復讐』を果たすためにものでもあったのです。
『2回目の旅』ではさらっとしか触れていませんが、その人(以後Tとします)とは付き合いをおしまいにするのに、もう少し出来事があった。
3回目に会った帰り道、Tじゃだめだと思った。
わたしの『奴隷願望』を叶えるには、『この人』の言うことを聞きたいと思えないとだめだと思った。
自分のことをほとんど話さず、わたしともまともな人間関係を築こうとしないTにはその気持ちは生まれないということにやっと気づいた。
それなら、伝言ダイヤルに『さよなら』のメッセージを吹き込むだけで済むことなのに、その時のわたしはそれをしなかった。
Tじゃだめかもしれない。
でも、話せばわかってくれるかもしれない。
お別れする覚悟で気持ちを伝えれば、違う形で関係を築き直してくれるかもしれない。
3回目の帰り道でだめだと気付き、それ以降もTに対して慕情は感じていなかったはずなのに、そんな風に妙な期待をして、別れを伝えることをしなかった。
また、連絡の取れない日が続いた。
今回は数週間どころじゃなくて、月単位で電話もメッセージも途絶えた。
わたしは半ば意地になって連絡をし続けた。
不思議だよね、もう気持ちは冷めているはずなのに。
ライフワークのようになっていた出ない電話にかける続けた数ヶ月後。
ある日、いきなり電話が繋がったのだ。
わたしも驚いたけど、Tも驚いた様子だった。
聞けば、病院でいまは個室の病室でパソコンなどを持ち込み仕事をしながら長期入院中なのだそうだ。(ほんとかわからないけど)
最近わたしがかけていた電話を転送する設定をしたのだそうだ。
不意の電話で驚いたのか、闘病中で弱気になっていたのか、いつも偉そうだったTの口調が少し柔らかい。
でも、すぐいつもの口調に戻って、しばらく入院しているから、その間は電話しないように、そして、俺を退屈させないように伝言ダイヤルに時々メッセージを吹き込めと言っていた。
そこで、わたしは自分の気持ちを伝えたり関係を築き直してもらうこともせず、ただ心配し、連絡が取れたことを喜び、メッセージを入れることを約束する。
電話を切ってしばらくして。
なぜひと言入院するって伝えてくれなかったのだろう、メッセージを吹き込めばすぐ済むことだ。
百歩譲って急な入院でずっと意識がなかったとしてもいまは電話できているのだから、なぜいま連絡してくれなかったのだろう。
Tにとってわたしは是が非でも連絡を取りたい相手じゃなかったんだ。
そんな風に考えた。
当然、そこまで思考回路が繋がれば、即お別れなはずなのに。
わたしは約束をしたメッセージを時々吹き込んでいた。
気持ちは冷めているいるはずなのに。
一度ちゃんと話したいという思いに駆られていた。
話せばわかってくれるかもしれない、なぜかその思いを捨てられずにいることをまだ『わたしのご主人様』だからだと思っていた。
メッセージはそんなに頻繁に入れられるものではなかった。
だって、一方的にしゃべるなんて長く続くはずない。
でも、時々、『元気ですか?』とか『今日は○時までは話せます』などなど業務連絡のようなメッセージを入れていた。
ある日。
伝言ダイヤルにメッセージはあった。
一時退院しているらしい。
明日、また入院するから今夜電話をしてほしいと。
ああ、話せる。
わたしは小躍りしそうなほど、心がわき上がった。
久しぶりに話すTの声はずいぶん弱気だった。
そして、わたしのメッセージを楽しみにしていたことと、それに感動してもっとおまえを大事にしようと思ったと言った。
その時の照れくさそうな相好を崩すようなはにかんだ声。
ゾッとした。
「次、退院するまで待てるか」と聞かれて。
憑き物が落ちたように、わたしはこう切り出した。
「あなたにとってわたしは是が非でも連絡を取りたい相手ではないようですね。入院の時も一時退院の時もすぐには知らせてくれなかった。わたしは、そういう人とはお付き合いを続けることはできません。お大事に。さようなら。」
それだけ言って電話を切った。
気持ちを伝えて関係を築き直す。
そう勇んでいたのに。
なんて、一方的な別れ方。
連絡を取り続けメッセージを吹き込み殊勝な姿を見せたのは、相手を手中に収めるため。
そして、収めたとわかった途端に切る。
あれは『復讐』だったのだよね。
クローゼットをのぞかせ、わたしの性を明け渡し、それなのにほしいものはくれない。
わたしは、その都度異議申し立てができなかったかわり(ほんとはしなきゃいけないのにね)に、Tをその気にさせて切るという復讐をしたんだ。
だから、何度も連絡をした。
気持ちを伝えればわかってもらえればと拘っていたのは、『わたしのご主人様』との関係構築のためではなく、復讐するための『執着』。
だって、電話を切ったあと。
わたしは爽快感を味わっていたのだもの。
その時は、ひとつの主従が終わったと神妙な面持ちでいたけれど、本心はすっきりしていたんだよね。
でも、その爽快感はとてもとても後味の悪いものだ。
だって、他者も自分も傷つけているみたいなんだもの。
唯一の救いは自分の気持ちを少し言えたということだけ、けっして幸福な出来事ではなかったな。
渦中にいるときにはわからないけど。
こうやって客観視できるようになるとあのとき自分が感じていたことや行動の本質は何か見えてくる。
どうやらわたしは自分に都合良く、自らを偽ることをしてしまうらしい。
だから、自分も他人も傷つけないために『いま』この気持ちの本質はなんだ?と苦手な客観視をする努力をしなくちゃと思う。
わたしは『いま』どうなんだろ?
もしわたしが那智さん対して、この『復讐』のような気持ちを持ち行動に起こしたら、ふたりの間では解決策は考えられているんだ(内緒だけど)。
いま、そして、これからもそうじゃないと思っている。
何を根拠に?
そうそう、わたしは、自分の気持ちを偽りやすいのだから。
ここは那智さんに、ちょっと助けてもらおう。
わたしが『この人』だと思える根拠は。
こんな話をしても、まったく引かないところ!!
むしろこういう話を好ましく聞いてくれる。
それだけとっても、わたしにとっては貴重な存在だと思うのです^^
復讐なんてしないで生きていたい。
なかなかご主人様に会えないM女さんのブログを拝見しながら、本質が見えていなかった自分を思い出してしまったのでした。
『復讐』と言っても、丑三つ時に藁人形とかカミソリの刃を入れた手紙とかそういうものじゃありません。
そんな風に自覚して怒りを表せるほうがある意味健全かもしれないけど。
その時思い込んでいたことを後になって見つめ直すと本質が見えてくるもので、それを前エントリーから書いてきました。
だから、この復讐も『いま思えば』ということです。
あの時の、必死な一途な思いは、ただのもらえないものに対する『執着』だった。
そして、その『執着』は、小さな『復讐』を果たすためにものでもあったのです。
『2回目の旅』ではさらっとしか触れていませんが、その人(以後Tとします)とは付き合いをおしまいにするのに、もう少し出来事があった。
3回目に会った帰り道、Tじゃだめだと思った。
わたしの『奴隷願望』を叶えるには、『この人』の言うことを聞きたいと思えないとだめだと思った。
自分のことをほとんど話さず、わたしともまともな人間関係を築こうとしないTにはその気持ちは生まれないということにやっと気づいた。
それなら、伝言ダイヤルに『さよなら』のメッセージを吹き込むだけで済むことなのに、その時のわたしはそれをしなかった。
Tじゃだめかもしれない。
でも、話せばわかってくれるかもしれない。
お別れする覚悟で気持ちを伝えれば、違う形で関係を築き直してくれるかもしれない。
3回目の帰り道でだめだと気付き、それ以降もTに対して慕情は感じていなかったはずなのに、そんな風に妙な期待をして、別れを伝えることをしなかった。
また、連絡の取れない日が続いた。
今回は数週間どころじゃなくて、月単位で電話もメッセージも途絶えた。
わたしは半ば意地になって連絡をし続けた。
不思議だよね、もう気持ちは冷めているはずなのに。
ライフワークのようになっていた出ない電話にかける続けた数ヶ月後。
ある日、いきなり電話が繋がったのだ。
わたしも驚いたけど、Tも驚いた様子だった。
聞けば、病院でいまは個室の病室でパソコンなどを持ち込み仕事をしながら長期入院中なのだそうだ。(ほんとかわからないけど)
最近わたしがかけていた電話を転送する設定をしたのだそうだ。
不意の電話で驚いたのか、闘病中で弱気になっていたのか、いつも偉そうだったTの口調が少し柔らかい。
でも、すぐいつもの口調に戻って、しばらく入院しているから、その間は電話しないように、そして、俺を退屈させないように伝言ダイヤルに時々メッセージを吹き込めと言っていた。
そこで、わたしは自分の気持ちを伝えたり関係を築き直してもらうこともせず、ただ心配し、連絡が取れたことを喜び、メッセージを入れることを約束する。
電話を切ってしばらくして。
なぜひと言入院するって伝えてくれなかったのだろう、メッセージを吹き込めばすぐ済むことだ。
百歩譲って急な入院でずっと意識がなかったとしてもいまは電話できているのだから、なぜいま連絡してくれなかったのだろう。
Tにとってわたしは是が非でも連絡を取りたい相手じゃなかったんだ。
そんな風に考えた。
当然、そこまで思考回路が繋がれば、即お別れなはずなのに。
わたしは約束をしたメッセージを時々吹き込んでいた。
気持ちは冷めているいるはずなのに。
一度ちゃんと話したいという思いに駆られていた。
話せばわかってくれるかもしれない、なぜかその思いを捨てられずにいることをまだ『わたしのご主人様』だからだと思っていた。
メッセージはそんなに頻繁に入れられるものではなかった。
だって、一方的にしゃべるなんて長く続くはずない。
でも、時々、『元気ですか?』とか『今日は○時までは話せます』などなど業務連絡のようなメッセージを入れていた。
ある日。
伝言ダイヤルにメッセージはあった。
一時退院しているらしい。
明日、また入院するから今夜電話をしてほしいと。
ああ、話せる。
わたしは小躍りしそうなほど、心がわき上がった。
久しぶりに話すTの声はずいぶん弱気だった。
そして、わたしのメッセージを楽しみにしていたことと、それに感動してもっとおまえを大事にしようと思ったと言った。
その時の照れくさそうな相好を崩すようなはにかんだ声。
ゾッとした。
「次、退院するまで待てるか」と聞かれて。
憑き物が落ちたように、わたしはこう切り出した。
「あなたにとってわたしは是が非でも連絡を取りたい相手ではないようですね。入院の時も一時退院の時もすぐには知らせてくれなかった。わたしは、そういう人とはお付き合いを続けることはできません。お大事に。さようなら。」
それだけ言って電話を切った。
気持ちを伝えて関係を築き直す。
そう勇んでいたのに。
なんて、一方的な別れ方。
連絡を取り続けメッセージを吹き込み殊勝な姿を見せたのは、相手を手中に収めるため。
そして、収めたとわかった途端に切る。
あれは『復讐』だったのだよね。
クローゼットをのぞかせ、わたしの性を明け渡し、それなのにほしいものはくれない。
わたしは、その都度異議申し立てができなかったかわり(ほんとはしなきゃいけないのにね)に、Tをその気にさせて切るという復讐をしたんだ。
だから、何度も連絡をした。
気持ちを伝えればわかってもらえればと拘っていたのは、『わたしのご主人様』との関係構築のためではなく、復讐するための『執着』。
だって、電話を切ったあと。
わたしは爽快感を味わっていたのだもの。
その時は、ひとつの主従が終わったと神妙な面持ちでいたけれど、本心はすっきりしていたんだよね。
でも、その爽快感はとてもとても後味の悪いものだ。
だって、他者も自分も傷つけているみたいなんだもの。
唯一の救いは自分の気持ちを少し言えたということだけ、けっして幸福な出来事ではなかったな。
渦中にいるときにはわからないけど。
こうやって客観視できるようになるとあのとき自分が感じていたことや行動の本質は何か見えてくる。
どうやらわたしは自分に都合良く、自らを偽ることをしてしまうらしい。
だから、自分も他人も傷つけないために『いま』この気持ちの本質はなんだ?と苦手な客観視をする努力をしなくちゃと思う。
わたしは『いま』どうなんだろ?
もしわたしが那智さん対して、この『復讐』のような気持ちを持ち行動に起こしたら、ふたりの間では解決策は考えられているんだ(内緒だけど)。
いま、そして、これからもそうじゃないと思っている。
何を根拠に?
そうそう、わたしは、自分の気持ちを偽りやすいのだから。
ここは那智さんに、ちょっと助けてもらおう。
わたしが『この人』だと思える根拠は。
こんな話をしても、まったく引かないところ!!
むしろこういう話を好ましく聞いてくれる。
それだけとっても、わたしにとっては貴重な存在だと思うのです^^
復讐なんてしないで生きていたい。
なかなかご主人様に会えないM女さんのブログを拝見しながら、本質が見えていなかった自分を思い出してしまったのでした。
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