お外で四つん這い1
非日常的な日常
もう今日はお外でわんこは決まっている。
私は、あの坂道をリードを引かれて四つん這いで歩くんだ。
「角を曲がる前の、ラーメン屋の辺りからにする?」なんて脅かしてくる。
「あそこは歩道が狭いから、人の迷惑になります。」
ただ拒否するんじゃだめだから、正当な理由を探してしどろもどろ。
それでも、なお「したいことをしてほしい」という思いがあるから、何度も確認する「無理にしないでいいのですからね…。」
どちらかというと、「ためらうことはしないでほしい」という感じ。
物凄く困ることで、物凄く感じて幸せになれてしまう私、それには那智さんの純粋に「したい」という後押しが重要不可欠。
もしかしたら、そのための確認なのかもしれない。
少しずつ、その時が近付いている。
ファーストフード店を通り過ぎるときに、「コーヒー飲みます?」と先延ばし作戦に出てしまった。
吉と出るか、凶と出るか。
いいえ、私は回避したいんじゃない。
那智さんの手によって、物凄く困ることをして、感じて気持ち良くなって、あなたのものと思いたいんだ。
だけど、とっても勇気のいることだから、気持ちを温める時間が欲しいんだ。
もう少し、コーヒーを飲みながらお話しして、狂気のステップを一段一段上がっていきたいんだ。
コーヒーを頼んで二階の喫煙席に向かう。
幸か不幸か、やけに不自然な死角にある3席だけのカウンター席が空いていて、そこに腰掛ける。
座ったらすぐに、バッグからわんこの尻尾を手にしてチラッと見せながら「トイレで自分で入れる?それともここで入れてあげようか?」と、カウンターの背後にある、二階から三階に行く階段を顎で指す。
「…自分で入れます。」
この尻尾は、丸い真珠のような玉が数珠つなぎになっているアナルパールというものにフォックスのファーを結び付けたもの。
いくつものパールをお尻にしまえば、尻尾が生えているようになる。
黒いコートの中に無理矢理しまい込んで、トイレに行く。
とにかく、急いで入れてしまわなくちゃ。
誰かが入ってきたらいけないもの。
尻尾と一緒に渡されたローションをパールに塗り、お尻に入れていく。
急がなきゃ、気持ちばかりが焦ってしまって、なかなか進まない。
誰かが来て順番を待たれたら、大変。
心臓が張り裂けそうなほど、バクバクしている。
でも、焦れば焦るほど、うまくいかない。
更に、ローションを足して、お尻に入れる。
ローションで手が滑ってしまうから、落ち着かなくては。
ひとつ、もうひとつ。
早く終わって、どうか誰も来ないでください。
怖いよお、とても怖い、でも、嬉しくて、お尻の違和感が気持ちいい。
あと、ひとつ。
やっと、全部入った。
ワンピースを直して、コートの裾を見る。
すそから15cmくらい尻尾が出ている。
ああ、神様。
どんなにコートを引っ張っても、全然隠れてくれない。
トイレから出るのをためらうけれど、しかたがないとにかく那智さんの所に戻らなきゃ。
できるだけ目立たないように歩こう。
トイレのドアから、那智さんのいる隅のカウンター席まで直線の通路。
片側は壁で通路を挟んで縦に4つテーブルが並んでいる。
そこには女性が一人いるだけで、あとは空席。
でも、トイレのドアの左側の別なテーブルには男性が2人座っていたはずだ。
その人たちには後ろ姿を晒すことになる。
気付かれないように、なるべく目立たないようにしないといけない。
心の支えは、人の目線は意外と目の高さにしかないということ。
だから、コートの裾から覗いている15cmの尻尾は視界に入らないだろうということ。
ドアを開けて、目の前の景色にため息をつく。
そうだ、みんな座っていたんだ。
立っていたら視界には入らないけど、座っている高さから他人のコートの裾が視界内になる可能性は高くなるよね。
とにかく、少し壁に背を向け気味に、でも、自然な感じで、急いで元の席に戻る。
「後ろ向いてごらん。」
尻尾の出具合を確認している。
「可愛いね。」
あっ、嬉しい、褒めてもらっちゃった。
心が踊る。
「はい、○○買ってきて。」
お金を渡されて追加の食べ物を頼まれる。
遊ばれてる(泣)意地悪。
トイレからの通路とは別な通路を通って、階下に注文に行く。
階段の途中では、店員さんがモップ掛けをしている。
あまり早く私に気付かないでね、下から見上げないでね、尻尾があるから。
「ありがとうございました〜」
降りてくる私に満面の笑みで声を掛ける店員さん。
私はまた壁に背を向け気味にして、頭を下げてお尻を引いて、お辞儀して通り過ぎる、馬鹿丁寧なお客だ。
今度は、下で並んでいる人に足下から見せて下りてくる形になる。
普通は、足、洋服…顔の順番で登場するけど、私は足、尻尾、洋服…だ。
急いで下りて皆さんと同じ視線の高さまで行かなきゃ。
また、けっこう人が並んでいるんだ。
階段に近い列に並ぶ。
なんとか隠すことができないか、足の間に挟んでみようと少し腰を揺らして尻尾を動かしてみる。
「パフッ」と足に挟んで隠す目論見だ。
でも、実際やってみようとすると、尻尾は思いのほか太くて丸々挟むには、膝をかなりがに股に開かないと無理ということがわかって、揺らしただけで断念する。
なんとか注文して、足早に戻る。
もういっぱいいっぱいの私に那智さんは楽しそう。
スツールに腰掛けるのに尻尾が邪魔で、それを良い位置に収めながら座る手間がなんだか嬉しい。
軽く誇らしいくらい。
必死になって脳みそが疲労してくるけど、これはきっと次に起こるもっと凄いことへの準備には大切なことなの。
少しづつ何かを麻痺させていかないと、できないもの。
この疲労と誇らしい感覚が、心地よくもある。
さあ、出ようと階下に向かう。
たくさんの人が行き交う歩道を腕を組んで歩いていく。
大丈夫、そんなに誰も見ていない。
誰も尻尾なんて気付かないはず。
もし、気付いても、ほら若い子とか、そんなの腰に付けてる子いそうだし。
ただ、若くない女性が足の間から、それを垂らしているというだけのこと。
一生懸命言い聞かせて自分を落ち着かせるけれど、もっと凄いことが待っている。
確実にあの坂でわんこになる時は近付いている。
私はあと少ししたら、アスファルトの上を白昼堂々四つん這いで歩くのだ。
首輪にリードを付けて、那智さんに引かれて普通の道を四つん這いで歩くのだ。
もう今日はお外でわんこは決まっている。
私は、あの坂道をリードを引かれて四つん這いで歩くんだ。
「角を曲がる前の、ラーメン屋の辺りからにする?」なんて脅かしてくる。
「あそこは歩道が狭いから、人の迷惑になります。」
ただ拒否するんじゃだめだから、正当な理由を探してしどろもどろ。
それでも、なお「したいことをしてほしい」という思いがあるから、何度も確認する「無理にしないでいいのですからね…。」
どちらかというと、「ためらうことはしないでほしい」という感じ。
物凄く困ることで、物凄く感じて幸せになれてしまう私、それには那智さんの純粋に「したい」という後押しが重要不可欠。
もしかしたら、そのための確認なのかもしれない。
少しずつ、その時が近付いている。
ファーストフード店を通り過ぎるときに、「コーヒー飲みます?」と先延ばし作戦に出てしまった。
吉と出るか、凶と出るか。
いいえ、私は回避したいんじゃない。
那智さんの手によって、物凄く困ることをして、感じて気持ち良くなって、あなたのものと思いたいんだ。
だけど、とっても勇気のいることだから、気持ちを温める時間が欲しいんだ。
もう少し、コーヒーを飲みながらお話しして、狂気のステップを一段一段上がっていきたいんだ。
コーヒーを頼んで二階の喫煙席に向かう。
幸か不幸か、やけに不自然な死角にある3席だけのカウンター席が空いていて、そこに腰掛ける。
座ったらすぐに、バッグからわんこの尻尾を手にしてチラッと見せながら「トイレで自分で入れる?それともここで入れてあげようか?」と、カウンターの背後にある、二階から三階に行く階段を顎で指す。
「…自分で入れます。」
この尻尾は、丸い真珠のような玉が数珠つなぎになっているアナルパールというものにフォックスのファーを結び付けたもの。
いくつものパールをお尻にしまえば、尻尾が生えているようになる。
黒いコートの中に無理矢理しまい込んで、トイレに行く。
とにかく、急いで入れてしまわなくちゃ。
誰かが入ってきたらいけないもの。
尻尾と一緒に渡されたローションをパールに塗り、お尻に入れていく。
急がなきゃ、気持ちばかりが焦ってしまって、なかなか進まない。
誰かが来て順番を待たれたら、大変。
心臓が張り裂けそうなほど、バクバクしている。
でも、焦れば焦るほど、うまくいかない。
更に、ローションを足して、お尻に入れる。
ローションで手が滑ってしまうから、落ち着かなくては。
ひとつ、もうひとつ。
早く終わって、どうか誰も来ないでください。
怖いよお、とても怖い、でも、嬉しくて、お尻の違和感が気持ちいい。
あと、ひとつ。
やっと、全部入った。
ワンピースを直して、コートの裾を見る。
すそから15cmくらい尻尾が出ている。
ああ、神様。
どんなにコートを引っ張っても、全然隠れてくれない。
トイレから出るのをためらうけれど、しかたがないとにかく那智さんの所に戻らなきゃ。
できるだけ目立たないように歩こう。
トイレのドアから、那智さんのいる隅のカウンター席まで直線の通路。
片側は壁で通路を挟んで縦に4つテーブルが並んでいる。
そこには女性が一人いるだけで、あとは空席。
でも、トイレのドアの左側の別なテーブルには男性が2人座っていたはずだ。
その人たちには後ろ姿を晒すことになる。
気付かれないように、なるべく目立たないようにしないといけない。
心の支えは、人の目線は意外と目の高さにしかないということ。
だから、コートの裾から覗いている15cmの尻尾は視界に入らないだろうということ。
ドアを開けて、目の前の景色にため息をつく。
そうだ、みんな座っていたんだ。
立っていたら視界には入らないけど、座っている高さから他人のコートの裾が視界内になる可能性は高くなるよね。
とにかく、少し壁に背を向け気味に、でも、自然な感じで、急いで元の席に戻る。
「後ろ向いてごらん。」
尻尾の出具合を確認している。
「可愛いね。」
あっ、嬉しい、褒めてもらっちゃった。
心が踊る。
「はい、○○買ってきて。」
お金を渡されて追加の食べ物を頼まれる。
遊ばれてる(泣)意地悪。
トイレからの通路とは別な通路を通って、階下に注文に行く。
階段の途中では、店員さんがモップ掛けをしている。
あまり早く私に気付かないでね、下から見上げないでね、尻尾があるから。
「ありがとうございました〜」
降りてくる私に満面の笑みで声を掛ける店員さん。
私はまた壁に背を向け気味にして、頭を下げてお尻を引いて、お辞儀して通り過ぎる、馬鹿丁寧なお客だ。
今度は、下で並んでいる人に足下から見せて下りてくる形になる。
普通は、足、洋服…顔の順番で登場するけど、私は足、尻尾、洋服…だ。
急いで下りて皆さんと同じ視線の高さまで行かなきゃ。
また、けっこう人が並んでいるんだ。
階段に近い列に並ぶ。
なんとか隠すことができないか、足の間に挟んでみようと少し腰を揺らして尻尾を動かしてみる。
「パフッ」と足に挟んで隠す目論見だ。
でも、実際やってみようとすると、尻尾は思いのほか太くて丸々挟むには、膝をかなりがに股に開かないと無理ということがわかって、揺らしただけで断念する。
なんとか注文して、足早に戻る。
もういっぱいいっぱいの私に那智さんは楽しそう。
スツールに腰掛けるのに尻尾が邪魔で、それを良い位置に収めながら座る手間がなんだか嬉しい。
軽く誇らしいくらい。
必死になって脳みそが疲労してくるけど、これはきっと次に起こるもっと凄いことへの準備には大切なことなの。
少しづつ何かを麻痺させていかないと、できないもの。
この疲労と誇らしい感覚が、心地よくもある。
さあ、出ようと階下に向かう。
たくさんの人が行き交う歩道を腕を組んで歩いていく。
大丈夫、そんなに誰も見ていない。
誰も尻尾なんて気付かないはず。
もし、気付いても、ほら若い子とか、そんなの腰に付けてる子いそうだし。
ただ、若くない女性が足の間から、それを垂らしているというだけのこと。
一生懸命言い聞かせて自分を落ち着かせるけれど、もっと凄いことが待っている。
確実にあの坂でわんこになる時は近付いている。
私はあと少ししたら、アスファルトの上を白昼堂々四つん這いで歩くのだ。
首輪にリードを付けて、那智さんに引かれて普通の道を四つん這いで歩くのだ。
お外で四つん這い2
非日常的な日常
よそ様のブログでMの理性崩壊に至る必要条件として、「Sの嗜好と情熱」を挙げていらした。(M側は「体質」なんだけど、それは「苦痛」のお話だったからちょっとおいとかせてくださいね)
「調教」のようなものはあまり好きじゃない那智さんだけど、スカトロに関しては慎重に積み重ねるようにして、ゆっくりと固く閉じている扉を開けていくような作業をして、ここまできた(どこまで!?)。
これこそ「嗜好と情熱」。
そうそういつもタイミング良く排泄できるわけじゃないから、そういう意味でもゆっくり進まざるを得ない部分もあるけど。
もうひとつ、露出もそうなのではないかな〜と、「お外で四つん這い」を思い出し書きしながら思ったの。
もちろんSMなんだから、鞭でもなんでも徐々にっていうことでは同じなんだけど、もともとマイナスだったものが「気がついたらこんなところまで来てしまった」みたいな、越えた一線を振り返ってはじめて確認するような積み重ねが、私たち(私?)の間では、露出もそうなのかと。
それが、那智さんの「嗜好と情熱」なんだなと、しみじみ思ってしまった。
はじめて会ったとき、すぐ駅の男子トイレに連れて行かれた。
大騒ぎする私のスカートに一瞬手を入れて、「騒ぐと目立つのに」と言ったことが始まりで、デパートの階段やビルの非常階段、はじめは私が怖がることを楽しんでいた部分が大きかったように思える。
おとなしく従うようになり、少しずつ「誇示」する楽しさを増やしていったのではないかしら。
ハプニングバーなどよりも、鋭い刺激の露出が「誇示」する満足度が高いのだろう。
駅のホームやスクランブル交差点、少しづつ手なずけられていった感じだ。
ラブホテル街とはいえ、一般道路と繋がっている道を四つん這いで歩くなんて、いま冷静に思い返せばとんでもないことだ。
それなのに、私はあの日、観念して、待ち望むという複雑な気持ちで坂に向かって歩いていたのだ。
これは、「気がつけば、こんなところまで来てしまった」という状態だろう。
那智さんの、情熱の結果だ(本人はそう自覚しているかわからないけど)
わあ、ちょっと引っ張ってしまった^^;
二回で終わらせよようと思っていたけど、長引いたらごめんなさいね〜。
では、お外で四つん這いの続きです。
少しずつ狂気時間が迫ってきているけれど、なんだかまだ実感が湧かない気がする。
人事のようだ。
よく利用するホテル街は、駅からの道を右に曲がると緩やかな坂道なって広がっている。
ここはパンツでダッシュした所だ(『非日常的な日常』の『みっともない私1、2』に出てます)
その角を曲がる手前にコンビニがある。
更にそれより手前に自動販売機がいくつも並んでいる空間がある。
そこでお茶を買うのが、なんとなくいつもの習慣になっているのだ。
コートの裾から尻尾を出しながら歩いて、まずそこに到着。
鞄から取り出した首輪を受け取って、那智さんがお茶を買っている間に、首に付ける。
「カチャン」
リードを首輪に繋げる。
ぐいっと引いて歩き始める那智さんから離れないように私も歩く。
腕を組んでなんとかリードを隠してみるけど、わざと引くからどうしても前屈みな姿勢になってしまって不自然だ。
ああ、とても恥ずかしい。
誰も不自然なことに気が付きませんように。
気付いて不快な思いをさせてしまったら、ごめんなさい。
何度か書いていますが、露出のためらうところは、恥ずかしいという気持ちだけじゃなくて、すみませんという気持ちが大きい。
世の中にはそれで「おお♪」と思う人ばかりではないでしょう。
明らかな露出はもちろんだけど、不自然な状態だけでも、人の心は波立つはずで、その波が不快感によるものだってあるはずだもの。
だから、いつもごめんなさいと思っている。
不快にさせたら、ごめんなさいって。
うつむいてコンビニまで来たら、那智さんが煙草を買うと言い出した。
買ってくるから待っててと言う。
いや、一人にしないで、いつもは一緒にコンビニにも入るじゃありませんか!?
静かに慌てる私を無視して、コンビニの駐車場にある柵にリードを結びはじめた。
結わくの!?
ここに結わいておくの!?
一人でおとなしく待ってますから、結わかなくてもどこにも行きませんから!!!
言葉は出ない、言葉にしても無意味なことはわかっている。
本当に犬だ。
飼い主が買い物している間に、繋がれて待っている犬だ。
那智さん行かないで、一人にしないで。
リードが短いみたいで、私は普通に立っていられないのだ。
膝を曲げるか、お辞儀をするように体を前屈させるかしないと、立っていられないのだ。
すぐそこは歩道だ。
人が歩いている。
けっこうたくさん歩いているはずだ。
もう、どうしよう恥ずかしい、怖い。
うつむいてリードを結ぶところまでは見ていた。
結び終わってすぐ、うつむいたまま私は両手で顔を覆い、膝を曲げた状態で、ただひたすら待つ。
頭の中はパニックだ。
一秒が永遠にも感じられる。
早く戻ってきて那智さん。
いつもいつも、那智さん那智さんなんだけど、この時ばかりは切望した。
早く、早く、一人にしないで。
身を固くして、顔を隠して、嵐が過ぎるのをじっと待つようだ。
耳だけが冴えてしまっている。
遠くから聞こえてくる話し声が、私の側でピタリと止む、しんとして通り過ぎる気配だけ感じる。
その女性たちの姿が手に取るようにわかって、私は気が狂いそうになる。
ごめんなさい、ごめんなさい、不思議な格好でごめんなさい。
たかが煙草を買いにいくだけの時間だったから、それほど長くはなかっただろう。
でも、何もかもがスローモーションのようで、時間の感覚がない。
パニックで脳みそが酸欠みたいだ。
リードが揺れて、外された。
那智さんが戻って来たんだ。
嬉しい、これで怖くない。
覆っていた手を顔から離す。
でも、まだうつむいたままだ、恥ずかしいもの。
「犬が立っていたらおかしいよね。」
え?何を言っているの??
チラッと顔を上げる。
那智さん越しに、いつの間にか男性2人が何か食べている姿が見えた。
すぐそばに人がいるのですよ、那智さん、何を言っているの!?
「立っていたらおかしいよね。犬は四つん這いだよね?ほら。」
チラッと上げた顔をすぐに下げて、しばらくの逡巡の後、私はその場にしゃがみ込む。
犬なの?犬なんだ。
「犬は四つ足だよね。」
ノロノロと指先をアスファルトに付ける。
沈黙…それでもまだ許してくれないんだ。
膝も付ける。
「それで犬?」
ずっとうつむいたままだから、那智さんの表情がわからない。
どうしたら満足なのか目を見て確認したい。
でも、顔を上げる勇気はない。
私は指先だけ付けていた両手を広げて、掌全部をアスファルトに付けた。
「手を全部付けました、那智さん、見て」
うつむいて小声で訴える。
聞こえないくらいの小さな声。
この非常識な状態から、逃れたいと思って必死になっているはずなのに、なんとも言えない感覚だ。
段々、何も考えられなくなっている。
まわりの雑踏はまったく聞こえない、那智さんの声だけが私の耳に入ってくる、不思議な感覚だ。
晴れた日の午前10時30分、朝の空気が微かに残る人がせわしなく行き交う街中。
アスファルトの灰色と自分の掌と、那智さんの黒い靴。
この瞬間、那智さんの足下だけが私の世界になっていた。
まだ、続きます。
よそ様のブログでMの理性崩壊に至る必要条件として、「Sの嗜好と情熱」を挙げていらした。(M側は「体質」なんだけど、それは「苦痛」のお話だったからちょっとおいとかせてくださいね)
「調教」のようなものはあまり好きじゃない那智さんだけど、スカトロに関しては慎重に積み重ねるようにして、ゆっくりと固く閉じている扉を開けていくような作業をして、ここまできた(どこまで!?)。
これこそ「嗜好と情熱」。
そうそういつもタイミング良く排泄できるわけじゃないから、そういう意味でもゆっくり進まざるを得ない部分もあるけど。
もうひとつ、露出もそうなのではないかな〜と、「お外で四つん這い」を思い出し書きしながら思ったの。
もちろんSMなんだから、鞭でもなんでも徐々にっていうことでは同じなんだけど、もともとマイナスだったものが「気がついたらこんなところまで来てしまった」みたいな、越えた一線を振り返ってはじめて確認するような積み重ねが、私たち(私?)の間では、露出もそうなのかと。
それが、那智さんの「嗜好と情熱」なんだなと、しみじみ思ってしまった。
はじめて会ったとき、すぐ駅の男子トイレに連れて行かれた。
大騒ぎする私のスカートに一瞬手を入れて、「騒ぐと目立つのに」と言ったことが始まりで、デパートの階段やビルの非常階段、はじめは私が怖がることを楽しんでいた部分が大きかったように思える。
おとなしく従うようになり、少しずつ「誇示」する楽しさを増やしていったのではないかしら。
ハプニングバーなどよりも、鋭い刺激の露出が「誇示」する満足度が高いのだろう。
駅のホームやスクランブル交差点、少しづつ手なずけられていった感じだ。
ラブホテル街とはいえ、一般道路と繋がっている道を四つん這いで歩くなんて、いま冷静に思い返せばとんでもないことだ。
それなのに、私はあの日、観念して、待ち望むという複雑な気持ちで坂に向かって歩いていたのだ。
これは、「気がつけば、こんなところまで来てしまった」という状態だろう。
那智さんの、情熱の結果だ(本人はそう自覚しているかわからないけど)
わあ、ちょっと引っ張ってしまった^^;
二回で終わらせよようと思っていたけど、長引いたらごめんなさいね〜。
では、お外で四つん這いの続きです。
少しずつ狂気時間が迫ってきているけれど、なんだかまだ実感が湧かない気がする。
人事のようだ。
よく利用するホテル街は、駅からの道を右に曲がると緩やかな坂道なって広がっている。
ここはパンツでダッシュした所だ(『非日常的な日常』の『みっともない私1、2』に出てます)
その角を曲がる手前にコンビニがある。
更にそれより手前に自動販売機がいくつも並んでいる空間がある。
そこでお茶を買うのが、なんとなくいつもの習慣になっているのだ。
コートの裾から尻尾を出しながら歩いて、まずそこに到着。
鞄から取り出した首輪を受け取って、那智さんがお茶を買っている間に、首に付ける。
「カチャン」
リードを首輪に繋げる。
ぐいっと引いて歩き始める那智さんから離れないように私も歩く。
腕を組んでなんとかリードを隠してみるけど、わざと引くからどうしても前屈みな姿勢になってしまって不自然だ。
ああ、とても恥ずかしい。
誰も不自然なことに気が付きませんように。
気付いて不快な思いをさせてしまったら、ごめんなさい。
何度か書いていますが、露出のためらうところは、恥ずかしいという気持ちだけじゃなくて、すみませんという気持ちが大きい。
世の中にはそれで「おお♪」と思う人ばかりではないでしょう。
明らかな露出はもちろんだけど、不自然な状態だけでも、人の心は波立つはずで、その波が不快感によるものだってあるはずだもの。
だから、いつもごめんなさいと思っている。
不快にさせたら、ごめんなさいって。
うつむいてコンビニまで来たら、那智さんが煙草を買うと言い出した。
買ってくるから待っててと言う。
いや、一人にしないで、いつもは一緒にコンビニにも入るじゃありませんか!?
静かに慌てる私を無視して、コンビニの駐車場にある柵にリードを結びはじめた。
結わくの!?
ここに結わいておくの!?
一人でおとなしく待ってますから、結わかなくてもどこにも行きませんから!!!
言葉は出ない、言葉にしても無意味なことはわかっている。
本当に犬だ。
飼い主が買い物している間に、繋がれて待っている犬だ。
那智さん行かないで、一人にしないで。
リードが短いみたいで、私は普通に立っていられないのだ。
膝を曲げるか、お辞儀をするように体を前屈させるかしないと、立っていられないのだ。
すぐそこは歩道だ。
人が歩いている。
けっこうたくさん歩いているはずだ。
もう、どうしよう恥ずかしい、怖い。
うつむいてリードを結ぶところまでは見ていた。
結び終わってすぐ、うつむいたまま私は両手で顔を覆い、膝を曲げた状態で、ただひたすら待つ。
頭の中はパニックだ。
一秒が永遠にも感じられる。
早く戻ってきて那智さん。
いつもいつも、那智さん那智さんなんだけど、この時ばかりは切望した。
早く、早く、一人にしないで。
身を固くして、顔を隠して、嵐が過ぎるのをじっと待つようだ。
耳だけが冴えてしまっている。
遠くから聞こえてくる話し声が、私の側でピタリと止む、しんとして通り過ぎる気配だけ感じる。
その女性たちの姿が手に取るようにわかって、私は気が狂いそうになる。
ごめんなさい、ごめんなさい、不思議な格好でごめんなさい。
たかが煙草を買いにいくだけの時間だったから、それほど長くはなかっただろう。
でも、何もかもがスローモーションのようで、時間の感覚がない。
パニックで脳みそが酸欠みたいだ。
リードが揺れて、外された。
那智さんが戻って来たんだ。
嬉しい、これで怖くない。
覆っていた手を顔から離す。
でも、まだうつむいたままだ、恥ずかしいもの。
「犬が立っていたらおかしいよね。」
え?何を言っているの??
チラッと顔を上げる。
那智さん越しに、いつの間にか男性2人が何か食べている姿が見えた。
すぐそばに人がいるのですよ、那智さん、何を言っているの!?
「立っていたらおかしいよね。犬は四つん這いだよね?ほら。」
チラッと上げた顔をすぐに下げて、しばらくの逡巡の後、私はその場にしゃがみ込む。
犬なの?犬なんだ。
「犬は四つ足だよね。」
ノロノロと指先をアスファルトに付ける。
沈黙…それでもまだ許してくれないんだ。
膝も付ける。
「それで犬?」
ずっとうつむいたままだから、那智さんの表情がわからない。
どうしたら満足なのか目を見て確認したい。
でも、顔を上げる勇気はない。
私は指先だけ付けていた両手を広げて、掌全部をアスファルトに付けた。
「手を全部付けました、那智さん、見て」
うつむいて小声で訴える。
聞こえないくらいの小さな声。
この非常識な状態から、逃れたいと思って必死になっているはずなのに、なんとも言えない感覚だ。
段々、何も考えられなくなっている。
まわりの雑踏はまったく聞こえない、那智さんの声だけが私の耳に入ってくる、不思議な感覚だ。
晴れた日の午前10時30分、朝の空気が微かに残る人がせわしなく行き交う街中。
アスファルトの灰色と自分の掌と、那智さんの黒い靴。
この瞬間、那智さんの足下だけが私の世界になっていた。
まだ、続きます。
お外で四つん這い3
非日常的な日常
道行く人やコンビニのお客さんは、この光景を見てどう思っているんだろう。
歩道を背にして女性が地面にしゃがんでいる。
よく見ると、膝と手を付いている。
具合でも悪いの?
土下座をしているの?
うつむいているその女性の前に男性が立っている。
この男性が土下座させているの?
さらに見ると女性の首からリードが伸びてそれを男性が握っている。
犬?
SMのわんこプレイ?
歩きながらそこまで観察できている人は少ないでしょうから、恐らく大半の人は「?」で通り過ぎるはず。
振り返り異変に気付いた人のほとんどは、変な人たちと不快に思うだろう。
むしろ同じ嗜好で「ああ、わんこね〜」なんて思ってくれたほうが、ずっと気が楽だ。
この不快感を与えているかもしれないという事実は、後から思い出してもいたたまれない思いで「くーーー」っとなる。
それでも、その瞬間、必死に掌を広げて地面に付けているのに、もうまわりはかまわなくなってしまっていた。
周りを意識しないわけではなくて、ただ申し訳ないとかいう対外的な感情の回路が途切れた感じ。
那智さんが満足してくれるまで犬でいる、ただそれだけ。
そして、それができる自分が嬉しい。(うわ!書きながら自分で驚いてる、嬉しいですって!?)
くいっとリードが引かれた。
もういいんだ。
力なく立ち上がり、那智さんの足下の幸せな世界から、現実に戻る。
急に心臓の高鳴りを実感して体がわなわなと震え出す。
顔は上げられない、とにかく一刻も早くこの場からいなくなりたい。
那智さんにしがみついてコンビニをあとにする。
すぐそばの角を曲がればホテルに続く坂道だ。
私にはまだ本題が残されていたんだった。
目の前に立ちはだかる難題をクリアするのに精一杯で、その先の最大の難題の存在を忘れてしまっていた。
さっきのコンビニわんこの精神状態のままだったら、もしかしたら「ぶっ飛んだまま」クリアできたかもしれないけれど、私は一度二足歩行の人間に戻されて、震えてしまっている。
行ったことの重大さにおののいてしまった後の難題は恐怖が倍増する。
坂までのたった数mの道のりが、私をまた怖がりに戻してしまった。
角を曲がる。
まだずっと心臓はばくばくしたままだ。
坂道を50mほど行くとホテルの入り口がある。
角を曲がって、その先の景色を見て天を仰ぐ。
ひとつ手前のホテルが改装中のようで、その改装中のホテルの前に職人さんらしき男性が2人立ち話をしているのだ。
角を曲がってからわんこということは、その人の真横を通り抜けないといけないの!?
そいうえば、さっきコンビニで那智さん越しに見かけた男の人たちも工事関係のお洋服を着ていたような記憶がある。
のちのち工事現場で話題になっちゃうかも…。
さすがに那智さんも立ち止まり、反対側の角まで行き考えている。
「すれ違うのはかまわないけど、立ち止まってる所を行くのは避けたい。」
それとこれの差があるのか、あるとしたら何なのか、わかるようなわからないような…。
ここではじめて「する側」の心を推し量る。
那智さんはどんな気持ちで私を四つん這いにするんだろう。
怖くないのかな。
恥ずかしくないのかな。
この勇気やモチベーションはどこから生まれるんだろう。
私を犬にしてくれる勇気に敬意を表してしまうわ。
しばらく様子を見ている。
立ち去るのを待っているみたい。
しかし、その男性たちが立ち去る気配はない。
ほどなくして普通に坂を歩きはじめた。
今日は諦めたのかな。
このままホテルに入るのだろう。
安堵が全身を覆う。
でも、ほんの一握り、寂しいと思っているのもわかっている。
そんな非常識なことできるはずないのに、ファンタジーとしてはうっとりするようなことだ。
現実は無理、妄想はうっとりを行ったり来たりの私だけど、妄想になると思った瞬間、それを取り上げられると残念ってなってしまう。
で、その行ったり来たりの先の「行っちゃえ〜」っていうのが、快感なんだけどね。
いつものホテルの前に来た。
でも、那智さんは入らない。
なぜ?通り過ぎるの??
今日は違うホテルにするの?
いつものホテルを通り過ぎ、30mほど先に進んだ所で那智さんが止まった。
ここからわんこになってホテルまで戻るんだ。
状況を理解して、周りを見渡す。
歩いて来た道の先に人はいない。
先ほどの男性たちは、数十m先でまだ立ち話をしている。
でも、2本立っている電信柱が盾になって、角度によってその男性たちが見え隠れしている。
同じように私の姿も彼らから隠れてくれますように。
「靴を脱ぎな」
ああ、私はここで四つん這いになるのね。
背後はホテルが立ち並ぶ人気の少ないところだけど、数十m先には男の人が2人立っていて、その先には普通に人が歩いている一般道路が左右に伸びているんだ。
そこを首輪で引かれて犬になって歩く。
私は道の先にいる男性の姿をもう一度確認して、観念してパンプスを脱ぐ。
黒いハイソックス越しに、アスファルトの固さを感じる。
男性たちがいて那智さんが逡巡した時間が、私に覚悟を決める時間をくれたのかもしれない。
いや、もしかしたら、思いを募らせる結果になったのかもしれない。
観念とも歓喜ともとれる複雑な結果をくれた時間だった。
そのお陰で思いのほか抵抗感は少なくなっている。
パンプスは那智さんに預けて、静かに身を屈める。
粛々と進める感じだ。
膝を付く。
更に、手を付いてお尻を上げる。
さっきコンビニでは感じなかった、膝にアスファルトが押し付けられる感触。
コンビニでは、お尻を上げていなかったから体重を膝に掛ける必要がなかったんだ。
お外で四つん這いだ。
顔は恐くて上げられない。
またアスファルトと掌と那智さんの黒い靴だけの世界になった。
那智さんが歩き始める。
リードがピンと張っているみたい。
必死に付いていく。
膝がゴツゴツと当たって痛い(みたい)。
もう、周りの雑踏も人の有無も、関係ない。
ただ、那智さんの歩く速度に必死に付いていくだけ。
アスファルトを掌が捉える感触も感じているはずなんだけど、なんだか全身に膜を張ったみたいにすべてがぼんやりとしている。
ペタペタと交互に動く掌と、至近距離で見え隠れする黒い靴が、ぼんやりとした中で感じる現実だった。
途中で那智さんが立ち止まって頭を撫でたらしいのだけど、その記憶がない。
無我夢中で付いていき、夢の中の出来事のようにすべてがぼやけていつの間にか私の脳は記憶さえ曖昧にしてしまったらしい。
距離にいて30m。
たいした時間ではないだろう。
でも、その時の私には、どれくらいの距離をどれくらいの時間歩いて、どんな様子だったのか、まったくわかっていなかった。
ただ那智さんのわんこの私、それだけの自分勝手な時間と空間を生きていた。
ホテルのドアに続く階段(よくあるでしょ?壁になっててドアが隠れていて、そこに数段の階段があるの)が視界に入った。
ということは、ほんの少し先にあの男性たちがいたのか。
そこで少し現実を取り戻す。
膝が痛い。
階段の手前に人工芝風のマットが置いてあって、それが刺のように擦り剥けた膝を刺す。
その痛みで、膝が擦り剥けていたことに気付いた。
階段に手(前足!?)を掛けたところで那智さんがしゃがみ、私の頭や首筋を撫でた。
飼い主が犬にするように、少し乱暴に。
ああ、嬉しい、幸せ。
那智さんのわんこになって幸せ。
那智さんがスカートに手を伸ばして確認する。
びっくりするくらい濡れている。
満足そうに手を離し、また首を撫でる。
なんて気持ちいいのだろう。
どこが気持ちいいのかわからないくらい、全身が、感覚が、脳みそと感情が、すべてが気持ちいい。
私は気持ちいいを垂れ流し、ただはしたなく腰を振るわんこになっていた。
ホテルの入って見てみたら、膝は擦り剥けて血が出て、ハイソックスはビリビリに裂けていた。
無自覚のまま、凄いことが起こっていたみたいで、やっぱり思い返して「くーーーーー」っとなる。
そして、記憶がなくなるような精神状態になると、記事としては面白くないな〜と嬉しいような残念なようなです(笑)
道行く人やコンビニのお客さんは、この光景を見てどう思っているんだろう。
歩道を背にして女性が地面にしゃがんでいる。
よく見ると、膝と手を付いている。
具合でも悪いの?
土下座をしているの?
うつむいているその女性の前に男性が立っている。
この男性が土下座させているの?
さらに見ると女性の首からリードが伸びてそれを男性が握っている。
犬?
SMのわんこプレイ?
歩きながらそこまで観察できている人は少ないでしょうから、恐らく大半の人は「?」で通り過ぎるはず。
振り返り異変に気付いた人のほとんどは、変な人たちと不快に思うだろう。
むしろ同じ嗜好で「ああ、わんこね〜」なんて思ってくれたほうが、ずっと気が楽だ。
この不快感を与えているかもしれないという事実は、後から思い出してもいたたまれない思いで「くーーー」っとなる。
それでも、その瞬間、必死に掌を広げて地面に付けているのに、もうまわりはかまわなくなってしまっていた。
周りを意識しないわけではなくて、ただ申し訳ないとかいう対外的な感情の回路が途切れた感じ。
那智さんが満足してくれるまで犬でいる、ただそれだけ。
そして、それができる自分が嬉しい。(うわ!書きながら自分で驚いてる、嬉しいですって!?)
くいっとリードが引かれた。
もういいんだ。
力なく立ち上がり、那智さんの足下の幸せな世界から、現実に戻る。
急に心臓の高鳴りを実感して体がわなわなと震え出す。
顔は上げられない、とにかく一刻も早くこの場からいなくなりたい。
那智さんにしがみついてコンビニをあとにする。
すぐそばの角を曲がればホテルに続く坂道だ。
私にはまだ本題が残されていたんだった。
目の前に立ちはだかる難題をクリアするのに精一杯で、その先の最大の難題の存在を忘れてしまっていた。
さっきのコンビニわんこの精神状態のままだったら、もしかしたら「ぶっ飛んだまま」クリアできたかもしれないけれど、私は一度二足歩行の人間に戻されて、震えてしまっている。
行ったことの重大さにおののいてしまった後の難題は恐怖が倍増する。
坂までのたった数mの道のりが、私をまた怖がりに戻してしまった。
角を曲がる。
まだずっと心臓はばくばくしたままだ。
坂道を50mほど行くとホテルの入り口がある。
角を曲がって、その先の景色を見て天を仰ぐ。
ひとつ手前のホテルが改装中のようで、その改装中のホテルの前に職人さんらしき男性が2人立ち話をしているのだ。
角を曲がってからわんこということは、その人の真横を通り抜けないといけないの!?
そいうえば、さっきコンビニで那智さん越しに見かけた男の人たちも工事関係のお洋服を着ていたような記憶がある。
のちのち工事現場で話題になっちゃうかも…。
さすがに那智さんも立ち止まり、反対側の角まで行き考えている。
「すれ違うのはかまわないけど、立ち止まってる所を行くのは避けたい。」
それとこれの差があるのか、あるとしたら何なのか、わかるようなわからないような…。
ここではじめて「する側」の心を推し量る。
那智さんはどんな気持ちで私を四つん這いにするんだろう。
怖くないのかな。
恥ずかしくないのかな。
この勇気やモチベーションはどこから生まれるんだろう。
私を犬にしてくれる勇気に敬意を表してしまうわ。
しばらく様子を見ている。
立ち去るのを待っているみたい。
しかし、その男性たちが立ち去る気配はない。
ほどなくして普通に坂を歩きはじめた。
今日は諦めたのかな。
このままホテルに入るのだろう。
安堵が全身を覆う。
でも、ほんの一握り、寂しいと思っているのもわかっている。
そんな非常識なことできるはずないのに、ファンタジーとしてはうっとりするようなことだ。
現実は無理、妄想はうっとりを行ったり来たりの私だけど、妄想になると思った瞬間、それを取り上げられると残念ってなってしまう。
で、その行ったり来たりの先の「行っちゃえ〜」っていうのが、快感なんだけどね。
いつものホテルの前に来た。
でも、那智さんは入らない。
なぜ?通り過ぎるの??
今日は違うホテルにするの?
いつものホテルを通り過ぎ、30mほど先に進んだ所で那智さんが止まった。
ここからわんこになってホテルまで戻るんだ。
状況を理解して、周りを見渡す。
歩いて来た道の先に人はいない。
先ほどの男性たちは、数十m先でまだ立ち話をしている。
でも、2本立っている電信柱が盾になって、角度によってその男性たちが見え隠れしている。
同じように私の姿も彼らから隠れてくれますように。
「靴を脱ぎな」
ああ、私はここで四つん這いになるのね。
背後はホテルが立ち並ぶ人気の少ないところだけど、数十m先には男の人が2人立っていて、その先には普通に人が歩いている一般道路が左右に伸びているんだ。
そこを首輪で引かれて犬になって歩く。
私は道の先にいる男性の姿をもう一度確認して、観念してパンプスを脱ぐ。
黒いハイソックス越しに、アスファルトの固さを感じる。
男性たちがいて那智さんが逡巡した時間が、私に覚悟を決める時間をくれたのかもしれない。
いや、もしかしたら、思いを募らせる結果になったのかもしれない。
観念とも歓喜ともとれる複雑な結果をくれた時間だった。
そのお陰で思いのほか抵抗感は少なくなっている。
パンプスは那智さんに預けて、静かに身を屈める。
粛々と進める感じだ。
膝を付く。
更に、手を付いてお尻を上げる。
さっきコンビニでは感じなかった、膝にアスファルトが押し付けられる感触。
コンビニでは、お尻を上げていなかったから体重を膝に掛ける必要がなかったんだ。
お外で四つん這いだ。
顔は恐くて上げられない。
またアスファルトと掌と那智さんの黒い靴だけの世界になった。
那智さんが歩き始める。
リードがピンと張っているみたい。
必死に付いていく。
膝がゴツゴツと当たって痛い(みたい)。
もう、周りの雑踏も人の有無も、関係ない。
ただ、那智さんの歩く速度に必死に付いていくだけ。
アスファルトを掌が捉える感触も感じているはずなんだけど、なんだか全身に膜を張ったみたいにすべてがぼんやりとしている。
ペタペタと交互に動く掌と、至近距離で見え隠れする黒い靴が、ぼんやりとした中で感じる現実だった。
途中で那智さんが立ち止まって頭を撫でたらしいのだけど、その記憶がない。
無我夢中で付いていき、夢の中の出来事のようにすべてがぼやけていつの間にか私の脳は記憶さえ曖昧にしてしまったらしい。
距離にいて30m。
たいした時間ではないだろう。
でも、その時の私には、どれくらいの距離をどれくらいの時間歩いて、どんな様子だったのか、まったくわかっていなかった。
ただ那智さんのわんこの私、それだけの自分勝手な時間と空間を生きていた。
ホテルのドアに続く階段(よくあるでしょ?壁になっててドアが隠れていて、そこに数段の階段があるの)が視界に入った。
ということは、ほんの少し先にあの男性たちがいたのか。
そこで少し現実を取り戻す。
膝が痛い。
階段の手前に人工芝風のマットが置いてあって、それが刺のように擦り剥けた膝を刺す。
その痛みで、膝が擦り剥けていたことに気付いた。
階段に手(前足!?)を掛けたところで那智さんがしゃがみ、私の頭や首筋を撫でた。
飼い主が犬にするように、少し乱暴に。
ああ、嬉しい、幸せ。
那智さんのわんこになって幸せ。
那智さんがスカートに手を伸ばして確認する。
びっくりするくらい濡れている。
満足そうに手を離し、また首を撫でる。
なんて気持ちいいのだろう。
どこが気持ちいいのかわからないくらい、全身が、感覚が、脳みそと感情が、すべてが気持ちいい。
私は気持ちいいを垂れ流し、ただはしたなく腰を振るわんこになっていた。
ホテルの入って見てみたら、膝は擦り剥けて血が出て、ハイソックスはビリビリに裂けていた。
無自覚のまま、凄いことが起こっていたみたいで、やっぱり思い返して「くーーーーー」っとなる。
そして、記憶がなくなるような精神状態になると、記事としては面白くないな〜と嬉しいような残念なようなです(笑)
新発見
独り言
同じようなお話しばかりですけど、毎日毎日よく更新しているな〜と自画自賛したい今日この頃。
はじめの頃は、とにかく吐き出したいという一心で書いていた。
そのうち、これが那智さんと私の面白いおもちゃになっていった。
これによって心が上下してしまうこともあるけれど、その都度那智さんのためだけに書けばいいと言い聞かせて(言い聞かされて)書いてきた。
那智さんの楽しみのため、そして、私の「ハツカネズミさん」のため、2人のためと励まされたり、一緒にネタを考えてくれたり。
けっこう那智さんにも手伝ってもらっている。
そして、日々カウンターが回っていることも、とても励みになっています。
でも、もうひとつ、この前初めての感情に気がついた。
私、書いていて気持ちいい。
前から那智さんに言われていたことなの。
「気持ち良さそう」って、文章から興奮を感じ取っていたらしい!
それは、満足のいくように書けた〜とか、そういう悦に入っていることを言っているのかなと思っていたけど、違うことだったのかとわんこを書いていて実感しちゃった。
感じているんだ!!
那智さんの楽しみ、ハツカネズミ、どれもそうだろう。
でも、やっぱり人間のモチベーションで必要なのは「快感」なのね。
無自覚に感じていたから、こんなに書けていたのね、と思ってしまった。
そうじゃなきゃ、こうも続けられない!?
いえいえ、違うの、那智さんの楽しみのため、骨身を削って献身しているの。
なんて、今更言っても説得力ないかな。
でも、那智さんの満足は私の満足、那智さんの幸せは私の幸せ。
そして、私が幸せだと那智さんも満足。
だから、那智さんの楽しみは私の快感。
私が気持ちいいと那智さんも満足。
と、幸せの連鎖ということで、やっぱり滅私の奴隷じゃないな〜。
文章書いてて気持ちいい!?
これは何の特性でしょうか?
同じようなお話しばかりですけど、毎日毎日よく更新しているな〜と自画自賛したい今日この頃。
はじめの頃は、とにかく吐き出したいという一心で書いていた。
そのうち、これが那智さんと私の面白いおもちゃになっていった。
これによって心が上下してしまうこともあるけれど、その都度那智さんのためだけに書けばいいと言い聞かせて(言い聞かされて)書いてきた。
那智さんの楽しみのため、そして、私の「ハツカネズミさん」のため、2人のためと励まされたり、一緒にネタを考えてくれたり。
けっこう那智さんにも手伝ってもらっている。
そして、日々カウンターが回っていることも、とても励みになっています。
でも、もうひとつ、この前初めての感情に気がついた。
私、書いていて気持ちいい。
前から那智さんに言われていたことなの。
「気持ち良さそう」って、文章から興奮を感じ取っていたらしい!
それは、満足のいくように書けた〜とか、そういう悦に入っていることを言っているのかなと思っていたけど、違うことだったのかとわんこを書いていて実感しちゃった。
感じているんだ!!
那智さんの楽しみ、ハツカネズミ、どれもそうだろう。
でも、やっぱり人間のモチベーションで必要なのは「快感」なのね。
無自覚に感じていたから、こんなに書けていたのね、と思ってしまった。
そうじゃなきゃ、こうも続けられない!?
いえいえ、違うの、那智さんの楽しみのため、骨身を削って献身しているの。
なんて、今更言っても説得力ないかな。
でも、那智さんの満足は私の満足、那智さんの幸せは私の幸せ。
そして、私が幸せだと那智さんも満足。
だから、那智さんの楽しみは私の快感。
私が気持ちいいと那智さんも満足。
と、幸せの連鎖ということで、やっぱり滅私の奴隷じゃないな〜。
文章書いてて気持ちいい!?
これは何の特性でしょうか?
夫婦漫才?
独特な幸福感
もう今更の話ですが、記事の横の自己紹介の所に私の写真を載せています。
はじめは、簡単なプロフィールだったのだけど、ずっと同じだから画像を載せて、文章を変えようってことになったのですが、いつの間にか那智さんのギャラリーになっていて、自己紹介文はなくなってしまってます。
携帯から見に来ている方は、ご覧いただけないので、もし良ければパソコンでもチェックしてもらえたら、楽しいかも!?
日替わりでもないし、週替わりでもないし、那智さんの気分次第の3、4日替わり。
私は更新直後に知らせてもらう約束なので、日々ヒヤヒヤしながらも楽しんでいます。
で、もうひとつ楽しみなのが、そこに那智さんが一言コメントしてくれること。
それに対して、私も一言返して、ラブラブ夫婦漫才みたいな状態です。
皆さんはトホホかもしれないけど、那智さんが私に発してくれることすべてが幸せな私は、このかまってもらっている状況は、とても嬉しい。
小学校のことのスカートめくりで「きゃあきゃあ」言っているみたい。
今回のトイレに座っている写真も、電話でお話ししながら更新したから、「いま変えたよ」と実況中継。
もう、私は慌ててチェックするの。
これは毎回「あわあわ」する^^;
画像管理には「あんな写真もこんな写真も」あるから、「いったいどれ!?」と慌てるのです。
ああ、トイレに座っている写真ね。
微妙だけど、あれやあれに比べたら、恥ずかしくないかなと、胸を撫で下ろす。
「今回は、普通だね」那智さんもそんな感想。
「あれ?これにはコメント入れてくれないのですか?あれ、楽しみなのに」
「…、言わなきゃいいのに」
「え?何か、私ミス犯した!?」
そこで付け加えられた文字を見ると
「うんこの最中です。」
がーん、なぜでしょう!?
それが加わっただけで、顔から火が出そうなほど、恥ずかしい!!!!
実際に、赤面してるのがわかる。
「くううううう」と悶絶している私。
でも、一言言ってやったわ。
「那智さん、私がいつまでも、こんなことで赤面する女でよかったですね〜!!」
羞恥心は那智さんにとっては、重要事項。
恥ずかしがらせるんだもん、堂々と恥ずかしがってやりましょう!!
一人パソコンの画面に向かって、受話器を固く握りしめ、鼻息荒く、赤面しているのでした。
もう今更の話ですが、記事の横の自己紹介の所に私の写真を載せています。
はじめは、簡単なプロフィールだったのだけど、ずっと同じだから画像を載せて、文章を変えようってことになったのですが、いつの間にか那智さんのギャラリーになっていて、自己紹介文はなくなってしまってます。
携帯から見に来ている方は、ご覧いただけないので、もし良ければパソコンでもチェックしてもらえたら、楽しいかも!?
日替わりでもないし、週替わりでもないし、那智さんの気分次第の3、4日替わり。
私は更新直後に知らせてもらう約束なので、日々ヒヤヒヤしながらも楽しんでいます。
で、もうひとつ楽しみなのが、そこに那智さんが一言コメントしてくれること。
それに対して、私も一言返して、ラブラブ夫婦漫才みたいな状態です。
皆さんはトホホかもしれないけど、那智さんが私に発してくれることすべてが幸せな私は、このかまってもらっている状況は、とても嬉しい。
小学校のことのスカートめくりで「きゃあきゃあ」言っているみたい。
今回のトイレに座っている写真も、電話でお話ししながら更新したから、「いま変えたよ」と実況中継。
もう、私は慌ててチェックするの。
これは毎回「あわあわ」する^^;
画像管理には「あんな写真もこんな写真も」あるから、「いったいどれ!?」と慌てるのです。
ああ、トイレに座っている写真ね。
微妙だけど、あれやあれに比べたら、恥ずかしくないかなと、胸を撫で下ろす。
「今回は、普通だね」那智さんもそんな感想。
「あれ?これにはコメント入れてくれないのですか?あれ、楽しみなのに」
「…、言わなきゃいいのに」
「え?何か、私ミス犯した!?」
そこで付け加えられた文字を見ると
「うんこの最中です。」
がーん、なぜでしょう!?
それが加わっただけで、顔から火が出そうなほど、恥ずかしい!!!!
実際に、赤面してるのがわかる。
「くううううう」と悶絶している私。
でも、一言言ってやったわ。
「那智さん、私がいつまでも、こんなことで赤面する女でよかったですね〜!!」
羞恥心は那智さんにとっては、重要事項。
恥ずかしがらせるんだもん、堂々と恥ずかしがってやりましょう!!
一人パソコンの画面に向かって、受話器を固く握りしめ、鼻息荒く、赤面しているのでした。