適度(06/12/29)
宝物
『非日常的な日常』
その埠頭にある飲み屋さんは私が遊び盛りだったころからある。
知る人ぞ知るという場所だ。
工場や倉庫が並ぶ埠頭の橋の近くにそのお店はある。
店内は薄暗く、海に面した壁は全面ガラス張り。
夜景が水面に映ってゆらゆらと揺れていてとてもきれい。
小型のクルーザー、漁船(?)が何艘か停泊している、そのうちの一艘に夜釣りに出かける若者が数人目の前のデッキを通って乗り込んでいくのが見える。
お客は私たち以外に外国人男性が二人と、あとからカップルが一組、それだけだ。
客数が少ないので店内は騒がしくはなけれど、BGMの音量が大きいから人の少なさは気にならない。
一杯飲んで外国人男性たちは出て行った。
私たちは、4人掛けのの四角いテーブルに、私が店内に背を向けガラスに向かう合うように、那智さんは私の左手にカップルを背にする感じで座っている。
私は向かい合って座るより、横に並ぶのが好きだ。
だから、カウンター席が好き。
カウンターに座らないときは、なるべくこんな風に四角のくっついた辺に座るようにする。
正面から向き合うのは恥ずかしい、そして、なるべく近くにいたい。
観葉植物を挟んで、店内奥側に座ったカップルは、那智さんに背を向けて女性が、その女性の正面に男性が腰掛けている。
私がちらりと横を向けば、女性の背中と男性の顔が見える。
ちょうど女性の頭が壁になっていて、男性の顔は角度によって見えたり見えなかったりといった感じ。
それでもその男性と女性に随分と年齢に差があるのは、推測できる。
私はお酒を飲むのも、そういう空間に身を置くのも大好き。
少しアルコールが入って、上機嫌で饒舌になる。
楽しい夜を堪能してはしゃいでいる。
那智さんの手が、私の頬を撫で髪を触り、それだけでなんだかスイッチオンになってしまう。
那智さんの手が伸びて私の大きく開いた襟元から手をさっと入れ、ブラジャーの隙間に指を挟み込み乳首を摘む。
那智さんは酔うと大胆になる(いつも大胆だから、微妙な差ですけどね)。
このときは上機嫌ではしゃぐ私の心を揺さぶりたくなってしまったみたいだ。
お客が少ないとはいえ、お店の中で乳首を摘まれた私は周りを気にして不自然に胸を抑えて体を屈める。
「そんな手で隠すから、余計に目立つんだよ 笑」
そうだった、普通にしていないとだめだった。
そういってもう一回手を入れる。
今度はおとなしくされるがままにしておく。
どうか、カップルの男性が気づきませんように。
那智さんは、ジタバタする私も、そのあとおとなしく従う私も両方好きで両方楽しんでいるのだろう。
それにしても、気持ちが良い。
那智さんに委ねきれてしまえば(ここがポイント)、お外で気持ち良くしてもらうことは快感が倍増する。
ひとしきり気持ちよくなったあと、また那智さんの手が私の頬を撫でる。
うっとりとその手の感触を堪能する。
その右手が私の唇に触れて、口を閉じる指示を出した。
ビンタ?
ここで、ビンタをするの?
信じられない、こんなところで。
怯える私。
辺りを伺う那智さん。
「バチン」と鈍い音がして、私の頬は熱く痺れる。
痛い、周りが気になる。
驚きと痛みと、辺りを警戒して、私は身をすくめる。
もし気づいたら人はどう思うのでしょう。
喧嘩?DV?でも、女性は、そのあと微笑んでいる。
「那智さん、信じられない。周りが気づいたらどうするのですか?」
「大丈夫でしょ。」そう言って、パチンと一回手を叩いてみせる。
「ほら、たいして目立たないでしょ?」
確かに、飲み屋のBGMの中「パチン」という音はそれほど違和感は感じない。
「う〜ん、でも、もう少し鈍い音だったからな〜 笑」
そんなことを言って脅かす。
どぎまぎしている私の口にまた手を持ってきて、指示。
口を閉じる。
頬を差し出す。
目は開けていたい、私の頬を打つ那智さんを見ていたい。
辺りをチラッと気にして、二発目。
痛い、でも嬉しい。
ビンタは簡単なスイッチだ。
もうだんだんどうでもよくなってきてしまう。
続けて、もう一発。
私の視界の端に映る男性が女性の壁からずれている、ということはこちらの様子がわかりやすいということだ。
どうでもよくなってきているとはいえ、そこまで大胆にはなりにくい。
「那智さん、いまは男の人から丸見えです。」
「こっち向いているのは男の方なの?」
「はい。」
「それなら、別にいいや。」
もう一度、指示。
次の一発は、私の頬と耳の近くに当たった。
少し目標から逸れてしまったのだ。
耳が「ぐわ〜ん」としてしまった。
一瞬聞こえが悪い。
「那智さん耳が…。」
うっとりとした声で伝える。
「ごめん、大丈夫?聞こえる?」打っていない方の右耳を抑えて、聴力を確認してくれる。
「はい、大丈夫です。」
少しずつ、聞こえも戻ってきているから、大丈夫だろう。
この不慮の事故で、ビンタは終わってしまった。
それがなければ、もう少し続いたかもしれない。
安堵のような、残念なような。
最近那智さんはお外で遊ぶ楽しさを再認識してしまっている。
きっと、これからもっと増えてもっと大胆になるでしょう。
本当に大胆になるのが、予測できてしまって怖い。
適度に恥ずかしく、適度に大胆に、適度にみっともなく、適度に可愛い。
なにごとも、ほどほどが丁度良いのではないでしょうか、那智さん♪
私としては、「パンツでダッシュ」よりも「飲み屋でビンタ」のほうがいい。
どちらが「ほどほど」なのかは、わかりませんけどね。
『非日常的な日常』
その埠頭にある飲み屋さんは私が遊び盛りだったころからある。
知る人ぞ知るという場所だ。
工場や倉庫が並ぶ埠頭の橋の近くにそのお店はある。
店内は薄暗く、海に面した壁は全面ガラス張り。
夜景が水面に映ってゆらゆらと揺れていてとてもきれい。
小型のクルーザー、漁船(?)が何艘か停泊している、そのうちの一艘に夜釣りに出かける若者が数人目の前のデッキを通って乗り込んでいくのが見える。
お客は私たち以外に外国人男性が二人と、あとからカップルが一組、それだけだ。
客数が少ないので店内は騒がしくはなけれど、BGMの音量が大きいから人の少なさは気にならない。
一杯飲んで外国人男性たちは出て行った。
私たちは、4人掛けのの四角いテーブルに、私が店内に背を向けガラスに向かう合うように、那智さんは私の左手にカップルを背にする感じで座っている。
私は向かい合って座るより、横に並ぶのが好きだ。
だから、カウンター席が好き。
カウンターに座らないときは、なるべくこんな風に四角のくっついた辺に座るようにする。
正面から向き合うのは恥ずかしい、そして、なるべく近くにいたい。
観葉植物を挟んで、店内奥側に座ったカップルは、那智さんに背を向けて女性が、その女性の正面に男性が腰掛けている。
私がちらりと横を向けば、女性の背中と男性の顔が見える。
ちょうど女性の頭が壁になっていて、男性の顔は角度によって見えたり見えなかったりといった感じ。
それでもその男性と女性に随分と年齢に差があるのは、推測できる。
私はお酒を飲むのも、そういう空間に身を置くのも大好き。
少しアルコールが入って、上機嫌で饒舌になる。
楽しい夜を堪能してはしゃいでいる。
那智さんの手が、私の頬を撫で髪を触り、それだけでなんだかスイッチオンになってしまう。
那智さんの手が伸びて私の大きく開いた襟元から手をさっと入れ、ブラジャーの隙間に指を挟み込み乳首を摘む。
那智さんは酔うと大胆になる(いつも大胆だから、微妙な差ですけどね)。
このときは上機嫌ではしゃぐ私の心を揺さぶりたくなってしまったみたいだ。
お客が少ないとはいえ、お店の中で乳首を摘まれた私は周りを気にして不自然に胸を抑えて体を屈める。
「そんな手で隠すから、余計に目立つんだよ 笑」
そうだった、普通にしていないとだめだった。
そういってもう一回手を入れる。
今度はおとなしくされるがままにしておく。
どうか、カップルの男性が気づきませんように。
那智さんは、ジタバタする私も、そのあとおとなしく従う私も両方好きで両方楽しんでいるのだろう。
それにしても、気持ちが良い。
那智さんに委ねきれてしまえば(ここがポイント)、お外で気持ち良くしてもらうことは快感が倍増する。
ひとしきり気持ちよくなったあと、また那智さんの手が私の頬を撫でる。
うっとりとその手の感触を堪能する。
その右手が私の唇に触れて、口を閉じる指示を出した。
ビンタ?
ここで、ビンタをするの?
信じられない、こんなところで。
怯える私。
辺りを伺う那智さん。
「バチン」と鈍い音がして、私の頬は熱く痺れる。
痛い、周りが気になる。
驚きと痛みと、辺りを警戒して、私は身をすくめる。
もし気づいたら人はどう思うのでしょう。
喧嘩?DV?でも、女性は、そのあと微笑んでいる。
「那智さん、信じられない。周りが気づいたらどうするのですか?」
「大丈夫でしょ。」そう言って、パチンと一回手を叩いてみせる。
「ほら、たいして目立たないでしょ?」
確かに、飲み屋のBGMの中「パチン」という音はそれほど違和感は感じない。
「う〜ん、でも、もう少し鈍い音だったからな〜 笑」
そんなことを言って脅かす。
どぎまぎしている私の口にまた手を持ってきて、指示。
口を閉じる。
頬を差し出す。
目は開けていたい、私の頬を打つ那智さんを見ていたい。
辺りをチラッと気にして、二発目。
痛い、でも嬉しい。
ビンタは簡単なスイッチだ。
もうだんだんどうでもよくなってきてしまう。
続けて、もう一発。
私の視界の端に映る男性が女性の壁からずれている、ということはこちらの様子がわかりやすいということだ。
どうでもよくなってきているとはいえ、そこまで大胆にはなりにくい。
「那智さん、いまは男の人から丸見えです。」
「こっち向いているのは男の方なの?」
「はい。」
「それなら、別にいいや。」
もう一度、指示。
次の一発は、私の頬と耳の近くに当たった。
少し目標から逸れてしまったのだ。
耳が「ぐわ〜ん」としてしまった。
一瞬聞こえが悪い。
「那智さん耳が…。」
うっとりとした声で伝える。
「ごめん、大丈夫?聞こえる?」打っていない方の右耳を抑えて、聴力を確認してくれる。
「はい、大丈夫です。」
少しずつ、聞こえも戻ってきているから、大丈夫だろう。
この不慮の事故で、ビンタは終わってしまった。
それがなければ、もう少し続いたかもしれない。
安堵のような、残念なような。
最近那智さんはお外で遊ぶ楽しさを再認識してしまっている。
きっと、これからもっと増えてもっと大胆になるでしょう。
本当に大胆になるのが、予測できてしまって怖い。
適度に恥ずかしく、適度に大胆に、適度にみっともなく、適度に可愛い。
なにごとも、ほどほどが丁度良いのではないでしょうか、那智さん♪
私としては、「パンツでダッシュ」よりも「飲み屋でビンタ」のほうがいい。
どちらが「ほどほど」なのかは、わかりませんけどね。
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