普通のひとで愛し合おう31
那智さんんはある時期からお嬢さんとの関係もあまり良くかなった。
そんなことは夫婦関係が悪ければ当然のことといえるけど、わたしと出会ったころはちょうどお嬢さんが高校に入学したあたりで『バイク通学のための駐輪場確保の方法』などを伝授したなんて聞いていたので、そのころはそれなりだったようだ。
どうやら、あるときにQさんから『今後一切子育てには関わるな』といわれたらしい。
那智さんのことだから、『一切』なんていわれれば、本当に一切関わらなくなるだろうから、なかなか良好な関係を作ることは難しいかったはずだ。
それでも子供のことだけは手放してはいけないと思うけど、ここにモラハラ妻(母)の存在があると、その最後の気力も奪われてしまうものだ。
例えば、お嬢さんが合宿から帰ってくる日、Qさんがいられないことがあり、那智さんに早めに帰宅してくれと頼むとする。
高校?大学?の子が合宿から帰って来たときに誰もいないと『かわいそうだから』という理由で。
那智さんの教育方針としては、親がおらず片付けを含め自分でできるようになるほうが子供のためになるわけで当然拒否する。
わたしも過保護なので(笑)自分がQさんの立場だったら家にいてあげたいと思ってしまうかもしれないけど、自分の意見と異なる場合はすり合わせをするか、譲歩するか、判断するよね。
特に、わたしは自分の過保護を自覚しているので、『これは我が子を思っての行動か、自分の感情か』を見極めて、都度『やるかやらないか』を判断しています。
(自分の感情で行うときは、自覚してやってます 笑)
モラハラの特徴のひとつに『対象者を孤立させる』というものがあります。
『密室で』というのはその意味もあります。
だから、モラハラな人の場合は、おそらく、こうします。
子供が帰って来たときに早く退社して家にいてあげて
↓
仕事で無理だし、教育上いないほうがいいと拒否
↓
後日、Qさんがお嬢さんに
わたしがいてあげてっていったのにお父さんは仕事で帰ってこなかった。
きっとあなたより仕事のほうが大事なんだよね。
いつもそう、○○のときだって仕事が忙しいってやってくれなかった。
そんな風にQさんからの一方的な情報で那智さんを『お嬢さんの敵』に仕立て上げるわけ。
おそらく小さい頃から、このような孤立のための構図はくり返されていたはずで、お嬢さんとしては鵜呑みにするのは仕方がないこと。
さらに、『関わるな』といわれてしまい、関わればミスを見つけ人格否定まで待っていき、関わらなければ敵認定される中、那智さんがお嬢さんに弁明する余地も気力もなくなるだろう。
おそらく、こういう経緯で蓄積されたものが露呈してきて『ある時期から』あまり良好な関係ではなくなっていたようだ。
そのお嬢さんが数ヶ月後に結婚をする。
余談だけど、那智さんが最初に別居をした時期がお嬢さんが結婚を決めた時期と重なる。
那智さん、お嬢さんが結婚することでひとつ責任から解放されて、初めてQさんに対する『恐怖』の感情や傷ついていることを心が感じることができたんじゃないかなと思っています。
きっとずっとギリギリだったんだよね。
それまでにお嬢さんとの関係を少しでも良好なものにしておきたい。
那智さんは『俺は結婚式に出ないほうがいいのではないか』と思ってしまっていた。
(お嬢さんに拒絶っぽいこと言われたから←拒絶苦手^^;)
それだけは絶対避けたかった。
どんな事情があろうとも、その時どんなに気まずい状態だろうとも、祝福しないといけない。
それがお嬢さんのこの先の幸福になるし、何十年経っても『出席しなかった父』のレッテルを貼られたままになる。
それは那智さんにもお嬢さんにとっても不幸だ。
『お嬢さんを祝福』することにのみ集中して出席しないといけない。
これについては、わたしは引かなかった。
アルコールの量より、お嬢さんとの関係が取り返しのつかないものになるほうが、ずっと避けなければならないと思ったからだ。
何度も説得した。
そして、お嬢さんにどう伝えたらいいか、一緒に考えた。
Qさんのモラハラにより体調を崩したこと、だから、しばらく連絡が取れなかったこと。
お嬢さんへの気持ちやこれからどんな家庭を築いてほしいか。
ホテルにノートパソコンを持ち込み、那智さんに思いを書いてもらう。
そして、言い訳が苦手な那智さんに変わり、気持ちが伝わるように、そして、お嬢さんが『父親とうまくいかない不幸』を味わわせないように原案をもとに加筆修正する作業をした。
今度、お嬢さんとふたりで話す約束はできている。
そこで長年のわだかまりを解いてほしい。
(約束を取り付けるメールのやり取りも手伝った^^;)
話し合いの夜。
当然、わたしはその場にいないので、話しが終わったら連絡をくれるであろうことを信じて待つしかなかった。
これがなかなか連絡来なくて(笑)
こじれた関係は一回の話し合いで即仲良しになるとは思えない。
想像以上に時間がかかっているということは、話し合いが決裂して自暴自棄になって飲んじゃっているのではないか。
那智さん、傷ついているんじゃないか。
心配で心配でしかたなかった。
長い時間が経って、連絡が来た。
どうやら、思った以上に良い雰囲気で話し合いができたようだ。
お嬢さんの結婚をちゃんと祝福して、ちゃんとそれを受け取ってくれるような状態にはなったみたい、安心して胸をなでおろした。
結婚式当日。
まあ、Qさんもいるし、なかなかしんどい状態だったとは思うけど、なんとか無事お開きになった。
終わったら、待ち合わせをしていた。(このときのわたしは那智さんのお薬みたいな存在だったからね)
『お疲れさまでした』と乾杯する。
Qさんと会ったから少し辛そうだったけど、肩の荷が下りたようでもある。
ほとんど自分のことは話さない人だけど、新婦手紙でいいこと言われたみたいで、それを話してくれた。
こみ上げるものがあったのでろう、下を向き一度『うっ』と嗚咽を漏らしていた。
那智さんの『一度だけの嗚咽』はこれで二度目だ。
『お疲れさまでした』の気持ちを込めて背中をさすっていた。
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