普通のひとで愛し合おう30
たまたまテレビを見て急いでモラハラについて調べた翌日にQさんから那智さんへ長いメールが届いた。
いつものように転送されたそれを読むと、それは、まったくもってモラハラだった。
生活費に関するやり取りのはずが、過去の那智さんのミスを引っぱり出したり、プロポーズした側の責任を匂わせ、人格を否定するようなことを言ってくる。
いままでも『どうかと思う』ではあったけど、モラハラの概念を知ってから読むと明らかに違う、理解できる。
知識は人を助ける。
那智さんは被害者で人権を侵害されてきた。
それはこういう構図で侵害してきている。
そうハッキリと言えるわたしは少し強い。
長文の何箇所かを引用しながら『モラハラ』についてざっと説明する。
那智さんは悪くない。
とにかく、まず自分は被害者なのだと知ってもらい、自分を責めることから解放してもらうために。
メールを引用したり、『たとえば、こんな会話ありませんでしたか?』と上記の上司と部下の会話を夫婦に変えてみて披露すると、那智さんも驚くほど当てはまっていたようで、モラハラの概念は比較的スムーズに受け取ってもらえた。
これもね、タイミングによっては素直に受け取れないこともあるんだよね。
脳が傷から目を逸らすためにわたしを遠ざけるように、問題に直面しそうなことを那智さんは無意識に回避しようとするから、快くきちんと伝えるにはタイミングが大事だった。
このときは、たまたま長文メールが来たからざっくり説明することができたけど、あまりに当てはまりすぎて少ししんどくなりそうだったので、ここではざっくりとでおしまいにする。
わたし自身、もっと理論武装したいとも思ったということもある。
矛盾なく説明できるように、那智さん、整合性が取れないことは受け取ってくれなさそうだし(笑)、今後Qさん対策にもまず知識を貯え、どの方向からも守れるようにする必要があった。
図書館から何冊か借り、サイトにあったワークショップが発行している冊子を取り寄せる。
サイトに載っている内容と同じものだけど、これが本当に役に立った。
モラハラ被害者用に2種類、支援者用に1冊、計3冊をそれぞれ3回は読んだ。
一度読んで『ここは』と思うところにラインを引き、自分の考えも余白に書く。
二度目は別の色のえんぴつで、同じようにラインを引く。
そうすると、前回見落としたものを見つけることができるし、2色のラインが引かれているところは、きっと大事なところということになるだろう。
(学校の勉強もこんなに熱心にやらなかったよ!!)
本当は那智さんに全部読んでもらいたかったけど、きっといまの那智さんには難しいだろうから、2色のラインが引かれている項目を中心に読んでもらえばいいとも思った。
これ以降、Qさんから来るメールの返信はいままでと違うものになっていく。
Qさんから来るメールは、案の定『税金の支払い』や『お嬢さんの結婚支援』などの名目のメールの中で、話はどんどん逸れ、過去を持ち出したり関係ないことを追求してきたり、人格否定をしてきている。
転送されるそれを分析して、返信案を送る。
モラハラの加害者への対応で大事なことは相手のペースに乗らないことなので、まずメールが来ても即返信はしない(もちろん無視して長引かせる必要はないけど)、こちらのペースで返事を送る。
それも数時間とか日を跨ぐとか一環させない。
また過去のことなどの無関係な内容には『いまの話では関係ないことなので答えません』とだけ伝えて、その内容に対して是も非も表明しない。
それ以外はどんなに挑発的な内容でも一切触れない。
おそらく、普通だったら、誤解を解こうとしたり説明しようとするけど、そうすることは『何をしても否定』するモラハラ加害者の格好の餌食になってしまう。
だから、触れないのだ。
ただ、何を言っても無駄だと全部無視してしまうと、今度は『何をしなくても否定』してくるので、まったく触れないのはダメ。
相手がいかに無意味なことを言ってきているかを示して、以後スルーが正解なのだ。
だから、『いまはあなたからの支払いの話に応じているので、それ以外の話には答えません』と送る。
おそらく、相手の負には付き合い、解消していきたい性質の那智さんはQさんの論点のズレた攻撃にずっと応えようとしてきたのだろう。
だから、余計に『何をしても否定』され続け、諦めてスルーして『何をしなくても否定』され続けてきたのだ。
モラハラの構図が理解できたので、こんなふうに対応は変わっていった。
春のある日。
小冊子を那智さんにざっとでも読んでもらうことにした。
がんばって読んでくれたけど、たぶん、ほとんど頭に入っていなかっただろうな^^;
それでも、『あなたは被害者だ』とすこしでも知ってくれるとうれしいと思った。
モラハラの構図を理解し、Qさんへの対応の指針もできた頃、もうひとつとても重要な案件を抱えていた。
それはお嬢さんとのこと。
- 関連記事
-
- 普通のひとで愛し合おう4 2019/04/25
- 普通のひとで愛し合おう9 2019/05/04
- 普通のひとで愛し合おう23 2019/06/01