亡霊
独り言
イヤな夢を見た。
わたしは、わたしなのだけど生活環境がぜんぜん違っている。
なにか大きな屋敷に知らない人と共同生活をしているのだ。
知らない人といっても夢の中では知り合いではあるけれど、家族とか友人とかとは違う、それぞれ縁の薄いものたちが入れ替わりながら生活を共にしているような環境だった。
その中で、わたしは比較的長く暮らしていて、もしかしたら、その共同生活のお世話係のようなポジションみたいだった。
そこには悪霊に取り憑かれた少女がいた。
映画『エクソシスト』に出てくるみたいにどす黒い顔色で皮膚がところどころ裂けていて、ぐわーっと威嚇するようなもの。
見える人には見えて、見えない人もいた。
その悪霊は機嫌のいいときはどこかに潜んでいるのだけど、機嫌が悪くなるとわたしを威嚇して危害を加えようとした。
見えない人には当然被害はないし、見える人も長く暮らしいないし、昼間は仕事に出たりしているので、あまり問題視されていなかった。
わたしだけが悪霊の存在を確実に知っていて、わたしだけが被害に遭い、わたしだけが怯えていた。
みんながいるときに出てきて危害を加えないか気を張り、みんなが出かけて、わたしひとり家のことをしているときに出て来ないか、機嫌はどうか、怯えていた。
いつ、どんな機嫌で、なにをしてくるか、いつも怯えていた。
ふと、シチュエーションが変わる。
ずっと怯えていた悪霊の存在はないものになっていて、替わりに共同生活の中に父が加わっていた。
屋敷の中で唯一のわたしの身内だった。
ところが父は、その共同生活の中でトラブルばかり起こしていた。
酔って暴れるとか、ケンカとか、そういうものも多少はあったと思うけど、父の起こすトラブルはもっと恥ずかしいものだった。
一緒に暮らしている他人の女性たちの性的な行いをするのだ。
すれ違いざまにお尻を触るとか、お風呂を覗くとか、そういう類いのもの。
何度も何度も注意して、何度も謝罪をした。
こういうときの人の反応は、ケンカなどのトラブルのときの明らかな非難とは違って、『白い目で見られる』ものだった。
人から『白い目で見られる』感覚というのは、なんともいえない苦しさがあった。
それでも、ここで暮らしていなかといけないし、わたしはお世話係だからトラブルはなくしていなかといけない。
じつの父を諌めながら、父に替わり謝罪し白い目で見られる生活だった。
この日もまた父がトラブルを起こした。
そのトラブルがなにかは憶えていないのだけど、また性的な迷惑をよそ様にかけたのだ。
また…?
というような見下すような白い目でみんなが見ている。
被害に遭ったひとに頭を下げる。
父は我関せずで、ふらーっとその場を離れる。
お父さん、待って、もうしないって謝って!!
そういって追いかけると、視線の先の父はニヤニヤしながら中学生くらいの女の子の胸をぎゅっと掴んでいた。
(なぜか、その子は裸だった)
テメェ、いい加減にしろ!!
夢の中で『テメェ』といっていた。
起きている世界ではいったことのない言葉を叫び、父の腕を掴み少女から引きはがす。
勢いで倒れた父に馬乗りになる。
このとき、わたしの脳裏に明確な殺意があった。
人生ではじめて『殺意』というものの感覚を体感した。
夢の中で。
父の首を両手で絞める。
『殺意』って、衝動と冷静が混在しているんだ。
衝動的に首を絞めながら、『どの辺を絞めると効果的なのか』冷静に考えていた。
父を確実に殺そうとしていた。
父の首はぐにゃっとしていた。
中綿がすかすかのぬいぐるみみたいだった。
そして、その父はわたしの知っている父ではなく、目がギョロッとした本当のぬいぐるみのようなぐにゃぐにゃの物体だった。
とてもイヤな夢だった。
いまだに、わたしは父の亡霊から逃げられないでいるのか。
父はわたしに何を植え付けたのだろう。
もしくは、わたしは父を通して何を思い起こしているのだろう。
父に愛されたかったという思い残しは、もうない。
夢の中で感じていた『怯え』や『他者から白い目で見られる』感覚は父の生前に感じていたものと同類だ。
そのしみ込んだ感覚はいまだ払拭できていないのだろうか。
お父さん、もうわたしを怖がらせないでほしい。
お父さん、もうわたしを困らせないでほしい。
そして、怒鳴るもの殺意を抱くもの、イヤだ。
後味の悪い夢だった。
「等式」「亡霊」感想です。心の弱い場所は目を瞑るか、克服するしかないけれど、どうするかはその時のタイミングや環境によるよね。年月が必要な時もあるだろうし。書いてて辛い。(笑)
イヤな夢を見た。
わたしは、わたしなのだけど生活環境がぜんぜん違っている。
なにか大きな屋敷に知らない人と共同生活をしているのだ。
知らない人といっても夢の中では知り合いではあるけれど、家族とか友人とかとは違う、それぞれ縁の薄いものたちが入れ替わりながら生活を共にしているような環境だった。
その中で、わたしは比較的長く暮らしていて、もしかしたら、その共同生活のお世話係のようなポジションみたいだった。
そこには悪霊に取り憑かれた少女がいた。
映画『エクソシスト』に出てくるみたいにどす黒い顔色で皮膚がところどころ裂けていて、ぐわーっと威嚇するようなもの。
見える人には見えて、見えない人もいた。
その悪霊は機嫌のいいときはどこかに潜んでいるのだけど、機嫌が悪くなるとわたしを威嚇して危害を加えようとした。
見えない人には当然被害はないし、見える人も長く暮らしいないし、昼間は仕事に出たりしているので、あまり問題視されていなかった。
わたしだけが悪霊の存在を確実に知っていて、わたしだけが被害に遭い、わたしだけが怯えていた。
みんながいるときに出てきて危害を加えないか気を張り、みんなが出かけて、わたしひとり家のことをしているときに出て来ないか、機嫌はどうか、怯えていた。
いつ、どんな機嫌で、なにをしてくるか、いつも怯えていた。
ふと、シチュエーションが変わる。
ずっと怯えていた悪霊の存在はないものになっていて、替わりに共同生活の中に父が加わっていた。
屋敷の中で唯一のわたしの身内だった。
ところが父は、その共同生活の中でトラブルばかり起こしていた。
酔って暴れるとか、ケンカとか、そういうものも多少はあったと思うけど、父の起こすトラブルはもっと恥ずかしいものだった。
一緒に暮らしている他人の女性たちの性的な行いをするのだ。
すれ違いざまにお尻を触るとか、お風呂を覗くとか、そういう類いのもの。
何度も何度も注意して、何度も謝罪をした。
こういうときの人の反応は、ケンカなどのトラブルのときの明らかな非難とは違って、『白い目で見られる』ものだった。
人から『白い目で見られる』感覚というのは、なんともいえない苦しさがあった。
それでも、ここで暮らしていなかといけないし、わたしはお世話係だからトラブルはなくしていなかといけない。
じつの父を諌めながら、父に替わり謝罪し白い目で見られる生活だった。
この日もまた父がトラブルを起こした。
そのトラブルがなにかは憶えていないのだけど、また性的な迷惑をよそ様にかけたのだ。
また…?
というような見下すような白い目でみんなが見ている。
被害に遭ったひとに頭を下げる。
父は我関せずで、ふらーっとその場を離れる。
お父さん、待って、もうしないって謝って!!
そういって追いかけると、視線の先の父はニヤニヤしながら中学生くらいの女の子の胸をぎゅっと掴んでいた。
(なぜか、その子は裸だった)
テメェ、いい加減にしろ!!
夢の中で『テメェ』といっていた。
起きている世界ではいったことのない言葉を叫び、父の腕を掴み少女から引きはがす。
勢いで倒れた父に馬乗りになる。
このとき、わたしの脳裏に明確な殺意があった。
人生ではじめて『殺意』というものの感覚を体感した。
夢の中で。
父の首を両手で絞める。
『殺意』って、衝動と冷静が混在しているんだ。
衝動的に首を絞めながら、『どの辺を絞めると効果的なのか』冷静に考えていた。
父を確実に殺そうとしていた。
父の首はぐにゃっとしていた。
中綿がすかすかのぬいぐるみみたいだった。
そして、その父はわたしの知っている父ではなく、目がギョロッとした本当のぬいぐるみのようなぐにゃぐにゃの物体だった。
とてもイヤな夢だった。
いまだに、わたしは父の亡霊から逃げられないでいるのか。
父はわたしに何を植え付けたのだろう。
もしくは、わたしは父を通して何を思い起こしているのだろう。
父に愛されたかったという思い残しは、もうない。
夢の中で感じていた『怯え』や『他者から白い目で見られる』感覚は父の生前に感じていたものと同類だ。
そのしみ込んだ感覚はいまだ払拭できていないのだろうか。
お父さん、もうわたしを怖がらせないでほしい。
お父さん、もうわたしを困らせないでほしい。
そして、怒鳴るもの殺意を抱くもの、イヤだ。
後味の悪い夢だった。
「等式」「亡霊」感想です。心の弱い場所は目を瞑るか、克服するしかないけれど、どうするかはその時のタイミングや環境によるよね。年月が必要な時もあるだろうし。書いてて辛い。(笑)
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