那智さん大暴走3
非日常的な日常
気持ちを切り替えて駆け足でプチ宴会をしてホテルを後にする。
ふたりとも漠然とホテルを出たときの今日の景色を思い描いていた景色とは明らかに違っていたはずだ。
明るい。
初夏の17:00はまだ明るい、本来なら日も暮れた20:00のはずだったのに。
この明るさを感じたとき、わたしはイヤな予感がした。
ゆっくりお風呂も入っていないしマッサージもしていない、せっかくつまみを作ってきてくれたのに思ったより味わえなかった、何より、鞭?洗濯バサミ?『女の子』的なにか?、とにかくもう1回りん子を可愛がろうと思っていたことも思い通りにならなかった。
那智さん、ぜったい『し足りていない』!!
そこに、予定とは違うこの明るさが『今日はし足りていません』と決定づけたかのようだ。
そんな那智さんと繁華街に繰り出す恐ろしさといったら!!
それでも、まだお買い物の最中は目的もあるからそれなりだった。
歩きながらチラッとスカートをめくったり、「重いから持てよ〜」と鞄を持たされたり(ね、それなりでしょ?)
買い物が済んで、じゃあ、公園のほうまで散歩しようかと歩きはじめたとき、那智さんが恐ろしいことを口にした。
なんか、酒が醒めてきちゃったよな〜
ガソリン補充しよ〜
え!?那智さん、さっき焼酎ワンカップ飲んだじゃありませんか!!
飲んだらすぐ帰る予定だったからあれくらいでちょうどいいかって思ってたんだけどさ、まだ時間あるからね〜
醒めちゃったらつまんないだろ?
いえ、醒めていいです、この勢いの那智さんにアルコールをプラスしたら恐ろしいことになります。
どっかコンビニあったら、そこで買おう
と、恐ろしい予告をされながら繁華街を上り公園のほうに向かう。
その先に、コンビニ。
ああ、神様。
ガソリン、ガソリン♪
うれしそうにコンビニにまっしぐらの那智さん。
本日2個目の焼酎を購入して、コンビニ外でコクコク。
エネルギーチャージ完了、チャーラン♪(なんかの音のマネをして拳を握る)
その後、しばらく『チャーラン♪』が流行ったようで、それを口ずさみご機嫌さん。
隣りで、わたしはヒヤヒヤ。
公園までの道は横にホールを眺める幅の広い並木道になっている。
ジョギングをする人やコンサート会場に向かう人、中に犬を連れている人もいる。
これが、まずい。
あ〜、散歩しているね〜、りん子もする?
いやぁ、しませんよ〜^^;
そう?首輪あるし〜
立ち止まり、鞄から首輪を探り出す。
ああ、でも、ゴツゴツしているから膝が…
石畳を理由にはぐらかす。
いや、本当は何も考えずにわんこになれてしまったらどんなに幸せなことか。
でも、さすがにそれはできない。
だから、拒否をするのだけど、こういうときは『わたしはやりたいのですけど、その他の不可抗力ができなくさせている』という姿勢が正解なのだ。
まあね〜、これじゃ、ケガするもんな〜
那智さん、ご納得。
那智さんを鎮火させるにはいくつか方法があって、『わたしはやりたいのですけど、その他の不可抗力ができなくさせている』というのはひとつの手。
まずは、その手を使って鎮火に成功^^
しかし、いまの那智さんはヒジョーに危険だ。
全体的に『し足りない』上に新たにガソリンを注入しているのだ、些細な何かをきっかけにどどどっと『すごいこと』になだれ込むはず。
そのきっかけを虎視眈々と待っている状態、いや、むしろ、きっかけを探しているくらいの積極性さえ感じられる。
いずれにしても、『し足りない』感と、それが沸点に達する勢い、そこでわたしが翻弄されながらも鎮火、また沸々、みたいな状態を楽しんでいるのは間違いない。
鞄から見える首輪の存在にヒヤヒヤしながら街路樹の先まで歩いた。
街路樹の先は広場になっている。
ベンチが点在して、自動販売機もある、小さな遠くの正面にはステージもあって、ここでイベントなどもするのだろう。
街路樹に近いほうのベンチには若い男女が座っていた。
それを通り越して10mくらい先にあるベンチに腰かけた。
わたしたちから左斜め、ステージの脇に道があるようで、そこからも人がポツポツと現れる。
右手には公園への道、そちらからもたまに人が来る。
まず焼酎をくいっとひと口。
横目に、わたしヒヤヒヤ。
とりあえず首輪はつけとくか〜
おとなしく従う。
首輪をつけてもらえることは本当に幸せ。
たとえ、外だとしても、幸せ。
だから、多少ためらいはあるけど、喜んで従う。
『おとなしく従う』。
これも鎮火させる方法のひとつ。
ただし、これは何かしら従うわけで、どちらかというと『被害を最小限に抑える』という方が正しいかもしれないので、微妙なところだ。
しかも、那智さんにとって満足な反面、きっとちょっとつまらないのだ。
だから、効くときはピタリとおしまいになるけど、その確率はあまり高くない。
特に今日のような『し足りない』ときは。
じゃあ、リードもつけよう
うう、最小限に抑えられたのは一瞬だった^^;
リードはすこしハードルが上がる。
上がるよね?^^;
はっきりとした拒否ではないけど、あうあうとためらいの空気を作ってしまう。
その空気を察知して、より確実にリードをつける方向に転がりだす。
ああ、どうしよう、人が来てる。
ためらいの空気が、どんどん拒否になっていっている。
カチリと首輪にリードを繋ぐ。
ためらいや拒否満載ではあるが、2%くらい、うれしい^^
そのうれしい気持ちを一般人のりん子が打ち消す、あうあうと首を振り、さらに拒否の空気を作ってしまう。
繋いだリードを那智さんが持ち。
ぱーーーん
と前方に放り投げた。
宙を舞う鮮やかな色をしたリード。
10m離れたカップルや左斜め前から現れる学生さんには、これが見えるだろうか。
な、なにするんですか!!
ひえ〜〜と慌ててたぐり寄せて、両手で包み込んで胸の前でひとまとめにする。
那智さん!!やめてくださいよ〜!!
ああ、拒否。
那智さんの無謀の火に、無策に拒否はただの油でしかない(笑)
だけど、次から次へと無謀の火が襲いかかっているのだ、目の前のそれから身を守ることで精一杯になってしまう。
人間、瞬時に冷静に対処できるわけない。
とにかく火の粉を振り払うことしかできなくなってしまう、そうなると、油を注ぐ結果になって、さらに無謀に拍車がかかるのだ。
胸の前の手を振り払い。
また、『ぱーーーん』。
ひゃーひゃーとたぐり寄せ。
を2往復(ほど)
もう、この循環になると那智さんの大暴走を止める術はない(笑)
じゃあ、りん子、ダッシュするよ〜(笑)
リードの先を持って立ち上がり、ベンチに腰かけるわたしに言う。
ああ、那智さん、カップルに見えるから〜、やめてください;;
3、2、1
ダダダッ
リードを持って数歩ダッシュ。
引っ張られる、否応なく、考える余裕もなくわたしもベンチから立ち上がり、ダッシュ。
いいね〜
ご満悦。
戻って焼酎をまたひと口。
ぜいぜいとわたしもベンチに。
もう恥ずかしくて恥ずかしくてしかたがない、うつむいて顔を覆い恥ずかしさをやり過ごす。
リードを引かれてダッシュ、これを羞恥プレイと言わずしてなんといおう。
りん子の恥ずかしいおまんこをご覧くださいと自ら股を広げるなんてこの羞恥に比べたら、屁でもない(ウソです、那智さん)
しかも、リードの先はご満悦の那智さんが握ったまま、地雷に爪先を乗せている気分だ。
じゃ、もう1回いくよ〜
ああ、終わらない。
またスタートの位置に。
ど、どうしよう…。
3、2、1
那智さん、やめてください!!
ベンチに座ったまま身を硬くして首に近い場所のリードを両手で握って、全身で拒否。
恥ずかしいとか、周囲に申し訳ないとかの気持ちはもちろんなんだけど、ヒールでダッシュするのが怖かったのだ。
こういうとき那智さんは本気でダッシュする。
さっきは大丈夫だったけど、何回かしているうちに1回くらいは転んでしまいそうで怖かったのだ。
ピンと張るリード、道行く人にはどんなふうに映るのだろう。
恥ずかしさと怖さで目眩があする。
それでもじっと体を固めて、まるで、本物の犬が踏ん張って拒否するような状態になっていた。
転びそうで怖いです::
それはダメだね
パターン1『わたしはやりたいのですけど、その他の不可抗力ができなくさせている』に近い方法だったので、とりあえず回避^^;
でも、だからといって完全に鎮火したわけではなく、その後も、リードを宙に放つは、くいくいと引いてわたしを揺らすは、好き放題。
もう、翻弄され疲れてきた、ともすれば「なんでこんなことばかりするの?」と悲しくなってしまいそうなとき、ああ、そうだ、パターン2(素直に従う)があったではないかと、今更ながら思い出す。
そこから、わたしの羞恥との戦い!!(笑)
首輪に指を入れてぐわんぐわんしようが、その通りに揺れておく。
カウボーイのように首から伸びるリードをぶんぶんと振り回されようが、遠くを見つめてじっとしておく。
ただただ『おとなしく従う』。
恥ずかしくてたまらないけど、じっと堪え、心を無にして、されるがままでいる。
そうなんだよな〜
そうすれば、俺、やらなくなるよな
拒否されればされるほど、やっちゃうんだよ、逆に従えば、やる気なくなるんだよ〜
じっとしているわたしを見て自分のテンションが鎮火していくのを感じながら、おそらく、那智さん自身もその感情の変化をおもしろがっているはずだ。
天の邪鬼さんなところもあるし、わたしたちは互いをそれぞれの方法で肯定されていたいという欲もはちゃめちゃな需要と供給で満たし合っているのをこういうときに感じる。
上手に鎮火させることができた。
と、思ったのが甘かった。
きっと、あまりに無抵抗な態度で鎮火させられたのがつまらなかったのかもしれない。
じゃあ、最後にもう一回ダッシュしておしましにする?(笑)
はぁ(ため息)、またですか…。
じゃあ、わかりました、パターン3でお受けしましょう。
那智さん、立ち上がりリードを張ってカウントダウン。
3、2、…1
がしっ!!
1と同時に腕を前後にかまえてベンチに座ったままダッシュのポーズ。
わはは、おもしろい!!
OK
これがパターン3、じつは最大の力を持っている。
『笑いを誘う』。
おそらく、那智さんの(特にお外遊び)テンションは、那智さん自身も多少気合いを入れている部分もあると思うのだ。
力を入れた拳を緩めるのは『笑い』なのですね。
かくして、那智さんの大暴走の火は最終的に笑いを誘って無事鎮火。
那智さん、満足気に公園を後にした。
しかし、大暴走はこれでおしまいではなかった。
最後、トドメの暴挙はいままでのような派手なものではないけれど、もしかしたら、那智さんの一番の満足になったかもしれない。
次回、最終回です^^
「等式」乾棗です。りん子面白いね、細かいディティールは忘れているので、思い出すとかなり、笑える。酔っ払いになり、テンションがアップすると私は擬音が多くなるのだろうか?「バーン」「チャリーン」などなど。全体を通して小学生が公園で遊んでいるような雰囲気だね、童心に帰るのは良いこと?笑
気持ちを切り替えて駆け足でプチ宴会をしてホテルを後にする。
ふたりとも漠然とホテルを出たときの今日の景色を思い描いていた景色とは明らかに違っていたはずだ。
明るい。
初夏の17:00はまだ明るい、本来なら日も暮れた20:00のはずだったのに。
この明るさを感じたとき、わたしはイヤな予感がした。
ゆっくりお風呂も入っていないしマッサージもしていない、せっかくつまみを作ってきてくれたのに思ったより味わえなかった、何より、鞭?洗濯バサミ?『女の子』的なにか?、とにかくもう1回りん子を可愛がろうと思っていたことも思い通りにならなかった。
那智さん、ぜったい『し足りていない』!!
そこに、予定とは違うこの明るさが『今日はし足りていません』と決定づけたかのようだ。
そんな那智さんと繁華街に繰り出す恐ろしさといったら!!
それでも、まだお買い物の最中は目的もあるからそれなりだった。
歩きながらチラッとスカートをめくったり、「重いから持てよ〜」と鞄を持たされたり(ね、それなりでしょ?)
買い物が済んで、じゃあ、公園のほうまで散歩しようかと歩きはじめたとき、那智さんが恐ろしいことを口にした。
なんか、酒が醒めてきちゃったよな〜
ガソリン補充しよ〜
え!?那智さん、さっき焼酎ワンカップ飲んだじゃありませんか!!
飲んだらすぐ帰る予定だったからあれくらいでちょうどいいかって思ってたんだけどさ、まだ時間あるからね〜
醒めちゃったらつまんないだろ?
いえ、醒めていいです、この勢いの那智さんにアルコールをプラスしたら恐ろしいことになります。
どっかコンビニあったら、そこで買おう
と、恐ろしい予告をされながら繁華街を上り公園のほうに向かう。
その先に、コンビニ。
ああ、神様。
ガソリン、ガソリン♪
うれしそうにコンビニにまっしぐらの那智さん。
本日2個目の焼酎を購入して、コンビニ外でコクコク。
エネルギーチャージ完了、チャーラン♪(なんかの音のマネをして拳を握る)
その後、しばらく『チャーラン♪』が流行ったようで、それを口ずさみご機嫌さん。
隣りで、わたしはヒヤヒヤ。
公園までの道は横にホールを眺める幅の広い並木道になっている。
ジョギングをする人やコンサート会場に向かう人、中に犬を連れている人もいる。
これが、まずい。
あ〜、散歩しているね〜、りん子もする?
いやぁ、しませんよ〜^^;
そう?首輪あるし〜
立ち止まり、鞄から首輪を探り出す。
ああ、でも、ゴツゴツしているから膝が…
石畳を理由にはぐらかす。
いや、本当は何も考えずにわんこになれてしまったらどんなに幸せなことか。
でも、さすがにそれはできない。
だから、拒否をするのだけど、こういうときは『わたしはやりたいのですけど、その他の不可抗力ができなくさせている』という姿勢が正解なのだ。
まあね〜、これじゃ、ケガするもんな〜
那智さん、ご納得。
那智さんを鎮火させるにはいくつか方法があって、『わたしはやりたいのですけど、その他の不可抗力ができなくさせている』というのはひとつの手。
まずは、その手を使って鎮火に成功^^
しかし、いまの那智さんはヒジョーに危険だ。
全体的に『し足りない』上に新たにガソリンを注入しているのだ、些細な何かをきっかけにどどどっと『すごいこと』になだれ込むはず。
そのきっかけを虎視眈々と待っている状態、いや、むしろ、きっかけを探しているくらいの積極性さえ感じられる。
いずれにしても、『し足りない』感と、それが沸点に達する勢い、そこでわたしが翻弄されながらも鎮火、また沸々、みたいな状態を楽しんでいるのは間違いない。
鞄から見える首輪の存在にヒヤヒヤしながら街路樹の先まで歩いた。
街路樹の先は広場になっている。
ベンチが点在して、自動販売機もある、小さな遠くの正面にはステージもあって、ここでイベントなどもするのだろう。
街路樹に近いほうのベンチには若い男女が座っていた。
それを通り越して10mくらい先にあるベンチに腰かけた。
わたしたちから左斜め、ステージの脇に道があるようで、そこからも人がポツポツと現れる。
右手には公園への道、そちらからもたまに人が来る。
まず焼酎をくいっとひと口。
横目に、わたしヒヤヒヤ。
とりあえず首輪はつけとくか〜
おとなしく従う。
首輪をつけてもらえることは本当に幸せ。
たとえ、外だとしても、幸せ。
だから、多少ためらいはあるけど、喜んで従う。
『おとなしく従う』。
これも鎮火させる方法のひとつ。
ただし、これは何かしら従うわけで、どちらかというと『被害を最小限に抑える』という方が正しいかもしれないので、微妙なところだ。
しかも、那智さんにとって満足な反面、きっとちょっとつまらないのだ。
だから、効くときはピタリとおしまいになるけど、その確率はあまり高くない。
特に今日のような『し足りない』ときは。
じゃあ、リードもつけよう
うう、最小限に抑えられたのは一瞬だった^^;
リードはすこしハードルが上がる。
上がるよね?^^;
はっきりとした拒否ではないけど、あうあうとためらいの空気を作ってしまう。
その空気を察知して、より確実にリードをつける方向に転がりだす。
ああ、どうしよう、人が来てる。
ためらいの空気が、どんどん拒否になっていっている。
カチリと首輪にリードを繋ぐ。
ためらいや拒否満載ではあるが、2%くらい、うれしい^^
そのうれしい気持ちを一般人のりん子が打ち消す、あうあうと首を振り、さらに拒否の空気を作ってしまう。
繋いだリードを那智さんが持ち。
ぱーーーん
と前方に放り投げた。
宙を舞う鮮やかな色をしたリード。
10m離れたカップルや左斜め前から現れる学生さんには、これが見えるだろうか。
な、なにするんですか!!
ひえ〜〜と慌ててたぐり寄せて、両手で包み込んで胸の前でひとまとめにする。
那智さん!!やめてくださいよ〜!!
ああ、拒否。
那智さんの無謀の火に、無策に拒否はただの油でしかない(笑)
だけど、次から次へと無謀の火が襲いかかっているのだ、目の前のそれから身を守ることで精一杯になってしまう。
人間、瞬時に冷静に対処できるわけない。
とにかく火の粉を振り払うことしかできなくなってしまう、そうなると、油を注ぐ結果になって、さらに無謀に拍車がかかるのだ。
胸の前の手を振り払い。
また、『ぱーーーん』。
ひゃーひゃーとたぐり寄せ。
を2往復(ほど)
もう、この循環になると那智さんの大暴走を止める術はない(笑)
じゃあ、りん子、ダッシュするよ〜(笑)
リードの先を持って立ち上がり、ベンチに腰かけるわたしに言う。
ああ、那智さん、カップルに見えるから〜、やめてください;;
3、2、1
ダダダッ
リードを持って数歩ダッシュ。
引っ張られる、否応なく、考える余裕もなくわたしもベンチから立ち上がり、ダッシュ。
いいね〜
ご満悦。
戻って焼酎をまたひと口。
ぜいぜいとわたしもベンチに。
もう恥ずかしくて恥ずかしくてしかたがない、うつむいて顔を覆い恥ずかしさをやり過ごす。
リードを引かれてダッシュ、これを羞恥プレイと言わずしてなんといおう。
りん子の恥ずかしいおまんこをご覧くださいと自ら股を広げるなんてこの羞恥に比べたら、屁でもない(ウソです、那智さん)
しかも、リードの先はご満悦の那智さんが握ったまま、地雷に爪先を乗せている気分だ。
じゃ、もう1回いくよ〜
ああ、終わらない。
またスタートの位置に。
ど、どうしよう…。
3、2、1
那智さん、やめてください!!
ベンチに座ったまま身を硬くして首に近い場所のリードを両手で握って、全身で拒否。
恥ずかしいとか、周囲に申し訳ないとかの気持ちはもちろんなんだけど、ヒールでダッシュするのが怖かったのだ。
こういうとき那智さんは本気でダッシュする。
さっきは大丈夫だったけど、何回かしているうちに1回くらいは転んでしまいそうで怖かったのだ。
ピンと張るリード、道行く人にはどんなふうに映るのだろう。
恥ずかしさと怖さで目眩があする。
それでもじっと体を固めて、まるで、本物の犬が踏ん張って拒否するような状態になっていた。
転びそうで怖いです::
それはダメだね
パターン1『わたしはやりたいのですけど、その他の不可抗力ができなくさせている』に近い方法だったので、とりあえず回避^^;
でも、だからといって完全に鎮火したわけではなく、その後も、リードを宙に放つは、くいくいと引いてわたしを揺らすは、好き放題。
もう、翻弄され疲れてきた、ともすれば「なんでこんなことばかりするの?」と悲しくなってしまいそうなとき、ああ、そうだ、パターン2(素直に従う)があったではないかと、今更ながら思い出す。
そこから、わたしの羞恥との戦い!!(笑)
首輪に指を入れてぐわんぐわんしようが、その通りに揺れておく。
カウボーイのように首から伸びるリードをぶんぶんと振り回されようが、遠くを見つめてじっとしておく。
ただただ『おとなしく従う』。
恥ずかしくてたまらないけど、じっと堪え、心を無にして、されるがままでいる。
そうなんだよな〜
そうすれば、俺、やらなくなるよな
拒否されればされるほど、やっちゃうんだよ、逆に従えば、やる気なくなるんだよ〜
じっとしているわたしを見て自分のテンションが鎮火していくのを感じながら、おそらく、那智さん自身もその感情の変化をおもしろがっているはずだ。
天の邪鬼さんなところもあるし、わたしたちは互いをそれぞれの方法で肯定されていたいという欲もはちゃめちゃな需要と供給で満たし合っているのをこういうときに感じる。
上手に鎮火させることができた。
と、思ったのが甘かった。
きっと、あまりに無抵抗な態度で鎮火させられたのがつまらなかったのかもしれない。
じゃあ、最後にもう一回ダッシュしておしましにする?(笑)
はぁ(ため息)、またですか…。
じゃあ、わかりました、パターン3でお受けしましょう。
那智さん、立ち上がりリードを張ってカウントダウン。
3、2、…1
がしっ!!
1と同時に腕を前後にかまえてベンチに座ったままダッシュのポーズ。
わはは、おもしろい!!
OK
これがパターン3、じつは最大の力を持っている。
『笑いを誘う』。
おそらく、那智さんの(特にお外遊び)テンションは、那智さん自身も多少気合いを入れている部分もあると思うのだ。
力を入れた拳を緩めるのは『笑い』なのですね。
かくして、那智さんの大暴走の火は最終的に笑いを誘って無事鎮火。
那智さん、満足気に公園を後にした。
しかし、大暴走はこれでおしまいではなかった。
最後、トドメの暴挙はいままでのような派手なものではないけれど、もしかしたら、那智さんの一番の満足になったかもしれない。
次回、最終回です^^
「等式」乾棗です。りん子面白いね、細かいディティールは忘れているので、思い出すとかなり、笑える。酔っ払いになり、テンションがアップすると私は擬音が多くなるのだろうか?「バーン」「チャリーン」などなど。全体を通して小学生が公園で遊んでいるような雰囲気だね、童心に帰るのは良いこと?笑
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